「ノラ作戦……失敗です」
 ホープからその言葉を聞いた時、ライトニングは内心、すごく安心した。グラン=パルスから来たファングは言うには、ヴァニラとファングはルシで、数百年という時を経てクリスタルから蘇ったのだという。希望は本物であったことを彼女らが証明していた。スノウは大バカ者だが、彼のいうことがそう真実から遠くないのだと知って、ひどく悪いことをしたような気持ちが生まれていた。
 セラがライトニングの誕生日にくれたゴツイ折り畳み式のナイフ。もらったときは苦笑しかできなかった。どうして誕生日プレゼントにこんな物騒なものを「お守り」として寄越したのか。それは未だに理解できないけれど、軍人といえど女性だということを思ってのことだったのか。まだ使ったことはない。他人に渡したのも初めてだ。ただ、少しお門違いの願いを込めて渡してしまったのだろうけど。希望(ホープ)だなんて。
 抱きしめていたホープの身体を離しながら、その足元に横たわるスノウの姿を見る。横目でちらりとだけ。生きている。それで充分でないか。生きていたら謝ることだってできるのだ。ファングがスノウの身体を起こそうとしていた。図体だけはデカイからな、と笑みすら浮かべながら手を貸す。ファングが教えてくれた道。スノウが示していた道。ホープが諦めかけた希望。すべてつながった。あとは生きて、コクーン聖府軍相手にどう立ち回るか、それを考えれば良いのだ。
 身体の大きめな女性二人に抱えられて気を失ったままのスノウは、まったくヒーローなどではなかったが、この能天気なサマこそがヒーローの資質なのかもしれない。と3人は思って笑った。


