目隠し闇
「今日は、せんせいもいないんだし、たまには休んでよっか」
「怒られるだろう」
「怒るんなら、最初から置いていかないさ」
「…ふん」
「まぁ〜ったく、ツれないんだから。俺様ヘコんじゃう」
「一人でベッコリ、ヘコんでろ」
「あ〜、冷たいの。ま、たまには骨休めたほうがいいんじゃない？最近イライラしてるしさぁ」
「っ…！いらいら？などっ…していない！」
「ほぉ〜ら、そうやってイライラしてる。や、咎めないけど。だって色々…ん、あるでしょ。体調とか、さ」
「…私はイライラなどしてない！」
「ゴメンゴメン」
「……………」
「んなおもしろくない顔しないで頂戴な」
「………」
「……でも、急に休みって言ったって、ピンとこないよなぁ」
「…ああ」
「何すればいいか分かんないっていうか……よく考えたら、ここに来てから休みなんて一回ももらったこと、ないんじゃない？俺たち」
「そんなことはないが？」
「えっ？俺の気のせいかなぁ…それともレディファーストかなんか？…確かにやりそ、せんせいなら」
「そうかな？」
「だってせんせい、優しいんだもん。俺様には厳しいのにさ」
「……」
「うらやましいっていうか」
「……」
「あ、妬んでるわけじゃないんだけどさ？シャレだから、シャレ。気にしないでよ」
「……」
「ん？どうした？」
「……」
「何、具合悪い？」
「……違う………」
「…？どうしたのさ」
「………違うんだ」
「…へっ？」
「…違う。お前が厳しくされるのは、……当然なんだ」
「は………」
「………」
「う、……そんな顔するなよ。…ごめんな？」
「……………」
「ごめんってば」
「……五月蝿い」
「……えっ…？」
「お前、…五月蝿い」
「……………ごめん」
「五月蝿いっ！…お前はいっつもそうだな、いっつもいつもいつもいつもいつもいつも！私が不甲斐ないからか？どうせ私は役立たずだ。お前はすごいよ！私の上をいっている。いつも私を見下している。上から見るのは楽しいか？当てつけだけはやめてくれ！なら、邪魔だ、と言えばいいだろう？」
「……そんな、…ふうにおもってたんだ…」
「っ………！……」
「………」
「…………………」
「………」
「…わ、…るい」
「…………」
「………」
「………………」
「すまない……」
「…………」
「……いい、すぎた…」
「許す。…キスのひとつでも、してくれたら、ね？」
「……ッ!!…ふざッ…」
「……………」
「……………」
「…………っ、…ぇ…」
「…………………」
「……………………………」
* * *
さすが シリーズ４！
時間をかけ、ゆったりと書いた、会話だけのもの。
このテのものって、内容がしっかりしていないとおもしろくないのだけれど、…やばいかなぁ。
こちらも、また同じように無意味に名前を出さないタイプの作品です（作品、と呼べるようなシロモノですら、ないのだけれど）。
まぁふたりしかいないのに、名前を呼び合うってあまりないことだとおもう。だって、「そっち」とか「おまえ」とか「あんた」とかでも誰のことか、分かるはずなのに、なんでムリに名前を呼ばせるんだろう。それって逆に、なにか違和感を感じるような気がした（おれだけ？）のであえてこんな形に。
沈黙におそれる“彼”が“彼女”にたくさん話しかけるのだけれど、険悪な雰囲気になってしまう。恐れていた沈黙が訪れるが……
という、中身があるような、ないような、読み手によって受け取り方がちがう、そんな感じに仕上がったと思ってます。だから読み手によって、最後の沈黙の理由は意味合いが変わるのだとおもう。
だからなんだ、って話。
2009/02/10 10:10:05