賭勝負


「うっしゃぁあ!俺オイチョ」
「…カブです」
「ハイごめんね〜2人とも。親の権利でシッピン!戴き」
 天下の不良高校という精悍で逞しい青少年たちが学び舎で、賭け花札というヤクザな遊びを嗜んでいる。にこやかにさわやかに楽しい休み時間、財布が軽くなっていく。
 だが神崎はおもしろくなかった。というか100円玉がもうないのだ。昨日は城山にコテンパンに負けたせいでヨーグルッチが飲めなかった。今日は夏目にドカスに負けているのだ。チクショウ、最近こいつらに勝てたためしがない。イカサマでもしてるんじゃないのかと問い詰めたし、手元を見たりもしたけれど、別段そんな器用なこともしていない。つまりは運が神崎の方に向いていないというだけの話。
「ツケてくんねぇ?金、もうね〜んだわ。」
 困った顔で両手を広げてオケラです、とジェスチャー。城山から100円玉数枚受け取りながら夏目は気にすることもなく言う。
「気にしなくてもいいよ。お金じゃなくってもいいからさ」
「んん、お?」
 意外な夏目の返答になぜか身構えてしまう神崎。こういう時の夏目の顔は時に、冷たく微笑を浮かべる絶世の美少年で間違いないのだが、厭な空気も漂っているからだ。
「体で、払ってもらうから。」
 思わず無言で自分の身体を両腕で強く抱き締めた。なぜか城山も身構えている。
「……や、そういうエッチっぽい意味じゃないから。安心してよ2人とも。あと城ちゃんには言ってない」
 なだめる夏目を見ながら恐る恐る神崎は構えを解いて夏目からいつでも逃げられるように後退りながら問うた。
「俺の言うこと、聞いてほしいなーって思って。」
 ウワ、なにこれ怖〜〜〜〜〜!!!!! 神崎と城山は同時に全力でヒいた。にこやかな夏目程不気味なものはありません。何されんだろ俺…未来は暗く、黒く浮遊している。

11.09.14
尻切れトンボ(ワザと
しかも実話が微妙に混じっている。ネギさんの高校時代は賭け花札に溢れていました。
ほとんど男子校でガラの悪い連中も多くて、バカでキッチリ評判も悪い高校でした。石矢魔じゃねえけどな!
たぶん寒い時期だから休み時間教室でダベってるんだろうと推測
これもとある長編に入れたいエピソードです。だから尻切れにしました。神崎組ってこういうイメージ。でもカオスな話ばっかり書いてるけどね。こういう和気あいあいな中にたまにカオス・城山と神崎ワールドが入るっていうオカシなギャップが神崎組なんだって思う。
2011/09/14 16:33:01