 ニュースキャスターの声が耳障りだ。うっすらと目を開けるとピンクブロンドのウェーブ髪が揺れていた。懐かしい光景だ、と思った。ここは天国なのかもしれない。だからその髪に手を伸ばす。
 不意にズキッ、と痛む脇腹。ここは少なくとも天国なんかじゃない。伸ばした手にはルシの刻印が刻まれたまま。
「寝てろよ」
 声でやっと気付く。見覚えのある髪はセラのものではなくて、ライトニングのものだったということに。見間違えて抱きしめて、キスなんてしてしまったら、脇腹に風穴開けられかねなかったな、などと思いながらベッドに再び仰向けになる。見覚えのない天井。ニュースの声はルシの話を繰り返していて、まともな思考を奪おうとしているかのようで、ライトニングが手元で弄んでいるそれを見つけるのが少しだけ遅れた。
「なんだ、お守りは取り上げたのか」
「ホープが返してくれたんだ。もう必要ないらしい」
「そっか」
「…、セラが、ああなって…あの子の思い出が全部、後悔に変わって……。信じなかった自分を責めた。思い出が、重くて……今まで逃げていた。なぁ、スノウ、その……すまなかった。許してくれ」
 初めて聞くライトニングの弱気の声。苦悩に満ちた音。だが決して逃げていない。目を逸らすことはしない。その目を見て、単純にキレイな光だと感じた。こんなにキレイなのに、苦しむ意味なんて解らない。だから言う。「何を」
「色々だ」ハッキリ物言わぬライトニングを可愛いとも思った。少しからかってやりたい。軽い気持ちだ。
「ほんとの名前を教えてくれたら許してもいいな」
「セラに聞けよ。あいつが帰ってきたらな」
「じゃ、許してやんない」
 スノウが笑う。冗談だと解る。だがすぐに腹を抑えて身を丸めてしまう。笑うのも痛むことだ。血を拭き取られたナイフを懐にしまう。セラを信じて信じて、信じ抜いた男の顔は痛みに歪んでいる。
「……傷は、大丈夫か?」
 浅いながらもこのナイフがスノウの腹を傷付け、抉ったのだ。この分厚い身体を貫通したり、死ぬような傷を作るまでには至らなかったが出血量は大したものだった。包帯がじんわりと血で滲んでいるのが見える。傷を見ようと椅子から立ち、ベッドの傍らにしゃがみ込む。もう一度包帯を巻き直した方がよいと踏んだライトニングは、スノウの包帯を外そうと手を伸ばす。血で固まってうまく取れないことにすぐに気付く。しまったナイフを再び取り出して包帯を刃で裂く。だが横になったままでは取り去ることができない。すまない、と前置きをしてスノウの腰の下辺りに手を差し入れ、何とかそれを拭う。まだ痛々しい傷口が、血に赤く染まっている肉が口を開けている。スノウは目を細めてライトニングを見上げる。
「義姉さん…、ちょっと、傷はまだ、さすがに見たくねぇんだけど…。いくら俺でも」
「包帯、巻いてやるから少し身体、起こせないか」
 傷を見てしまえば余計に痛みが増すのがヒトの心というものだ。見てしまったせいで立ち上がれなくなってしまうこともある。こんな状況で弱気なことは言っていられない。だから傷は見ない方がいいと思った。だが、少しでも動こうとすれば脇腹もそうだが、強く打った背中も鈍い痛みを訴えてくるのだ。だが包帯を巻かないことには何にもならないだろうと思い、何とか身体を起こした。身体を起こす、それだけのことで汗が滲んでくる。なんだよこの身体、とヤワに思えて唇を強く噛む。
「ったく…、図体ばかりデカイ――」
 ライトニングは気を失っていた時と同じ言葉を、気を取り戻したスノウの前でも吐く。悪態だが今までのようなトゲトゲしい雰囲気はなくなっていた。それだけでもすごく安心する。包帯を巻く前に消毒だ、と消毒液を染み込ませた綿棒を傷口に当てる。スノウを襲うのは文字通り飛び上がりそうな痛みと、冷たい感触。綿棒は冷たかったはずなのに、あまりの痛みで身体は熱い。思わず身体に力が入り、全身が強張る。カッコワルイので声は上げないようにがんばる。
「――手間のかかる、子供だ」
 ライトニングはスノウを見て、フッと笑う。それは多少は馬鹿にした意味合いもあったのだろうけれど、スノウを見て笑うことなどこれまで一度だってなかったから、あまりに気が抜ける。安心と心配とセラのことと、すべてがないまぜになってごちゃごちゃで、今までは張り詰めていた身体から力が抜ける。と同時にライトニングに寄りかかるような格好になるスノウ。寄りかかられてもその重さを支えきれなくて、ベットの端で押し倒すような格好になる。
 目が、顔があまりに近くて、互いに息を呑んだ。ごくり、と鳴った喉はどちらのものだったのか分からない。ただ、互いに近い胸がライトニングの服の上とスノウの素肌の上で重なった。途端にドクドク、鼓動を伝うのはどんなもんだろう。自分の鼓動を他人の鼓動と勘違いしているみたいに。
「っ、ごめん。義姉さん……力、入んなくて」
「……う、っ。お、重…」
 スノウに伝うライトニングの、人としての体温。人…、それはコクーンの民には蔑まれる言葉かも知れないけれど、ルシである刻印をもっていようとも人は人でしかなく、ナイフの刃はスノウの腹を抉ったのだし、ライトニングの血潮は流れていてこんなに力強く鼓動を鳴らし、己の身体を温めているのだ。人と何が違うというのか。まだライトニングの呻きのような声は聞こえていた。だが、身体を動かすにはもう少しこのままで体力を回復させなければならない、と思った。
 瞬間、忘れていればいいのに、あの日の――ビルジ湖で見た――ライトニングの美しく清らかな裸体が脳裏に浮かぶ。ああ、どうしてこんな時に!とスノウ自身も自分を叱咤したのだが、脳内に映り込んだその映像は頭から離れることはなくて、再び擡げてくるあの思い。あの時に思った願いは聞き遂げられている。義姉さんに触れたい、その思いは叶っているはずなのに!
「悪…、押しやってくれ」
 その言い方が弱かったのか何なのか。ライトニングは黙ってしまった。苦しげな声も上げない。だからスノウは何とか首を上げてその様子を見ようと努力した。見えた表情は心配そうに僅かに歪むもの。いつものライトニングとは違った悲痛の表情。こんな優しい表情を最初から見せてくれていたのなら、もしかしたら、この女に惚れていたかもしれない。スノウは内心そんな秘めた思いを感じつつ、「義姉さん」と小さく呼んだ。眼元はキリッとしているライトニングだが、それ以外の造形はセラとよく似ている。垂らした髪がスノウの鎖骨の辺りに触れてムズムズした感触を与えていた。セラと同じピンクブロンドの美しい髪。
 セラを思う。目の前のライトニングを思う。姉妹であることは頭の中からすっぽ抜ける。



