ある午後の会話。
その日は平和だった。
「好きなタイプー?」
何だか、子供染みた会話。
「小っちゃくて、可愛くて、儚そうで、線の細い、でも影がある――…」
想う人が居るだけに、話は具体的だ。
「陸遜。」
別に隠す気は無かったらしい。
彼の親友の大男は、溜息を吐いて言う。
やめとけ、嫁さんと落ち着けないのか。それに相手が悪いだろう、と。
「最高の相手だ。俺は欲しい。」
彼は真剣な眼差しで語るのだ。
まぁ歴史を見ると「デキる男」には好色が多いものだ。
余り欲の無い親友は小さく、莫迦…と呟いただけ。





その想い隠す事無く胸に抱き続け時は過ぎ。
想い抱くその人を強引に連れ出して居た。
一度手を握ったなら、もう、離さない。
「親御さん達の事は、悪かったと思ってる。
 この借りは、天下統って返す積もりだ。」
彼は壮大な夢を語って聞かせた。
「…昔の話です。気にしていません。」
暗い影をその身に抱え、返す。言葉少なく。
「じゃあ、俺の物になってくれ。俺はお前が欲しいんだ。」
答えは返って来なかったが、俯いたその人を抱き締めて。
弱々しくだがその行為に返してくれた事に肯定を感じ。

どの位抱き合っていたかは判らぬが、
手を離すと元来た道を戻って行こうとする想い人。
照れの為だろう、と彼は言葉を投げかける。
「愛してるぜ。」
振り向いたその顔は、笑顔。
今までに見た事もない、それは嬉しそうな。
片手を挙げるその人。
心通い合った事を確信した男は、愛しいその人の名を。
「りくそ……」

最後まで言われる事の無かった言葉。
四方から降って来た矢の雨に打たれ、その場に崩れる。
笑顔は、スローモーションで、少しだけ近付く。
彼は、親友の言葉を思い出す。



「陸遜は何故俺の顔すら見ようとしてくれないんだろうな?」
「どんな理由があろうとも、血族を狙ったのは、我々だ。」
優男な親友もまた、やめろ、と言う。
「腹に悪心抱いているやも知れぬ。引いて様子を見るべきだ。」
「俺の愛で、それ位乗り越えられるだろう?」
「………大馬鹿者。」



その通り、だったのか。
仕組まれていた――と彼は感じる。
離れた処に居る、その人に視線を合わせ。
「孫策殿。貴方の事は許しません。
 貴方の、家族も。」
笑顔。まばゆい程の。
「私は、貴方を愛する事はありません。絶対に。」
いつも見たいと、彼が想っていた………




* * * * *




ハイ。ポッと出(笑)。書いてるヤツはいそう(見た事無いケド)ですけど。矢傷が元で死にました孫策。こじつけ(笑)。嘘ッ八。バレてないあたり、よっぽど巧く殺ったんだな陸遜。
兄がやられたの言わない訳ないやんな?…まぁ言えなかったってことで(笑)。声を失ったとか、ショック状態だったとかで。ハイ、無理な設定〜〜♪
どーでもいいけど親友の扱いのヒドイ事(笑)。特に大男の方。好色は「デキる男」で、彼は「無欲の男」だからね(笑)役立たずカスっぷり丸出し。突っ込みドコロ満載。
ワシャ、も少し明るい話が好きじゃのぉ…(マジかぇ)つ、次は…ッ!!



*(20090411補足)
要は、孫策の見た目の好みのタイプが陸遜だったのだけれど………
っていうショタに走りそうなネタだったのだが、走らないのが、おれのいいとこ(?)かもしんない。以上


2006/01/20 08:29:31