11.


「ふうん」
 待て。聞いたのはお前の方だろうが、興味ねえなら聞くんじゃねえよ。と神崎は特に変化のない夏目の表情を見て思う。だけでとりあえずは黙っておく。だが夏目の変化のない表情とは、なにか企みがあるかのように嗤っている表情だ。言いたいことがあることは分かっている。内容も大体。だからこそ神崎は、押し黙っているのだ。
「神崎君、ピンチじゃん。ライバル出現〜〜」
 ソレをニヤニヤしながら言うのはどういった狼藉だ、畜生。他人事なら神崎も静かに鼻で嗤ってやったに決まっている。それが分かるだけに余計。
「別にピンチなんかじゃねえよ」
「ウっソだぁ」
「アァ?ナニが言いてえんだ夏目よお」
「さっき、電話切られた時のカオ。見てりゃ分かるって」
「んだと?…どんなツラしてたか言ってみろよ」
「俺これからバイト」
 夏目の胸倉を掴んだ瞬間、まぼろしのようにフワリと神崎の手を躱す。常々思うのだが、このタイミングはわざと、ということで間違いないだろうか? 逃げるようにしつつ、からかうように夏目は手を振って行った。ナニがピンチだ、と神崎は本気で思う。寧々は確かに神崎にとって少し特別かもしれない。夏目が言いたかったのは恋のライバルということなのだろうけど、そもそも恋人でもないし、恋愛フラグがピンコ立ちというわけでもなく、1人の友人として共にいるだけだ。くっつけてるのは周りだろう、と1人で舌打ちした。寧々やその仲間らからは聞いたこともなかったが、どうやら彼氏がデキたみたいでアルイミ良かっただろう。きっと寧々も勝手にくっつけられることに対しては多少、迷惑の気持ちもあったはずだ。
 寧々のケータイに出た男のことを考えてみる。やはり気にならないというのはウソだ。異性の影など微塵も見せなかった相手から、急に恋人ができました、なんて告白されてもどんな相手なのか想像ができない。しかし第一声が「誰だてめえ」だった辺り、完璧に頭の悪いヤツである。寧々だって元々レッドテイルという名前のレディースにいるわけだから、やはりトンガった男が好きなのかもしれない。というか、レッドテイルにいるうちにその男と会って、なにかがあってホレてしまったというのが一番妥当な流れのような気がする。つまりは現彼氏のためにレディースを抜けた、と。そのぐらいの思いがあるならば神崎がどうこう考える必要はない。だが、やはり気になるものは気になるのだ。無性に寧々の顔ばかり浮かぶ。だからといってまた電話をすることは憚られた。寧々の彼氏にも言われたばかりだ。勝手に相手も誤解しているかのような冷たい口調ではあったものの、元より男とどうこうということが少ない女なのだ。勘違いされても仕方ないかも知れない。などとうだうだと考えながら、ベッドの上でゴロリと横になって天井を見上げる。ぶら下がっている。細い糸に器用にも静かに。まるで来たる嵐を暗示しているみたいに。
「……女郎蜘蛛…」