 互いが互いの目を見ていた。どちらもひどく真剣で、どちらも正気の目をしていた。
 なのにどうして、唇はやわらかくて心地好く、溶けてしまいそうなくらいにやわらかいものに触れているのだろう。



 触れているのが、目の前にいる相手の唇だということに気付くまで、数秒間のタイムラグがあったように感じる。
 ライトニングは跳ねのけようと思った。目の前の怪我人であるスノウの身体を。しかし押しやった所でスノウの分厚く重い身体はそこからどけられるような代物ではない。そんなことは分かっていたはずなのに。
 ぬるり、とライトニングの唇を舐めて、その隙に割って入り込む魔物のようなスノウの舌の感触に、まともな思考なんて残していられるはずもない。苦しさ、呻き、拒否の言葉、悲鳴…、すべて唇の中でなりを潜めたまま。ねちょ、と口の中の粘膜を確かめるようにそこらじゅうで蠢いている。やめろと叫ぶ言葉も、呼吸すらもすべて塞いで唾液は零れゆくままで頭の中は熱されて。一旦、スノウの顔は近い距離なれど今までよりは少しだけ離れていく。その表情はきっとセラを見つめる顔で、眼が愛しさややるせなさを物語っていた。感情の波に濡れた瞳は男と言えどひどく色っぽく映る。だからライトニングは言葉を失う。もっと、その目を見ていたいとすら思ってしまう。その表情以上に異性に色気を覚えたことなどきっとないから。
 言葉を発する前に再び訪れる唇を浸食するあの感触。二度目のその感触は、気色悪いものではなかった。ただ、さっき見たスノウの物欲しそうな表情が思い浮かぶ。飲み切れなかった唾液の雫が胸元にねっとりと伝ってくる感触は、あまり良いものではない。スノウの重みを感じながらスノウが恋人の、ライトニングの妹の名を呼ぶ様を思い起こす。
「……っ!!」
 ゾクリと背筋には冷たいものが走った。だから思わず怪我人であることも忘れてスノウの身体をベッドの上に殴るように押し返した。二人を繋ぐ唾液の筋は、透明な雫となって途中でぷつん、と途切れた。熱いキスの余韻が切れた。
「セラは、…セラはどうしたッ!!!!!」
 ごしごしと力強くライトニングは口を拭った。セラの恋人に奪われた唇など穢れ以外の何だというのか。そして、この男は頭が狂っているのだろうかと思う。セラという婚約者がいながらにして、ライトニングに何をしようとしていたのか。それが事故というものでないことは二度目の唇の感触によって立証されている。それともこの男は白昼夢でも見ていたとでも言う気なのだろうか?
「ご、めん…、義姉さん。俺、セラがクリスタルになった後、湖で水浴びしてる、義姉さん見て………キレイだ、って」
 すぐには思い出すことができない程、そう遠くはないはずなのに、今はひどく遠いルシになったばかりの頃のある意味では懐かし思い出。希望も持てないでいた頃の、悲しい尖った思い出。
 だから、すぐにはスノウの言っていることが理解できなかった。そして、「湖」がビルジ湖であることを思い出して、顔から火を噴きそうな程にカァッと熱くなる、それは顔だけでなく、身体全身から噴き出しているみたいに。
 目に映る男の姿は、確かに『男』でしかなく、情けないような困ったような表情をしたセラの恋人・スノウに他ならない。どうやっても見間違いではない。目の前にいるのはスノウだ。ライトニングにキスしたのは、…スノウだ。そんなことをしてセラが悲しまない訳がない。ライトニングは簡単に認めたくはないが、それでもセラがスノウを愛していたのは明白。その男が自分の姉に手を出そうとしているなどと、それは悲しみを通り越して怒りにすらなりえる。そんなことにすら心が及ばない程にライトニングは、自分が目の前の男に水浴びを見られていたことに動揺していた。殴ってやるべきだ、そうして、この男に頭を冷やさせるべきだ、そう感じた。ライトニングが振りおろした拳がスノウの額にヒットしても、その感触がうまく掴めないでいる。…不安定だ。
「……ご、めん…。悪気、なくて…っ、…」
 スノウが口を開いている途中にライトニングの振りおろしパンチが当たったため、途中で電波の悪い無線のように声が途切れた。



