ETUの宮崎キャンプの途中、今日という日、2月14日が訪れた。それは、キャンプの最終日に近いときだった。
「はーい、みんな。今日のメニュー終わった人から並んでー」
 有里の声がいつものように響く。そのまんま彼らは監督のいわれたメニューを終えた暁に、たらたらと有里がいうとおりに並ぶ。だから、といってなにかを手渡されるなどと誰も思ってもいなかった。
 選手、面々の手に出されたそれは、あまりに彼らにとっては意外なもので。一度はハッ、と息を呑んだ。なぜなら、与えられたことが終わった最後にバレンタインチョコを、しかも、ちゃあんとラッピングされている、義理と分かっていても小ぎれいなそれは、汗くさい彼らにとってはあまりに嬉しいものだったから。目を輝かせながらETUのメンバーたちは喜んでそれを受け取っていく。そんなことが何度も、何度も。たらたらと思われる時間、続けられていく。最後の選手は練習を、最後まで続けていかったといわんばかりにはあはあと肩を怒らせている椿の姿だった。努力の人。だからこそ、彼は全日本に選ばれたのだけれど、赤崎のようにストイックな感じで選ばれたわけではない。同じように努力を続けてきたことは分かっている。有里はそんな椿に向けても、最後の一人まで笑いながらそれを配りきった。
「お疲れさま」それで充分だろう。

 そんな様子を見終わった監督の達海がゆったりと歩いてきた。有里はそんな気の抜けたような達海に声をかける。
「達海さーーーーん、お疲れさまアーー!」
 うるさいといわれても構わなかった。やがて、達海が室内にくる。これで最後のピッチに立たない人の姿だった。どこまでも、ピッチに立ちたい、たち続けたい人。達海が有里を見ると、彼女の両手のなかには大きい包みがあった。
「お疲れさま」
 それだけしかいわない。けれど、その大きさが物語るおおきな、あなたを大すきですよという思い。それに目を背けるわけにもいかない、この今の状況。達海は差し出された包みを受け取りながらいう。
「こういうのって、きゅーりょーさんかげつぶんでかえなさいとなんないのかね?」
「来月返してもらえれば、じゅーぶん」
 シャレの効かない有里のことを、不器用で、だからこそ愛おしいと思いながら、そんなことされるわけなどないだろうと思いながら抱き寄せた。達海は強引に。そして、誰もいないその室内でやわらかく彼女にキスした。
 2016年、2月14日。───それだけの、やさしくてやわらかくて、かわいらしい日。


16.02.14

10分くらいのひどい時間で書いたものです。ジャイキリ、タツユリの今年のバレンタイン。年の差カポーw

こんなイメージです。ちなみに、ジャイキリまだほぼほぼ読んでません。ひどいです。なんかマンガ本が読めなくて悲しいところありますが、マンガをある程度は、買う節があるのでアホすぎます自分(でも、自分の金で買っている!という強みがあり、誰も止められず、反対?に悪い方にいってる感も、あります)。

べつの話もタツユリ書いてますが、サッカーに絡ませたいというのもあるのでそのうちちゃんと考えます。一応あげます、、、

2016/02/14 22:43:42