********


「あ。神崎先パーイ、チョリース」
 3日も経った日のことだった。由加と神崎は待ち合わせをしていた。新しいゲーム機を買うから安い店を教えてほしいということだったので、谷村の方が詳しいだろうと言ったら着いてきてほしいと言われたのだ。俺は家電芸人でもなんでもねえんだよ、と凄みながらわざと低い声で言ったが、由加相手には効き目がなかった。ついでにゲーセン寄って行こうと言うのでぶらぶらと歩くアーケード街、こんな日も悪くない。
 実際、神崎が不敵な笑顔を使ってうまく値切ったお陰で由加は安く最新ゲーム機を買うことができた。しっかりとソレを神崎に持たせたスタイルでアーケードゲームの基盤の前に座り込んでいる。カードを使って前回までのプレイを記録しながらオンライン対戦ができるシュミレーションゲームだ。神崎はアクションや格闘やシューティングがもっぱらなのでキャッチャーやシュミレーションやクイズゲームはあまり詳しくない。だから突っ立って見ているだけという格好だ。戦国時代を舞台にした戦争ゲームなので騎馬が画面じゅうに所狭しと走り回ってワァワァ言っている。どうやらこんなゲームを覚えたのは谷村と谷村弟の影響らしい。立っているのも疲れるので、空いている台から椅子を引っ張って来て由加のすぐ傍に腰を下ろす。ゲームしている人以外座らないでください!という張り紙がゲーセンの中に何枚も貼られているが、知るか。それに相手の戦力はガリガリ減っている。そう長い時間もかかるまい。
「パー子よぉ、大森、最近どうしてんだ?」
 なるべく自然に聞こえるように、素っ気ない感じにしながら聞いた。そうやって聞くことが『意識している』証拠なのだろうけれど、それを悟られたくなかったし、神崎自身認めたくなかった。そんな神崎の気遣いをよそに由加はパチパチと基盤のボタンを押している。ゲームに集中しているらしかった。しばらく、とはいっても一分かそれ以下の時間だったのかもしれないが、少し時間を置いてから由加は戦局が自分の方に向いてきたことを確信し余裕を持ってから言葉を返す。
「あれ?先輩は会ってないッスか。私もココ何日か、マジ連絡とれないんスよ〜」
 ぞくり。嫌な予感が悪寒と共に脊髄とでもいうのだろうか、背筋を通る管のような所に伝うみたいに駆け上って来た。ような気がした。気にし過ぎだと心の中で神崎は何度も言い聞かせる。元より寧々がメールの返事をすぐさまやるようなタイプには見えない。けれども仲間内ならば分からない。ヒマがあれば返すのかもしれないし、着信履歴だってちょくちょくチェックしているのかもしれない。神崎が見たこともない寧々の姿などいくらでもあるはずである。だから気にすることはない、ともう一度自分に言い聞かせる。予感、などただの気のせいに過ぎないのだと。
「寧々さん、メールは返事遅いッスけど、着信あったら割とすぐ返してくれるんスけどね〜…」
 パチ、パチ、と由加が叩く基盤のボタンが耳に障る。バシュ、と小気味いい音と共に由加の使用部隊が勝ったというデモが流れる。神崎の感覚ならば勝てば次のステージに進めるものだが、こういったゲームは1ゲーム100円というセコい商売をしているのが常のようだ。由加は既に用意していた100円玉を手に取って隣にいる神崎を見た。神崎の顔はひどく青い。ゲーセンに連れて来たのは間違いだったのだろうか。表情にも生き生きとした光が見られないような感じである。これまで気分が悪そうではなかった。ならば、なにか気分を害するようなことを言っただろうか?……由加としては謎である。ただ、こうして自分だけゲームを愉しんでいる場合ではないように思った。手にした100円玉はポッケに入れて立ち上がる。まずは神崎の体調について伺う必要があると思ったらだ。由加が掛けた言葉にきょとんとした表情を浮かべる神崎は、アルイミ見物だった。
「神崎先輩、マックでも行かないッスか?」



********



 顔色が悪い、と由加に心配されていることが分かってから、別になんともないとは解答したものの目の前の相手はまったく納得していない空気を醸し出していて、チラと目を上げれば相手は睨み続けているらしく目が合ってしまうのがひどくやりづらい。マックでハッピーセットを頼んで、要らないハッピーを受け取った途端に手を出して目を輝かせていた時とはまるで正反対の表情である。ちなみにハッピーのおまけはスティッチとかそんな感じのキャラだ。興味がないので神崎は適当に指差したのだが運良く由加の狙っていたモノだったらしい。そんな前提があるにも関わらず、どうして由加はおもしろくもなさそうな表情をして神崎を睨みつけているのか。神崎自身にはまったく理解できない所である。
「………神崎先輩、寧々さんと、なんかあったんスね?」
 どうやら寧々を案じて睨みつけているらしかった。
「違ぇ」
「つーか、先輩は寧々さんとドコまでいったんスか?! A?B?…も、しかしてC?!」
 とりあえず脳天にチョップ。黙らせるため。By.神崎一



