今時珍しい。
家が神社だかというのはさておき、考え方というかなんというか。あまりに古風なその様を見てしまえばこちらこそ釣られて赤面してしまえるくらいのもので。言葉優しくいえばウブってことなのだろうが、ハッキリ言って精神的に時代錯誤している、そう思う。好きとか嫌いとかそんな短い単語だけじゃ表しきれない何か。
「お前さ、」
特に何かがあったわけでもない。たまたま教室で二人だったというだけのタイミングで彼女に声をかけてみた。別段いつもと変わらぬ様子で振り向く。その際にサラサラと流れるように動く髪が目に心地よい。電気の光に照らされて角度によって眩しく感じられるため目を細めてその場を凌ぐ。
「男に免疫、ないよな」
相手は面白くなさそうな顔をして睨みつけた。殴られたって入院させられたって怖くはない。彼女の強さは知っているし、その強さすらも魅力的だと思ってしまったからだ。
異性の話には特に色っぽい話でなくともめっぽう弱いくせに運動というか、実力というかそういうものは本当に優れている。並の男程度じゃ全く太刀打ちできない。そんなレベルと比べる自体あまりに失礼、のような物理的な強さを持っている。確かに。
そんな理由や印象もあり、不機嫌そうな声色と構えた腕を見ながらもこちらはそれにあわせて構えたりしない。
「クイーンなのに、少女って感じ。」
構えた手は腰のあたりでそのまま。けれど動きは止まってしまった。それにあわせてどうやら思考も停止しているらしくしばらくは時が止まったように目を点にさせて、やがて顔を真っ赤にして否定の言葉を口早にどもりどもり言う。
「な、なななななに言ってんのよ姫川、アンタ、意味ぜんぜんぜぜんわかわかわかわかんないわよ」
少女みたいな、そんな可愛さがある。
それは姫川の口調に込められていたのだろうか。何も口にせずともどうやら葵には伝わってしまっていたようでそれを受けて真っ赤な顔でアタフタしているのだ。そんな姿もまるで少女みたいだ、と姫川は思ってしまう。だがそれについてはなにもいわずに「あっそう」とだけ返す。古風なこの女が気にかかるのは、こういったタイプの女が姫川の周りにいないから、だからからかいたくなってしまうんだろう。


はびこる光の廃棄物




12/01/13

13日の金曜日に書きました。
本当はショートショートのネタBOXを作って、そこに置くかなぁとか思いながら書いた割にそこそこの長さあるかもと思って小ネタバブに置くことにしました。
この2人ってちょい怪しい感じありますよね?まあ葵ちゃんはそんな気がサラサラないわけだけど。葵ちゃんと組み合わせるなら王道男鹿、で男鹿に似た思考を持つ虎、そしてまったく違う人種姫川。だろうね、、

この話はラブテイストではなく、姫川がなんとなく葵を気にしているというだけのこと。それを感情にするなら何になるかは蚊帳の外です。深読みしないでいただきたく。
無理だよね、あう。




2012/01/13 00:06:28