 気を失っていたらしい。スノウが目を開けた時に、覗き込んでいたのは前と変わらずライトニングのものであったけれど。
「―――…スノウ?」
 呼ばれて気付く。何度も呼ばれていたことに。その声に、呼び方に聞きおぼえがあることに。そして、ライトニングがスノウの名を呼んでくれていた、ということに。いつもは「お前」とか「貴様」とか憎しみを込めて呼ばれていたのに、今は心配されて呼ばれているのだと、その声色で解ってしまう。嬉しくなってしまう。
「………う、ね、義姉さん…」
 スノウは、はたと思い出す。ライトニングのパンチで戻った気を更に失わされていたのだという事実を。もちろん殴られたのは、自分の告白や行動が悪いのだろうけれど、不可抗力の事故というもので、気を失う程に殴られるはずのものではないはずなのである。よくよく考えれば理不尽な暴力をいつも受けているな、とぼんやりと考えてしまう。
 理由は解っているが、それでもやり切れない時があるというものだ。この心配そうな顔にかこつけて日頃の憂さを晴らすべきだろうか、などと何かしら口を開いているらしいライトニングの言葉も耳に入らないままに思う。そして、気絶していたらしい時間は僅かだったことを感じる。その証拠に、先程染まったばかりのライトニングの頬はまだ赤いままだ。…それとも、再び赤く染まったのだろうか?
「誰が義姉さんだ」
 いつもと同じ答えだが、声色には震えがあって弱々しいから、違和感が伝って来るばかり。
「効いた」スノウの笑うように押し出される声。その笑顔もいかにも作られたもの、といった感じで傷の痛みを抑えて何とか笑みを浮かべているといった調子だ。そんな様子の相手に、痛みを紛らわせるために笑ってやれればどんなに楽だろうかとライトニングは思う。しかし、先程感じたスノウの唇の感触がまだ残ったままでは冗談でも笑えない。表情を隠す意味でも、相手を見たくないという意味でも、眼を細めてその場をやり過ごそうとする。
 しかし、スノウから見れば切なく目を細める様は艶っぽく映り、唇を再度奪いたいような思いに駆られてしまう。一回でも相手を美しいと思ってしまえば、よほどひどい様を見なければ美しく見えてしまうのだと認識させられる。お願いだから自分から顔を逸らすとか、部屋から出て行くとか、そういうことをしてほしいとこれほどまでに願ったことはない。
「起きれねぇ」
 相手のことを考えたくないあまり、何とかおどけて見せる。スノウは軽く言ったつもりだったが、ライトニングは慌てて上からスノウの顔を覗き込んできた。まさかそんなこをしてくるなんて、思ってもみない。さっき自分は目の前の彼女の唇を奪ってしまったのだから。絶対に許されるわけもない。だから、
「大丈夫か。どうすれば楽になる」
 ―――だから、優しくされるわけないって、そう思っていたのに。ライトニングは平気でスノウの表向きの願いを、アッサリと裏切ってくれた。覗き込んできた彼女の顔がまだ赤かったのにも、ウブな態度が堪らないような気分にさせる。
 言いたくはないけれど、それでも言わなければならないだろう。ライトニングがここから離れるために。セラのために。そして、何よりスノウ自身のために。間違いを起こさないために。もやもやした気持ちを言葉に乗せる。ライトニングが気を遣って言ってくれた言葉を裏切ろうとして口にするのは、とても胸の中で気分が悪い。
「義姉さんが裸、見せてくれれば」