 頭を押さえながら由加は涙目になってさらに問う。じゃあなんなんスか?と。
 レッドテイルのメンバーも、神崎組のメンバーもどうして勝手に勘違いしているのだろう。寧々と神崎はなんでもないのに。2年以上も会わないでいて、ひょんなことから会うようになってそれで…… 
 結局、会って・話して…それだけだ。何でもないのだ。
 ドコまでいったか、と言われればA、は確かに…と神崎は寧々の唇を思い起こしながら小さく頷いてしまう。けれどもそれは恋人とか彼氏とか彼女とか、そういった類のものではなかったと思っている。確かに前述のどれにも当てはまらない中で日本人であるにも関わらず相手にキスするなんておかしなことだったかもしれない。それは神崎自身も分かっている。けれどもあの時の熱情を、それを生むエンジンになった相手が目の前にいるのに、ぶつけないでいることなどできるだろうか?ぶつけてしまったこと自体がオーバーヒートなのだろうけど。そんなことがあったということは、誰にも言っていないはずだ。少なくとも神崎自身は他人に話したことはない。



「この前、なんとなく電話してみた。で、男が出た。俺の女だ、みてえな話」
 かいつまんで話せばこれだけ短く話せるけれど、由加は長くなってもいいから詳しく聞きたいと目を輝かせて言うので話してやった。上記よりはもちろん長めに、だ。当然それはそうッス〜、などとニコニコ話し始めるものだと思っていたら、由加は腑に落ちない表情をしてしばらく黙っている。常にうるさいこの女が黙っていることが気持ち悪いような黙っていられないような不安を運んで来て、神崎は3、4回声を掛けた。もちろん掛けた声はあまり意味のあるものではない。「あ?」とか「どしたよ?」とかそんなのだ。神崎の問いかけには完璧に無視をしながらケータイを開く。このアマ、と思いながら由加のヘアピンを睨みつけるような格好になる。そういえばヘアピンなんて久しく目にしたな、と己の女っ気のなさを思い知らされた。こんなどうでもいいことで。
「先輩っ!」由加が勢いよく顔を上げるものだから、ヘアピンを見下ろしていた神崎は意識無くして目が合ってしまう。その目にはキラキラと輝く光があった。なにか新たな発見らしきものがあったのだろうか。睨みつけることは止めてその場で猫背になる。
「コレ、もしかしたら……マジ、パねぇッス。寧々さんが連絡取れてないのが…一週間前、で。電話連絡返ってこないのが5日前。こんな連絡取れないの、おかしーッスよ」
 さっき感じたぞくり。は気のせいではなかったのだろうか?
 もちろん答えなんてないけれど神崎は反射的に自分の背中を撫でていた。
「もっかい、神崎先輩から電話してみたらいーんじゃ、ないッスか?」
 ポッケに入ったままのケータイを手にする。ボタンを押す前に、待ち受け画面が出るブラックアウトした画面のままで神崎は考えてしまう。やはり相手にとって迷惑ではないのか、と躊躇ってしまう。そう、寧々のケータイに出た男は「寧々は俺のものだ」と宣言したのだから。心配して神崎が再び電話することについて、違和感以外のなにがあろうというものだろう。
 神崎の考えを短く簡潔にまとめたものを由加に言う。事情が事情だけに頭がパッパラパーな由加も理解したらしい。というか、色恋ごとにワァワァ喜ぶタイプなのだ、頭が回らないはずがない。
「あとな、俺は別に大森と付き合ってるワケでも、なんでもねぇ〜からな」
 そう付け加えることを忘れそうになりながら、なんとか由加には伝えることができた。今回のどうこういう話よりも付け足しの言葉の方が由加にとってはオドロキだったようで目を見開いて少しの間、固まったままだった。


「付き合ってるとか、…付き合ってないとか、今はいいッス。私が寧々さんを助け出してほしいって、思ってるッス!」
 危ないかどうかなんてまったく分からないけれど、それでも勝手に危険だと感じた由加はケータイを差し出す。神崎が見た画面が「大森 寧々」の名前を映しだしていたのは当たり前というものだろう。架けた相手が由加だからといってなにかが変わるとは限らない。また、なにも変わらないとも限らないのだけれど。手に取ろうとしない神崎に押しつけるように持たせた由加の必死の目が、『拒否』という言葉自体を否定した。神崎はなにかに押されるように通話ボタンを押して、ケータイを耳に押しあてた。通話が苦手であるとか、そんなことはきっと吹き飛んでいたから。



