※二葉ちゃん&パー子


ただ、がむしゃらに

 何だかんだ言って二人は姉妹のように仲がいい。それをつなげたのは神崎一その人。彼の話は話題にはよく上がるけれど、恋の話題に彼は上がらない。
「見合い……しろって…」
「……むむむ、さすが、ヤクザな家っスねぇ〜」
 今回呼ばれて二葉がボヤキ出したのは、ここ数日前に急に上がった自分の見合い話だった。二葉の父親の神崎零が持ってきて、しかも、向こうも乗り気らしい。オテンバ娘でも気に入ってくれるような気の優しい、いいとこのボンボンとのお見合いだとか。
「うちはヤクザじゃないの!一のとこと、違うんだから!」
 一は知っているのだろうか。今回の見合い話について。きっと零が話しているだろう。少なくとも、零は二葉が一に懐きすぎていることを懸念している。だからこそこんな話を持ってきたのだろうと、二葉は勘繰っている。そう思えば思うほど、面白くない。ヤクザではない神崎零の家だったが、二葉はヤクザな空気の方が好きだった。だから、どうして父が家を飛び出したのかがまったく分からない。家に残って家業を継ごうとしている一の方が断然いけている。そう感じている。
「先輩は知ってるんっスか?」
「わかんない……でも、くそおやじがゆってると思う」
 ふうん、と由加は相槌をうつしかなかった。面白くなさそうな顔をしたままの二葉に、急に抱きついた。由加とべたべたするのは嫌じゃない。子どもみたいな彼女は、きっと二葉の気持ちに一番近い女性だと思うから。
「二葉ちんは、したく、ないんスねぇ〜。結婚、…つか見合い。ウチは一回くらいはしてみたいっスけどねぇー。上手くいったら、儲けモンっつーか…ラッキーじゃねっスか」
 由加については、彼氏がいる時といない時があって、いる時はケータイに貼られるプリクラが変わるのですぐ分かる。一度は一のせいで別れた男もいたようで、由加はブースカ文句を言っていた。「ウチと先輩は何でもないっていってんのに、信じねーアイツが悪いんスよ」とか何とか。実を言うとその時、二葉も由加と一が付き合ってるものだと思っていたので面食らっていたのだ。二人ともあっけなく否定した。
「二葉ちんは、したくねんスか?結婚」
「やだよ。見合いなんてぇ」
 由加が、ふ、と笑った。本当は彼女も知っていたのだ。二葉の浅はかで、でもとても深い恋情など。幼い時の好きと、今の好きは違わないけれど、やっぱり深みが違う。その色が変わっていく様を、すぐ隣で見続けてきた姉のようなひと。
「先輩は……、ぶっちゃけ、超。にブチんっスよ」
 核心だ。
 初めて由加から二葉の想いに触れた。二葉はゆっくりと由加の目を見た。由加は応援してくれているようだ。でも、おじと結婚なんてできやしないのだと、家系図の公民が何かの勉強の時に習った。学校の勉強なんていつも聞いていなかったけれど、この時ばかりは耳に入ってきた。従兄弟からはできる。と教師は言い切った。でも、従兄弟同士で結婚なんて言うだけでも、その家の中で大騒ぎになることもあるというのをテレビで見た。二葉は、そんな想いを結局胸にしまったままで大きくなった。
「パー子は、一のこと……好きなんじゃねぇの?」
 聞くのが怖かった答えが、どうしてか今は怖くなかった。ほとんど確証に近い言葉を口から吐き出す。由加は動きを止めて、そして二葉から視線をそらす。大きなため息ひとつ。視線は虚空を彷徨う。どこか遠くをぼんやりと。はあ。
「おんなじだったっスよ。ウチも、二葉ちんと」
 違和感。あ、過去形の言葉。〜だった。じゃあ、今は?
「…諦めた。何年も前に、ウチは」
 好きな人を諦めるってどんな気持ちなんだろう。何が何でも諦められず、ずぅっと側にいる二葉には理解できない。好きな人が好きじゃなくなるなんてことが。一のことを好きじゃなくなるには、あまりに近すぎて、だからこそ、一緒になる夢は叶わない。だから、せめてずっと。だから、分からず聞いた。どうして、好きが、そうでなくなるのかを。人生の先輩として。
「先輩より、もっといい男、いたっスよ。ま、深い意味では、しらねっスけど。今、別れてんだし」
 未練はない。カラカラと由加は笑った。神崎の家のことについても考えた結果だ。そう、普通の家の女ならば、それだけで腰どころか、すべてが引けてしまう……そんな家柄だ。引いてしまったならば、脈なしとまではいかずとも、そのくらいに思えばいい。とはいっても、そんなことは関係ない。ただ、新しい恋ができれば、古い恋は忘れられる。そんなことを二葉は感じ取った。それができれば何の苦労もないのだろうけど…、そう思いながらも納得した。ほんとうに由加は一のことを諦め切れているのか、わからないけれど。
「ウチは、べつに説教なんかしねっスよ」
 由加も二葉と同じ人を思ったのだ。良いところも悪いところも含めて、一を好きだったのだ。それは痛いほどに通じる気持ち。分かるからこそ何も彼女は言わないでくれる。ほんとうの、優しい姉のようで、二葉は切なくて何だか泣けた。ここで泣くのは意味不明なので、何とか我慢する。
「好きなだけ、好きでいればいいっしょ。そのうち、…分かる時が、二葉ちんにもくるっスから」
 何かを知っているように由加は言い切る。何を分かるというのだろうか。今がその時でないのは確かだ。外を見ると、黄昏時。夕陽に赤い風景がどこか寂しげで、二葉はいつもよりも強く、けれどなぜか遠く、一のことを思う。想いを告げたとして、彼が振り向いてくれることなんてあるのだろうか。破天荒なクセにどこか常識人で、家族や仲間内をとても大事にする親分肌な彼。


13.11.08

お疲れさまです
仕事はしてるのに、なんとなくヒマを持て余してるネギです。いいなぁと言われそうだが「うるせーだまれ」。
小話のつもりで書き出したんですが思ったより長くなったくせに意味がなぁいw
さすが書いたヤツがあんぽんたん様ですわね。。

二葉とパー子です。
姉妹みたいな二人で、ちょっと大人になった二葉ちゃんの話です
中高生だと思いますが、年齢の設定はしてないので分からんw
へたすりゃ三十路なパー子かよwww
ノリは同じ人を好きになった友達同士の話っていう感じかな

同じ人を好きになるっていうのは、友達の仲間内なら結構ありがちだったりしますね
学生時代の相手とは、まず結婚はないですけどね〜(大学ならあるんだろうけど。。
でも、これだけ年齢が違うとなかなか無いよ。これはレアケースなのです。


まぁ色々書いてみたけど、書きたいことがブレブレな文ではあるんですよ。
何が書きたいの?お前。という、

しかも、この2人なのにこんなに会話が少ないという。
ネギらしく、描写でセリフをなるべく消しましたね。彼女らなら会話文が妥当ですよ

会話文って、同人では結構見ますが読むの苦手だったりします
だから書かないんですねw


タイトル=10mm
2013/11/08 13:58:28