世の平穏な時に、思わず誰彼構わず感嘆の息を吐く
 勿論一時の平穏だが、それに酔い痴れたい時もある。毎日が戦ではなく、民にも兵にも、休息は必要なのだ

 そして大事な日も迫っている

 数日前の、二人なこんな約束



「半兵衛、そろそろ誕生日ではないか?祝わねばな…」
「覚えていてくれたのかい。…いいコだね、秀吉」

 巨漢で常なら仏頂面の男にこんなことを言うというのも些か驚くが、彼らには日常会話

 秀吉を撫でる手も、なんの臆面もなく堅い肌の上を滑らかに滑る

「その気持ちだけで、僕には充分だよ…ありがとう、秀吉」
「それでは我の気持ちに収まりがつかん!なにかほしいものはないか?!」
「ほしいもの…?
 ほんとうに律義だなぁ、秀吉は
 ……そうだな、ものはいらない
 じゃあ、僕の誕生日は僕のために丸一日、時間をくれ
 一緒にいよう。ふたっきりで。僕に任せて。僕に委ねて」

 あまりに欲のない願いに、秀吉は思わず聞き返したほど
 それでいいのだと、何度聞いても半兵衛は頷く





 だから半兵衛の誕生日は仕事をしない。きっと、それこそが彼の望みでそんなことを言ったのだろう
 その思いやりに、思わず目頭が熱くなる想いで秀吉は一人、前は一夜城ではあったが現在は完成している稲葉山城に向かう

 二人で静かに語らうならば、邪魔者のないこの城が良いと半兵衛が提案したのだ
 城を従来のように地中に潜らせてしまえば、誰も入っては来られない

 城に到着したが、話していた時刻よりも大幅に遅れてしまった。悪かったと思い、大急ぎで走る


「すまぬ半兵衛!庶務に追われ遅れた、それは謝る」

 当の半兵衛は不機嫌な様子もなく、にこやかに彼を迎えてくれた
 優しく慈愛に満ちた抱擁に、そのまま身を委ね沈み込みたくなる

「城を隠しておくから、食事は頼んでおいたんだ。一応二食分」

 と半兵衛の後に続くと、豪華な少量の食事が並べられた部屋に着く
 気取った料理というのは少量過ぎて、秀吉には物足りない。逆に体が細い半兵衛は食欲旺盛ではなく、それで足りるのだと言う

「悪いけど、折角二人きりなんだ。満腹で秀吉がすぐに寝てしまうのは嫌だからね、食事は少なめにさせてもらったよ」

 そう言われてしまえば、悪い気はしないから秀吉も黙って頷く
 そしてどちらも同じ気持ちなのだし



「戴きます」

 気を取り直し、二人だけの空間で食事が始まる
 ふと目をやると、柔らかく幸せそうに微笑む半兵衛と、猿のようにがっつく秀吉との視線が絡み合う

「…なぜ、食わぬ」

 汁物に少し口を付けただけの様子で、秀吉を見つめていた半兵衛

「食べるよ。…でも今日は思いきり甘えたいな。食べさせてほしい。後で僕も食べさせてあげたい」
「仕方ないな…、分かった。だがお前はいつも食欲がないからな、先に食わせてやる」
「秀吉が食べ過ぎなだけさ」

 軽々とその細っこい体を抱くと、自分の上に座らせ病人のように支えながらゆっくり少量ずつ、料理を口元に運んでやる
 その手慣れた様子から察するに、これが初めてではなく、それはもしかしたら体が弱い上に食欲のない半兵衛を心配した秀吉が、強制的に食べさせていたのかもしれない

