ばか褒めんなよ


 神崎は免許を取ってからすぐに単車を買った。というか、単車に乗りたかったから免許を取ったのだが。勿論、一発合格!これだけ筆記試験のために勉強したことはこれまでになかったと思う。ただしソレについてはカッコ悪くなりそうなので誰にも言っていない。ただ、黙って愛車に乗って登校した。石矢魔にはバイク登校禁止という決まりはない。
 改造などしていない。というかマルソウとかいうけど族どもの改造のドコがカッコイイってんだ。と神崎は内心思っていたから弄り回す気はない。まぁスピードが出るような改造やエンジン音が低音で耳に残り易い音が出るようになるという改造ならしてみたいとは思うのだが、暴走族の野郎どものあの耳にウルサイだけの迷惑な改造と、ダサイ格好に趣向凝らせるよりもありのままの方がぜんぜん二枚目なヤツじゃねえか。そう思っていた。
 それでも呻るエンジン音はふだん聞き慣れないものだったから、神崎が単車に乗って来た時、学校からひょっこりと覗かれる面々がおまぬけでなんとも気持ちがいい。今はこのおニューの単車をホメてほしいと思っているから。神崎は駐輪所にドデカイ車体を止めて教室に向かう。もはや『本日の主役』といったふうに持て囃される。クラスの男どもが「アレ買ったんすか」とか「いつの間に免許とったんすか」とか声を掛けてくるのが楽しい。それは確かに一時に快感だけれど、今日という日が誇らしいのは間違いない。

 帰り。花澤が近寄って来た。
「バイク、見せて下さいよぉ!」
 学年が違う花澤にもどうやら神崎の単車の話題が行き届いているようだ。
「おう、こっちだ」
 内心ワクワクしていた。コイツも見てはしゃぐんだろうな、とか思って。素っ気ない態度をとるのは今の自分には必要だ、と言い聞かせてなるべく嬉しそうな顔をしたがる口元を引き締めた。連れていった先で花澤は案の定、パネェパネェとはしゃいで目を輝かせて神崎を見上げている。コイツの言いたいことはバカでも解る。乗せて下さい、だ。神崎は内心溜息を吐いた。ここまで分かり易い相手であればこちらからその願いを聞いてやるしかない。
「乗りてェのかよ」
「ハイ!お願いしまッス!!!」
「ったく、………しゃ〜ねぇな」
 神崎が単車に跨りながら自分の尻の辺りをポンポンと叩いた。後ろに座れ、というジェスチャー。
 さらに花澤の目がきらきらと輝いた。少女漫画かテメェわ。と言いたかったがすぐに乗って来た彼女にそれを言うヒマはなかった。早くも神崎の両肩を掴んでテンション高めの雄叫びを上げていた。
「レッツ・ゴー!!」
 言葉は武器だ。花澤の言葉のすぐ後、低いエンジンが呻ってから排気吐きながら学校を後にした。
 後ろから花澤の楽しそうな笑い声が絶えない。あとは、ぎゅ、としがみつく腕と体温も。
 ありのままの単車と神崎と花澤と。やっぱり今日はあるがままラッキーデー。

11.09.14
ヤンキーと単車ってセット入力
って思ってたんだけど、べるぜ同人見てもバイクとかの話ってまったくなかったので(アニメではサド原テーチャーの自慢の車ぐらいのもの)あれ〜?と思ってるんですが、べるぜ好きの方って単純に腐女子とかが多くて、バイクとか車とか、あんまり興味ないのかな?とか。あと不良とかケンカとか格闘技とか武術とか。
ちなみに神崎は単車を「ワッパ」って言ってるwww
嫌いじゃないよ昭和臭

爪が割れました

2011/09/14 14:28:14