********


 乱れた電子音と、叫ぶような声みたいな雑音と、ざざざ、と耳に不快を与える電波が不調なしるし。それは3日前に寧々に電話した時の音となんら変わりはない。少しだけ音量は上がっていたような気もするが、聞き比べたわけではないのでどうこう言うことはできない程度。神崎は相手に聞こえるかどうか分からないので声を掛けた。「あー。もしもし、もしも〜〜し」などと適当な言葉にすらなっていない言葉を。
「……崎っ?!」はじめて届いた声は寧々の声そのもの。ただし雑音まじりでかなり聞こえづらいものではあったが。どうやら電話に出ているのは寧々本人らしい。しかし電波が悪い。相手が神崎だと分かっている以上は状況を伺う必要があった。
「神崎っ。あの、ゴメン。……今、ちょっと…電話、嬉しかったよ……ゴメンね。」
 寧々の声は最後にクリアになって、即切断された。クリアになった意味なんてまるっきりない。ただ、寧々の言っている意味などまったく理解できない。どうして何度も謝る必要があったのか。深く問いただしてやる必要があると神崎は感じていた。ツーツー、と冷たい音の鳴るケータイの通話終了ボタンを押してから由加に返す。由加が神崎に向かっておずおずと「どうしたッスか…?」と聞いていたのを知ってはいたが、すぐに返答する気分などではなかった。



「寧々さんの家に行ってみましょ〜〜よ!今、実家出てアパートッスよ」
 電話の内容は話したはずなのに、どうして由加はこんなに軽いノリでいられるのだろうか。もしかしたらグルの可能性もある。けれど由加は寧々の家まで案内すると言っているのだ。不都合があれば寧々も由加もお仕置きという名の苦痛を与えてやればよいのだ。女ごときに負けるわけがないと自負している神崎はテンションの高い?由加に閉口してしまう。浮かない顔の神崎を見て由加はおもしろくなさそうに頬を膨らませる。
「大森は、よくわかんねえけど謝ってた。…ワケもわかんねぇで行くワケ、いかねえ」
「……………仁義、ってヤツッスか?」
 由加に言われるまで気付かなかった。結局神崎はヤクザ屋の倅なのだ。それがもう誰に言われずとも身に染みついているのだ。見た目は目立つ耳から口へのピアスであるとか、オレンジに脱色した髪色であるとか、今風のものだけれどココロは古風で硬派を貫いているのだ。それはヤクザの世界をガキの頃からずっと見続けてきたせいであることは間違いないだろう。確かに神崎はオヤジの歩ませようとするレールを嫌ったが、歩まない道を選ばなかった。それはきっと嫌ではなかったからなのだ。
 由加に言葉を返す前に、由加が手にしたケータイから口うるさい流行りのJ-popのラップが流れ出す。CMかなにかに使われている曲と思われる。というのも、興味がない神崎が耳にしたことがある程の曲調だったからだ。黙ってケータイを差し出す由加の目が物語っていた。神崎はその目を見て奪うようにケータイを手にした。通話ボタンを押すのは次の瞬間のことで、目にもとまらぬ早技。
「おう、俺だ、神崎だ」
「…ッ、神崎? アタシ、寧々! 由加に言って。心配ない、気にしないで、って」
 寧々の言葉を聞きながら先程の感じたゾワリ。とした感覚が蘇る。なにか相手がウソを言っているのだろうかと神崎は感じる。そもそも電話の内容自体があまりに可笑しいのだ。由加と寧々との温度差が違和感を覚えるものだったから、部外者かもしれないが口を出させて貰うことにした。否、そうしなくては自分自身も納得できなかった、それだけのことだったのかもしれない。
「なに言ってんだ?クソアマ。テメェの心配ない、って言葉はよぉ、『心配して』って聞こえる。わざとらしーんだ、っての」
 感情のこもらない口調で言ったつもりだった。けれど、電話の先の寧々がまるで泣きだしたみたいに濡れた声を出すものだから、何事かと慌ててしまう。濡れた音はきっと鼻をすするなどという色気もムードもない音なのだろうけれど、その音こそが神崎の胸中を掻き乱す理由にしかなり得ない。抑えた嗚咽と共に水音が神崎の耳に届くたび、神崎はハラハラと穏やかではない思いを胸に抱く。クソアマ(=この場合は寧々単体だけではなく、女全体を指すことを了承戴きたく)ごときに左右される自分が情けない、といつも思っていたはずなのにぐらぐらと揺れる己のココロに呆れの溜息すら零れてしまう。相手の言葉の前にいつもよりも言葉多めに畳み掛ける。「なにがあった」なりの言葉を、その行動には相手がどう思うかなどと関係ないのだ。



