運命線上を行こう





いつもは、何かと文句ばかり態と投げかけていた。嫌いとか好きとか、そんな単純なことではない、と彼も勿論分かっていた。
だからこそ、シエラは文句ひとつ言わずにシドに着いてきたのだろうし、誰かが口うるさいシドと仲良し面し、シエラの文句言う姿見ればズカズカ近寄って、ツバ飛ばしながらに暴言吐いてたかと思えば、次の瞬間拳が飛んでた…なんて話も珍しくない。
そんなシドを、彼女は躊躇いなく止める。
止まるかどうかは、シドしか分からないし、きっと気分にもよるんだろう。


そんな二人の何げない会話。
「よお、ノロマ。俺様は、ただ空を飛ぶだけじゃあ飽きたらねぇやぃ」
「前は鳥相手にスゴイって言ってたのにね」
「イザ、飛んじまったら、ショッパナの夢なんざぁハナクソみてえなモンだろがよ」

そうだ。
シエラはシドのこう言った前向きな姿勢が好きだった。憧れがある。だからこそ、いくら何度でも、蔑みの言葉投げかけられようとも、ずっと、こうやって一緒にいられるのだ。


夕焼けが眼に染みる程に綺麗だ。
風はもう冷たくなりつつあった。もう、家に帰らねばなるまい。
いつもはバタバタしているのだが、たまたま片付けが早く終わったために若干のんびりした時間が流れている。その中を、現実はこちらですよと夕焼けが知らせているみたいに暮れていく。

「じゃあ、宇宙、みせてね」
「…ウスバカ。手伝えや」
「うん。分かった」
空が青くなりつつあった。シエラは病弱な親を抱えていたし、だんだんそればかり気になりだしていた。じゃあ、そろそろ帰るね。と立ち上がり汚れを払っていたところ、シドと眼が合う。
不思議だ。何故か真剣な表情をしている。

「手伝え。…もっと、近くで」



それから数ヶ月もした頃、シエラは病弱な親御さん連れでシドのボロ小屋に、共に暮らし始めたのだった。
シドはぶつぶつ言いながらも同居を認めたのだった。

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ガーネットクロウのノラを聴きながらポチポチうち始めたのでした。
のんびり、鳥 がキーワードですかね。
シドしか出てこなかった。
歌詞には神々のいたずら、とかおもしろワードはあったんですがね。ちなみに、シエラさんの親御さんとかは捏造ですが、急に同棲とか、シドはあれで意外と奥手そうなんで違和感を取り去るためには納得な設定でしたね。

10、03、24



お題→クロエ


2010/03/24 08:39:29