 しかし急に半兵衛は、彼の首に手を回し口移しをしてきた

「…!っう、半……んっ!」

 咄嗟のことにわけも分からずおたおたとするばかり

「今度は、僕が食べさせる番さ」

 もう一度、口に食べ物を含みさっきより深く口付ける。それを何度も繰り返し、どう見ても食事どころではない
 秀吉も半兵衛も、すっかり紅潮した頬に、吐息弾ませ

 そんなことはお構いなしとばかりに、妖しい笑みをたたえた半兵衛が、和えてある食器片手に、このタレはおいしいんだよ、なんて素知らぬ様子で近付いてくる
 しかしその手は秀吉の衣服を器用に剥ぎ取って
 露わになった上半身、しかも乳首に冷たいものを感じ驚いて半兵衛の顔から目を離す
 ぬめるタレを垂らされ、中身を失ったタレ用の匙は塗り延ばすように秀吉の上を何度も滑り、時にはその反応を楽しむかのように所狭しと蓄えられたその筋肉の線をナゾったり、また乳首をこね回したりもして、長く這いずり回る
 その焦れったいような感覚が脳内を痺れさせて、わけも分からぬまま秀吉は呻きを洩らす
 追い討ちをかけるように半兵衛の舌がタレを舐め掬っていく
 出っ張った場所には吸い付き、窪んだ場所は、ワザとらしく時間をかけて舐め上げる。秀吉が堪らず身をくねらせようとも、構わぬ様子でタレを舐め取ってしまった

「おいしかったよ。秀吉もおいしそうだったしね」

 実に楽しそうに妖しくも微笑みながら彼の身体から口を離し笑う

「別にこんなもの塗ってなくとも美味しいんだけどね」

 と、なにも塗らない背中に舌を這わせ、秀吉はその背骨の上を進む快感と不快感に堪らず喘ぐ
 背中を抱き、舌は腰にまでいくが、衣服が邪魔をしてその下には向かわない。焦れったさに腰がうねる
 半兵衛が腰に手を回し、残りの衣服をこれまたワザとらしいほどゆっくり、ゆっくりと下ろしていく

「僕は触ってもいないのに、イヤラシイなぁ秀吉は…」

 腰に回した手が、服の上からでも分かるほどに硬直した秀吉の股間に微かに触れ、それを嘲笑うかのように一瞥しながら鼻で笑う。勿論秀吉の羞恥心が増すことを承知で

「ねぇ秀吉…
 しばらくの間、僕たちは忙しかったからね、寂しかったろう?
 独りでヤラシイことなんかも、したかい?」

 そんなことを聞きながらもゆるゆると服を脱がせ、耳元で囁く。半兵衛の吐息と、その言葉に言いようのない恥ずかしさを覚え、反射的に顔を逸らす

「…答えなきゃ、ダメだよ。本当のこと」
「はしたない真似を、するわけがなかろう……」

 半兵衛の命令口調に口ごもりながらも答え

「嘘」

 秀吉の髪の毛を引っ掴んで軽く平手打ち。半兵衛の軽い平手打ちごときを受けたとしても、痛みなどあるはずもないが

「嘘つきにはお仕置だ」

 言いながらグイと自分の手を秀吉の口に押しやり、半ば強制的に口に含ませる
 その手がなにに使われるのかをしって、秀吉は半兵衛の指を、愛しそうに舌で湿らせていく。その姿は淫靡に映る
 十分に指先を湿らせてからその手を離し、力なき自分の手を秀吉に握らせ
 意外なその行動に、秀吉が不思議そうに眉を寄せた

「さぁ、教えるんだ。僕の手を使って
 寂しかった時、どんなふうに自分を慰めてたのかを」

 言葉の意味を理解した秀吉は瞬時に顔を赤に染め、そんなのは無理だと首を横に振る
 勿論半兵衛がそれを聞くはずもなく、冷たくひとこと言い放った

「嘘つきは…嫌いになってしまうかもよ?」

 それは言葉だけだと頭で分かっていても、半兵衛の言葉には何故か逆らえない響きがある
 半兵衛の手を取って、自分自身を扱くように握らせるのかと思いきや、そのまま撫でるように屹立した熱から遠ざかり、彼の指を入口に触れさせる
 力の入っていない、動かす気のない半兵衛の手。どうやら動かすのも自分でやれということらしい
 ちらり、半兵衛の方を見ると彼は、興味深そうに視線投げかけ、不敵な笑みをたたえたまま
 触れるか触れないかの距離がもどかしく、恥ずかしくて仕方ない気持ちと、その気持ちが悪くはないと思う葛藤の中で、自分の指と半兵衛の指を重ねて入口を遠慮がちに弄りだす
 しかし、思い直したのか手を離し首振り、