 どくどくと心臓は馬鹿みたいに跳ね上がったままで、まったく通常の機能を果たしているとは思えない。息苦しい程に呼吸が浅い。スノウのことを殴ったのにすっきりしない。ライトニングはまだぽっぽと燃えたように熱い顔を何とか冷まそうとしていたが、それが叶う前にスノウが目を覚ました事実に不機嫌さすら覚えた。
 スノウのぼんやりとした表情を見ると、先程のキスの感触がまだ唇に残っているのが分かる。ひどく身体が火照った。こんな気持ちを感じたことはない。ただ、ひどく恥ずかしいと思った。そんな恥ずかしい思いの中、スノウは裸を見たい、と言った。先に裸の姿を見た、と言ったばかりなのに。
 殴りたいのに身体は火照るばかりで力は湧かない。どうしたってこの身体は腑抜けのようになってしまったのだろうか。つい今さっきまでこの重くて邪魔臭い男をファングとホープと一緒に背負ってきたばかりだというのに。先の自分と今の自分がまるっきり別の生き物になってしまったようで、不安さえ覚えてしまう。
 見下ろしたまま、スノウと目が合う。スノウの目は何かに向けて爛々と輝いている。しかし、いつもの喜怒哀楽といった表情は感じられない。それが一層不気味である。感情の感じられない視線は、まるで射抜かれているようで落ち着かない。いつもと立場は逆だった。ドギマギして目を逸らすのはライトニングの方が先だった。
 だがこうしてずっと相手から目を逸らしているわけにもいくまい。ライトニングももちろん分かっていたので数十秒という時間目を逸らしていたかもしれない。数分だったかもしれない。そう長くはない時間で気持ちを落ちつけようと数度、深呼吸を繰返して再びスノウへと視線を戻す。体勢は変えていない。ベッドの傍らの椅子に座って見下ろしたままの格好だ。
 すぐに相手の目を見る気持ちにはなれなかったので、包帯の巻かれた身体をぼんやりと眺める。ライトニング自身が巻いた包帯。ホープを庇ったケガ。鍛え抜かれた肉体は隆々と筋肉の形に盛り上がっていて、狭そうに苦しそうに包帯で隠されていた。所々が黒っぽく変色しているのはまだ血が止まっていないためだろう。あともう少ししたら、包帯の取り替えが必要なようだ。
 呼吸している。胸や腹が呼吸の度に上下する。その様子にひどく心が揺さぶられるのが不思議だった。セラが渡してくれたナイフだったからだろうか。それとも、別な理由があるのだろうか。それを測れるほどライトニングは大人でもなんでもなかった。ようやく絞り出した言葉は、あまりに滑稽なもの。
「……本当に、よく、なるんだな?」
 スノウが息を呑んだのが分かった。本気の色が出た声に、スノウは少なからず反応している。冗談半分で言った言葉に。ライトニングはこの部屋が暗いことに感謝していた。今の自分がやろうとしていることは、暗い部屋でなければ実行できそうもない。動けない相手の前だが裸になるなどと、そんなはしたないこと。それを思えば思う程にドクドクと心臓は激しく脈打ち、苦しいくらいに意識させられる。ライトニングの声は震えていたけれど、それにスノウは気付かないフリをした。もしかしたら、があるかもしれないから。
「…なら、仕方ない、な………」
 そう震える声で言うと、ライトニングはいつも身にまとっている衣服をその場に捨てるように脱いでいく。その度にまぶしいほど白くきめ細やかなうつくしい肌があらわになってゆく。暗い部屋の中でもひときわ目立つ、浮き上がるようなうつくしさを持つライトニングの肌に見惚れてしまう。口はカッコ悪いかな半開きのまま。きっとライトニングから見ればスノウのその表情はバカ面であるとしか言いようがない。だが、彼女の口からはそれを蔑む言葉は聞こえない。彼女は月明かりと隣の部屋から洩れる灯りに照らされてうつくしく、そこに存在していた。気が付けば彼女を守る衣服は無機質な床に脱ぎ棄てられていて、局部局部はその華奢な両腕によって隠されていたけれど、一度あの川で見た光景がありありと蘇る。スノウは熱い息を吐きながら、腹筋の力だけで身を起こす。ベッドの上に座ったまま彼女へと手を伸ばし、ライトニングを抱き寄せながら強引にそこへと押し倒した。その時のライトニングの驚いた表情と言ったら! お化けでも見たかのような顔をしていて、哀れだとは思ったが理性は一度飛んでしまえば歯止めが効かないものなのだ。


麗しの未熟2

title of : goz



130506

たぶんこれを書いたのは一年くらい前の話になると思います。

まぁ話自体というか、ストーリーにエロを絡ませるってだけのよくあるパターンなんですが、セラいるんだから最低だろ!って思いながらゲームやってて思いついてたんですよね。懐かしいっす。

で、これを今更なんでアップしたんだって話なんだけど、
もう長さもそこそこ当たり前になってるのに、なんで上げてないんだよ!って思ってね、それだけの話なんですよ。コレ

次、もちろんエッチ突入しますので今から書くんだけど、待っててね!
もちろん、ねちっこくねちっこくライトさんを追い詰めていくんだ!スノウのえっち〜〜ww
て、アホか。こんなスノウ嫌だ、なんですよね。いつ見てもw


いつ書いたものか、ちゃんとしてないのですが、一応保存日が20120917になってました。覚書ですw
2013/05/06 18:26:17