世界崩壊の過程ととある二人の物語




 子どもができるだなんて考えてもみなかった。考えなくてもわかることだろうに。それほどまでに情がない相手なんだろうな、と言葉にせずとも思ってしまう。愛とか恋とか、そんなことはどうでもよいのだ。ただ、目の前の女とやるか、と思っただけのこどった。彼女は嫌がった。だがそれが燃えた。三島財閥の名前をチラつかせればそれを拒否する女などいないからかもしれない。もしかしたら、彼女が好みのタイプだったのかもしれない。だが、それについては自身でもまだ自覚要素がないので分からないことなのだった。嫌とかいいとか、そういう思い以前の問題だった。ああ、お前だけじゃない、興味無いんだよ。でも、女にはどうしてだろうか、興味が持てたのか。彼女は自然の中で発光するみたいな存在として、生きていた。そんなヤツいないだろうと笑うヤツは笑え。確かに存在するのだし。いい悪いでなくて、今ある状況に、自然についていけるか、いけないか、だろ? それはある意味自分とそう変わらないのだった。深読みなんていらない。
「どうして…、こんなことをするのです」
 女は、不意にそんなことを言った。組み敷かれて、犯されて苦しそうな顔をしながら女は。こんなこと、だと? こんなことをしなければ誰も生まれてこないから、誰もが死んでいくというのに。バカな女だ。フン、と鼻で嗤う。
「こんなこと? セックスのことか」
 女の両足を掴んで、再び深くつながるように奥へと腰を進める。この女はついさっきまで処女だった。ブスでもないので意外だとは思ったが、巫女の真似事のようなことをしているし、頭が硬そうなので結婚まで男とヤるだなんて考えられないような天然記念物なのかもしれない。まだ入れるにはその入口は狭い。破瓜の血が点々とシーツに付いているのもそそる。両足を抱えて肩にかけてまじまじとそこを見ながら淡く口開くそこをやわやわと弄ってやると、くちくちと小さな水音を立てて潤み始める。女とは愚かなものだ。こうして無理矢理子種を仕込まれるようなことをされても、ちゃんとココは濡れるようにできている。込み上げてきた笑いが止まらない。濡れているのだから喘いで、欲しがればいい。浅ましく腰でも振って発情していればいい。マグロのように横になったまま無表情で女は、時折こちらと目を合わせる以外に特に何をもしようとしなかった。こうやって何度つながったろう。女は泣くことすらしないので、泣かせてやりたいと思っているのだが。
「濡れてるぞ。感じてるのか」
 ガツガツと腰を動かすと、粘膜同士が触れ合ってとても気持ちいい。女の中は見た目以上に潤んでいて、そして熱い。一定のピストンでは飽きるので、この女の体を貪るためにつながったまま体制を変えてみることもした。こうして子種を女の中で吐き出すのももう三度目くらいにはなるだろう。女の体から自分のモノを抜いて、二人分の体液でドロドロになったソレをティッシュで拭いた。女は虚ろな目をしてどこか遠くを見ているようにしているが、いつもこんな感じだからあまり気にならない。押されたままの形で倒れこんで、疲れたように呼吸をしているだけの女。せめて泣いて嫌がればもっと面白いのだが。
 溜まったものは大体吐き出した。だがこの女をオモチャにするのはもう少し長くてもいい。女を監禁したまま部屋を後にした。どうせ逃げる気力もなさそうだ。何より、たまに発するこちらに対しての憐みのようなクサいセリフ。不快だったが、その真意を知りたいと思うのはおかしなことだろうか。服を着て部屋を去ろうとする時にまた女は言ったのだ。
「三島一八。貴方は、どうして破壊を繰り返すのです? 貴方自身を、苦しめる結果しか生まないというのに。」
 どうしてだかは分からない。ふっ、と死んだ母親の笑顔が、脳裏を過った。母親の顔など憶えていないような気がしたが。あの忌々しい父とも呼びたくないアレのことも、思い出してしまった。途端に頭に血が上る。余計なことを言うな、このアマ。いつの間にか女の長い髪を掴んで、その柔肌に拳をつき当てる。壁にたたきつけらながら女は、それでも涙を零すことをしない。拳法の嗜みがあるのだから当然か。ちゃあんと受身もとっているのかもしれない。見た目よりダメージが少ないから、女は泣きをいれないのかもしれないなどと思ったりもする。答えはないが。倒れこんだまま女は見ていたが、それを無視した。菩薩だとか観音だとでも言うのか。あれも、穴が空いているただの女だろうに。まるで、天女のような口をきくなと思う。恨みはないつもりだったが、殴りつけたくなるのは女のその態度のせいだ。上から目線のように感じるその言葉。虫唾が走る。貴方を苦しめる結果、などとふざけるなと何度も思う。そう思いながら、何日をもかけて女を犯し尽くす。やりたいように女を汚し尽くす。セックスは男にとっては悦びであり、女にとっては悦びと苦痛の入り混じったなにかなんだろう。破壊するのはお前の身体だろうが、そう思いながら女を犯すのは、ひどくゾクゾクするような感覚があってとても愉しい。これはサディスティックな冷たい感情だ。身体は熱くなるのに、思いは冷凍みたいに冷えていくのが不思議だった。自分のモノの抽出を繰り返しながら濡れた音を立てる女の身体には嗤うことしか生まれない。女の、空っぽの目が嫌いだ。濡れた音を立てながら、どうして。


 やがて、飽きたので女を離した。警察にタレこまれようとも関係ない。三島財閥の金があれば女を監禁しレイプしたことなどものの数ではないのは明白だったからだ。世の中はカネで回っている。カネがないヤツはくたばればいい。苦しめばいい。女と会うことなど考えたことなどなかった。女に対して、セックスをしたという以上の感情も生まれなかった。だから、再び顔を合わせた時に女の腹が大きかったことに対しても、何の興味もわかなかった。どうでもいいからだ。お前のことなどどうでもいい、そう思っているからだ。だが、女は腹を守るような格好をとりながら言うのだ。
「子どもが、出来ました」
 ───…誰の?

 聞くまでもないことだとは思うが、もちろんそうなのだろう。ああ、おれと、お前との、子どもなのだろう。その子どもについてなどどうでもよい。だから言うのだ。
「要らんな」
「そうですか」
 分かっていますよ、と言わんばかりの感情の起伏のない声色で女は。その時、どうしてだろうか、複雑な、でも、間違いなく嫌な感情が生まれたのは確か。だが、それを何であるかなどと言葉にすることなどできない。言葉にしてしまえば、きっと、惨めになるのは自分のような気がした。なぜかは、分からないが。女は顔色をまったく変えずそのまま踵を返した。その感情の色もない行動がきっと、女と、その息子の命を救ったのだろう。
 今になって、そう思う。としか言いようがない。感情的な女だったなら、きっとその場で殺していたかもしれない。泣かせていたかもしれない。だが、そうではなかったから、女はそこで生き延びたのだった。


13.05.02

お疲れ様です!
鉄拳の風間ふうふ×ネタです。
かなり勝手なネタです!!



アンノウンてイミフですよね?
や、この間何周かした感想です。
でも風間準かなーり意味深なので、深読みしたいってーか、むしろ、なんも分からんかったらそれはそれでいいけどw
勝手に読み取ってアンノウンについても書いて行きたいですw


青春
2013/05/02 23:13:58