「…ダメだ、今は…汚い」
「汚くなんかないよ。それに、僕が見たいと言ってるんだから構わないさ。僕の言うことを聞けないのかい?」

 渋々、しかし本当は本能のままに快楽求め動かしたかった手。一旦動かし始めると、止まりそうもない
 入口をナゾる指は中に吸い寄せられ、熱い中に少しながら咥え込まれる

「う…っ、半兵衛っ……手、力、入れて…」

 力なくダランとした指じゃ奥に入らなくて物足りない
 そんな思いからか、いつの間にか腰を浮かせて奥に入りやすいようにしている状態
 半兵衛が力を入れてくれたので、秀吉の蠢く入口が彼の指を何本も飲み込んでいく。その手首を取って、自分が気持ちいいように激しく動かす
 秀吉の中は、指ででも分かるほどに、奥に入れれば優しく絡みつき、手前に引けば阻止しようと締め付けてくる

「半…っ兵衛ぇ、んうぅ…」
「独りでこんなふうにしてたんだ…ヤラシイけど、可愛いなぁ秀吉は」

 自分の細い手首を必死に掴んで、あられもない姿を晒している。言葉にできない優越感と、その姿に対する興奮
 逆に相手の方は。他人の手でする自慰にこれまでない恥じらいと、そこから生まれる甘美な快感に、身を委ねて声を上げ

 そのまま四つん這いになるよう促し、後ろに立つような形になる半兵衛の視線に気がつき、一瞬、躊躇ったが彼の言葉のままに、自分の欲望のままに、四つん這いになってさらに自ら羞恥心を高めるばかり
 四つん這いの後ろ姿。広い背中は既に汗ばんで。よく見えるのが、彼の指を咥え込む秀吉の淫乱な姿

「フフ…、よくできたね。いいコだ」

 背中を静かに撫で、これまで動かさなかった手を動かす。半兵衛の指が再度秀吉に潜り込み、その指を包む壁に指の腹を押しつけ摩擦する。それだけではあまりに芸がないから、動きに強弱をつけて
 秀吉の中の収縮が、表情見えぬ彼の気持ち良さを半兵衛に伝える
 手を引く度に、言葉なく「行かないで」と懇願するように入口がめくれ上がり見える色は、熟れた果実のよう

 まだ満足する前だと言うのに、指を引き抜いた半兵衛に、不安そうな目を向ける
 そんな目を無視するように、半兵衛は優しく彼の頭を撫で、どうしてかくるり反転しその場を離れてしまう
 ……意地悪い焦らしだろうか

「そのまま待ってるんだよ。イイモノを持って来るから」

 と、後ろの棚をいじっているらしい
 半兵衛が手にしたものはなんなのかは分からないが、また指が入り込んで中をまさぐる
 待ち望んだ動きに、思わず秀吉も腰をくねらせ歓喜の声を上げる

 その時、初めての感触が彼の中に入り込んできた
 手の温かみがないものがそう深くなく挿し入れられ、腸まで届き腹の中に流れ込んでくる……液体?
 その後すぐに、それは引き抜かれ

「半兵衛…っ、な、なにを……」
「浣腸だよ。
 今日は一日、僕の好きなようにと言ったはずだろう?」

 先ほど、腹の中で感じた液体
 体温より低い温度で秀吉の中に雪崩れ込み、その存在感はなかなか味わえぬもの
 それを秀吉は思いながらも、一方でこうも思っている
 ……確かに言ったが………
 そういう話じゃないだろ?!という胸の叫び

 体勢を変えようと上体を起こそうとしたところで、秀吉の左足になにかが絡み付いて、それが左腕と左足を一纏めに縛りつけてしまう。四つん這いのまま、もう一方の右手足も同様に
 お陰で、秀吉の手足はほんの短い距離しか動かせず、ほとんど自由を封じられた形

「はっ…離せ、半兵衛っ…」
「ダメだよ。ここで僕に見せて?
 大丈夫。ちゃんとキレイに拭いてあげる
 あぁ〜…そうそう、栓をしておかなきゃ、我慢しないで出しちゃうかもしれないなぁ」

 半兵衛はそう言うと、さらけ出された秀吉の下の口に太さあるものを埋めていく
 その異物感に一瞬、身を堅くするが中枢から走る痺れにも似た心地好さに、小さく息を吐きながらそれを受け入れ
 半兵衛の手がそれにリズムをつけ中を掻き回してやる。秀吉はそれに身を任せ、起こしたはずの上体は力なく地に伏して、一番天に近いのは彼の尻という有様


 いつまで経っても気持ちいいことばかりじゃない
 急に腹に伝う便意と、それを許さぬ彼を縛る紐。がんじがらめで動くこともままならぬ
 それを知った上で、半兵衛は先ほど入れた栓代わりの棒状のものを、一息に引き抜く