「…ッ、違うの。元カレが、来て………それで、カレはすごい、嫉妬深い。それでみんない頻繁に逢うの、難しくなった…そう、言って。」
 それはそれでいいと思う。嫉妬深い彼氏ができるということは、そういう男が好きなのではないか。そしてそれが元彼氏であったとしても、二度も付き合うのだから問題はあるのだろうがそれを承諾する女の方にも負けない程に問題があるのだろうから。いわゆる、寧々もだめんずうぉ〜か〜とかいうヤツなのだろうと考える。バカな女はそんなダメ男に振り回されるのが常というものだということは分かっていた。それが寧々にも当てはまっていた、というのは意外だったけれど。
「今の状況、なんとかする方法、今、アタシ考えてるから」
 もはや一方的だった。それだけ告げると寧々からの着信は一方的に途切れてしまった。神崎の耳に届くのはツーツーという冷たい電子音だけ。元カレとヨリが戻ったというのならばなんの問題もないのだろうけれど、神崎は不可思議な程に胸騒ぎを感じていた。ザワザワと寒気すらするくらいに。だからだろうか、電話を切ったあとも由加は様子を見守るようにしばらく黙ったまま、おとなしく神崎の様子を伺っていた。だが、由加の待ち時間など誰が見ても分かるようにとても短い。黙っていられるような性分ではないのだ。
「神崎先輩…?寧々さん、なんて……?」
「………、元カレとヨリ戻った、ってよ。で、頻繁に会えねえって」



 居心地の悪い沈黙の時間が少々。それはほんとうに数十秒というわずかな時間だっただろうけど。由加は困った表情で神崎の見上げる。
「ソレ、まずいッスよ……。私は見たワケじゃないッスけど、寧々さんがレッドテイルに入ったのはそのオトコのせいって話ッスよ。その男から寧々さんを救ったのが葵姐さんだ、とかって…」
 ザワザワした胸騒ぎが由加の言葉とともに、迫ってくる凶器のようにも思えた。どうして寧々は強がるのだろう。詳細を聞くには邦枝に問い詰める必要があった。だが、神崎や由加ですら来ることを拒むのだから邦枝には来てほしくないと切に思っているだろうことは容易に想像できた。それを知らない振りしてあえて邦枝に話を聞きに行くべきか? それとも 状況は半分以上理解できないままで構わないが、自分の目で見に行くべきか?
 もちろん、男としての神崎の答えは決まっている。
「そん時のオトコかどうかは知らねーけど、どんな野郎なのか見なきゃならねえよな…? パー子、テメェさっさと大森ン家、案内しろ!」
 さっきと言っていることは180°違うことなど気にしてはいられない。水を得たサカナのように明るい笑みを浮かべた由加はすぐに頷き、神崎を先導して歩き始めた。これからどうなるかということよりも、神崎が寧々を救いに行く姿がひどく頼もしかったからだ。



11.08.18


Song of: スピッツ/楓

結構時間がかかってしまった。
思ったよりもだいぶ続いているシリーズ大学生神崎とフリーター寧々の話。
もう11話かよ?!とか中身のないはずの話に驚いてしまう。
たぶん2年ぶりに会ってお久〜な感じから1、2回しか神崎と寧々は会っていないはずである。もうメチャクチャだな…展開とか。
まぁコマギレにしてるので10話くらいまでいくかもしれないな…と思ったけど、まさか越えるとは思ってもみなかった。うひゃあ。


ちなみに、もっと続いてしまいます(笑)。
次はアクション有り〜の、な鬱展開上等。鬱展開って何ぞや??
とりあえず寧々の元カレ登場、です。とは言っても東条ではないので安心してね。
ラブストだとアクションとかないからおもんないんですよね。青臭いレンアイもの好きだから書いてるけど(笑)次回は迫力を少しでも出したいなぁと思ってます。
元よりアッシはヘタクソなマンガ描きなのれす。動きのあるものを描きたいと思うのは当然だよね。とか思うわけでござります。もうしばらくお付き合いくださいませ。
つ〜かコイツラ、まったく発展しねえなぁ…

2011/08/19 00:42:49