「ぃ、あっ…半兵衛ぇ、用足しも行かれん。解いて、行かせてくれ……」
「ダメだと言ったろう?今日は全部、見せて?
 おもらししたって、嫌いになったりしないよ。そんな秀吉が可愛いし、すべてを見せてほしいだけなんだ」

 甘く囁きながら耳をぺろりと舐め、ゾクゾクする感覚に思わず脱力しかけ、下腹部を鈍く押し続ける便意にまた力を込め直す
 時間の経過に伴い、押し出てくるものを押さえる力は弱まり、生理現象に敵うはずもないが抗い続けて、額に、身体中に、嫌な汗を滲ませ切羽詰まって涙ながらに訴える

「お願いだから…っ」
「トイレに行かなかったのは君だよ、秀吉。僕はくくりつけていたわけじゃない
 本当は見てほしいと思ってるのは分かってるんだよ」

 そう言うと、秀吉の回りが汚れてもいいようにとブルーシートのような大きな布を敷き、呻く秀吉はお産間近の奥さんのよう

 半兵衛は意地悪だ
 自由に動けないようにしたのは彼自身なのに、今さら「トイレに行かなかったのは君だ」などと言うのだから
 手足が自由であっても、今さら便所まで走るなど到底無理
 内部を押される苦しみはもはや絶頂期。後は押し出されるだけの段階

 赤子でもあるまいに、粗相などと恥じこの上なし

 それを思うと、恥ずかしさのあまり涙を零す
 しかも半兵衛がその姿を見据えている……楽しそうに
 見るな、と泣き声のまま何度もお願いしたが、それは聞き入れられるはずもない

 我慢の限界に大きな全身わななかせながら、その場に汚物を垂らし布地を汚す
 一度出てしまえばもう濁流の如く
 垂れ流しながら突っ伏して、嫌だ嫌だ、と声上げて泣く

 嫌だと泣くのは、恥じのためだけじゃなく、その言葉にならぬほどの恥じらいの中に、彼は言い知れぬ甘美な光を見つけていたから
 秀吉は恥ずかしくてここから消えてしまいたいと思い涙しながらも、人知れずその中に身体の奥底に宿る甘い疼きをも感じていた
 身体を預けたくなるような、熱っぽい疼きが、半兵衛の視線から波のように拡がる
 それを追い求めたい、と胸の深淵は密かに見られることを望む
 そんなことはおかしい…それは彼自身も知ることで、口にはできない想い

 秀吉がぼたぼたと漏らす汚物の音を、せめてかき消そうと、最後の抵抗かもしれない

 半兵衛に凝視されながらの、おもらし
 それに反応して身体がほてり、恥ずかしくて顔も上げられぬ
 顔を上げぬまま突っ伏して泣き続けるものだから、顔を上げた時の有様はひどいものだろうに


「おもらししてる秀吉も艶やかで愛しいと思ったから、見たかっただけなんだよ。
 そんなに泣かないで。ごめんね、もうしないから。
 いいコだったよ、秀吉」

 自ら汚してしまったその不自由な身体を、手早く拭いてキレイにしてやり、顔を上げさせキレイな布巾で拭いてやる
 本当は、ゆっくり拭いてその羞恥心を更に煽ってやりたい衝動に駆られながらも
 部屋を満たす臭いにすら満足そうに微笑むが、泣く秀吉のために紐を解き、二人で寝室に向かう



 秀吉は先ほどの浣腸で、すっかり気を損ねてしまったようだ
 実を言えば、秀吉は自分自身に恥じていたところが大きかったのだが

 常ならば、秀吉が口にしないため詳しいことは分からないが、一人便所の個室に籠り、半兵衛のためにやっていたのだろうが、その姿を見られるなど想像だにしなかっただろう。子供でもあるまいに


 ごめんね。
 しきりに謝る半兵衛の真摯な姿に心はいつしか揺らぎ、どちらともなく布団の上に雪崩れ込みながら、深く浅く、絡み合う長い口付け

 歯をナゾる舌
 初めて分かる、口内の窪みや出っ張りを舌で探り合って
 相手の舌の味を深く味わいたくて、より激しく貪るように吸い付く

 一人の自分ではなく、自分を舌にして、口内の神秘に潜り込む
 身体の中で神秘を感じるのは、なにも性器だけじゃない。キスだけでもこんなに…

 舌は口内だけでなく、身体の表面も、半兵衛を求む蕾の中にすら滑り込める一種の神器

 常より優しく身体に触れ、どちらともなく抱き合って。互いの鼓動が、血流までも伝え合う


 指で秀吉の入口を何度も擦る。入ってくるものだと身体は勘違いしているのだから、なんとも焦れったい
 ああ…また焦らすつもりか
 体力のない半兵衛は、長く、焦らすことが楽しいらしい。まぁ彼の趣向もあるのだろうが…

「立って」

 弄るのを止め、立ち上がった半兵衛が見下ろしている。急に言われてきょとんとマヌケ顔の秀吉

「ほしいだろう?
 ココも訴えてるよ。僕は触れてないのに、敏感なコだ…」

 すっかり体積を増したペニスを、傷はつかぬ程度に軽く爪弾き刺激を与え、鼻で妖しく笑う半兵衛
 彼が言うように、服などが触れる以外はなにも触れていないはずのソレ。腹につくほど勃ち上がる歳でもないが、頭を震わせながらねっとりとした樹液を滴らせ、より強い刺激がほしいと泣いている様子
 一瞬顔を歪めながらも、彼の言葉には逆らえない。逆らうつもりもない
 挑発的な笑みは、実は秀吉の興奮を燃え上がらせるものだということをすべて承知の上で
 …なにもそんなところで軍師的頭脳を見せずともよかったのだが、これには彼自身の本能も入っているのでしかたない

 立ち上がってみれば、見事な長身に半兵衛は見上げなくてはならない
 見上げながらも見下せる、そんな特技をもった彼は、秀吉の背に手を回し、内股に割り込んで自分の身を埋めていく
 その入り込んでくる感覚に、手を回された背中に生えた産毛が毛羽立つ様が手にとるように分かる
 先っぽだけが浅く、入り込んだ感覚。それよりもっと奥に、それを無言にも物語る秀吉の淫靡な包み込み

「ココから先は、秀吉が好きなように動いてみるんだ」

 立ったまま貫きながら。慣れてないことを促すなんて、今日はトコトン楽しむ気のようだ
 そのままで平静を保っていられるわけもなく、躊躇いがちに互いに寄り添うように身体を密着させ合って

 奥へ、奥へ…
 快楽をいざなうのは動く度に増す、その脳内を甘く痺れさせる病み付きになりそうな、麻薬並みの感覚に溺れていきたいと願うから
 まだ片隅に残る理性が秀吉の本能を抑える役目を果たして、遠慮がちに動く腰は物足りなさを全身に訴えかける

 徐々に途切れゆく理性
 まるで、鎖から紐
 動くのは自らの意思
 ソレは自らを羞恥に煽る行為に他ならぬ

 半兵衛は密かに秀吉の耳朶に唇寄せて、微かな刺激を与えているだけ。それだけで十分らしい
 秀吉は、自分の、半兵衛の、それぞれの僅かな動きのひとつにも敏感に反応し、絶えず熱い吐息洩らし、時には堪らず声を上げ

「なんだい秀吉…。もうイッてしまいそうなのかい?」
「あ…ぁっ、半べ……立っていられぬ…」

 自身を支えることもできずに、その場で動きを停止させる
 倒れてきたならば、半兵衛の細い身体では秀吉ほどの巨漢など支えられるはずもなく、共倒れは明白
 達しそうな秀吉を離すのは、実に惜しいが一旦身体を離して布団にもつれ込んで、今度は倒れた秀吉の身体に割り込ませ、半兵衛自ら押し入っていく。そろそろ焦らすのも可哀相だから

 繋がる痛み
 繋がる快楽
 相反しつつも共に在る感覚に身悶え、喘ぎも大きく
 もう既に熟れていたその身体は、貫かれる感覚に耐え切れず達し…

 その様子を眺め見た半兵衛は、心の中で舌なめずり、行動はニヤリと妖しく笑いながら秀吉を優しく撫でて、

「もうイッたのかい?まだ、入れただけだったのになぁ…」

 しかもクスクス含み笑いつき。これを意地悪と言わずして、なんと言う

 秀吉は、僅かに不満そうな顔を見せたが、すぐに恥じらいに俯いて

「僕はまだ満足していないよ?
 これから…満足させてもらうけど、ね」

 半兵衛は、そろそろと音もなく秀吉の後ろに回って背中に爪を引っ掛けながら、舐める。秀吉はこれに弱いらしい
 その証拠に、また溢れ出す艶のある吐息、声

「秀吉は動物っぽいのが実は……すごく好きなんだよねぇ?」
「っあ…、なにをいうか……く、ふうぅ…」

 死角から、舌と指が滑り込む感覚に身体が脈打つように反応して、知らずのうちに足は自ずと開く
 さっき出したはずの欲望は、数十分の時を経てすぐに膨らみ硬度を増し、先走って震える
 彼の中で、ひとつの動きではない、なにかが蠢き続けている

 ………半兵衛の指だ

 一番感じるところに…近いけどそこではないところを、行きつ戻りつ繰り返し…
 やらしい動き
 その手を掴み、首を振り止めさせ

「半兵衛、黙って……」

 身体は起こしたものの、半兵衛に背を向けながら慣れぬ手つきで自分から受け入れていく
 自分から半兵衛を飲み込むことの、言いようのない恥ずかしさ
 うまく入らなくて、腰を揺らし入口を拡げながらゆっくりと後ろ向きのまま、半兵衛の上に腰を下ろす
 慣れぬことをしているのを見る半兵衛が興奮しているのは、彼の感激のような息と、中に埋もれたペニスが大きくなったことでよく伝わってきた。それはちょっとしたよろこび
 もっとよろこばせたい、と恥じを忍んで腰を振る
 恥じらいの中にむず痒いようなよろこびを感じていたことは、半兵衛には内密に

 秀吉自らが乱れる姿や、恥ずかしさに悶える姿は、半兵衛にとって、なによりの誕生日の賜物となるだろうから

 結局は半兵衛がそんな秀吉を下から突き上げ、またしても先に達してしまったのだけれど。その後も何度も抱き合い………


 今日が、特別な一日であるように……。


 忘れてはならぬ。半兵衛への感謝の心
 秀吉はすべてを捨てた
 信長の目指す、腐った世ではなく、自分と半兵衛が目指す、輝かしい未来のために
 人の気持ちもお構いなしに、愛も恋も、時には友情も…
 すべてを捨てた。

 必要とあらば、秀吉は半兵衛をも捨てる覚悟
 野心ではなく、美しい桜を毎年、安全に咲かせ、散らせるために

 半兵衛は今まで、よく尽くしてくれた。そしてこれからも…
 もしかしたら、半兵衛を捨てる時が来るかもしれない
 しかし秀吉は分かっている。半兵衛も分かっている
 それでもなお、半兵衛は秀吉についていくであろうことも

 だからこそ、すべてを捨てる覚悟ができた

 そんな日がいつ来るか分からない
 だから今、心から伝えるのだ

 誕生日、おめでとう。


 口下手な秀吉ならではの『気持ちは、行動で表す』!






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愛ある半兵衛×秀吉スカ(ムチャクチャダヨ)
長すぎでスマン…大した内容でもないのに(マヂで)
誕生日ネタ&スカネタ(爆最低)
なんとか、内容を忘れながらも(やっぱりケータイはキッツイよ)打ち込みました例のブツがコレです…まぁ間違いなくあっしはエロは書けないっつーか…参考文献もなかったですしねぇ…(苦笑)

BASARA文2弾!!前よりしょっぱいものになってしまい、サブい限りで……(泣)
長すぎたから最後をはしょった感じ(笑)だってねぇ…中出しするかしないかの違いじゃない?(笑)
ちなみにゲイは中出しで腹痛まぬ!(by.猿/違っ)どっからそんな噂が出たんでしょ〜ね?

しかし…稲葉山の地中に潜る城とか、食堂でスカトロ(ウンコ食わせたりせんけどね)とか、秀吉は動物っぽいのが好き発言とか、背中の産毛とか、トコロテンとか…
かなりギャグって遊んでしまいました(笑)やっぱBASARAだからふざけていかんとね……(爆)

最後のグダグダっぽい文章は少々加筆しました。オチが甘いですかね?(痛)

関係ありませんが、同人文を真似て改行多く、見やすくしてみたらネギらしくなくなった…(笑)


(06.09.11 同時多発テロ5年目の雨の夜に寝転ぶネギ)