周りの声が五月蝿くて、仕方ないから夏目と城山を連れて神崎はゲーセンに行くことにした。多分あのヌメっとしてモサッとした姫川もいるんだろうが、今のどよめきたったクラスにいるよりいくらかマシだろう。
外に出てしまえば空はいやに爽やかで、あの教室は腐ってるんじゃないかと思う程。
「神崎くん。さっき、」
「オメーが言うかよ」
どうやら寧々との話題は折角外に出ても途切れないらしい。溜息吐いて学校の近くの公園でダベることにする。この公園は神崎のお気に入りだ。城山にジャラ銭を投げる。ヨーグルッチ代。この公園のよさはヨーグルッチの自販機があるからだ。
「つーかよ……、お前最初っから話聞いてたじゃねえか」
寧々と話し始めてからずっと傍らに城山と夏目はいた。レッドテイルの女どもはいなかったが、教室に戻ってきたのだろう。あとは教室にザコども数人はいたはずだが。ケンカが始まるんだと喜んでいたはずだ。何でこんなワケの分からんことになっているのだろうか?
「神崎くんが大森のこと押し倒して、その後、大森が神崎くんに抱きついてたよね」
ん?
話が違くないか?
というか、…話がおかしくないか??
ただ単に神崎はレッドテイルの掟の話をしていただけのはずだ。男作ったら組抜けなきゃなんないとか、馬鹿クセー掟。だから暴走族とかレディースとかそういうものはダルイのだと思っていた。これからも思い続けるだろう。
だから神崎のグループにはそういうのはない。だが仲間を守ったり、仲間に守られたり、仲間を信じたり、裏切らないって決めたり。同じ仲間でそれは言葉にすることではなくて、暗黙の了解みたいにあるものだと思う。
確かに神崎はヤクザの息子だが、あのヤクザの世界というのもくだらないルールが沢山あって、自分が神崎組のトップになったとしたら、そんなものは要らねぇとブッ飛ばしてしまうだろう。だからこそオヤジも神崎を必要以上に可愛がったりしないのだろう。
で、話は逸れたが寧々を押し倒した覚えはない。あれは事故だ。というか寧々が手を強引に引くのが悪かったはずだが?
抱きつく?そんなことしてたか?
・・・・・・・・・・
「〜〜〜!!!!!」
起こそうとして手を引いたけど、痛そうにしてて起きられそうもなかったので、起こすために虫の話をした。どうやらビンゴ。寧々は虫ギライだったらしく神崎に抱きついて虫を怖がって震えていた。あれか……
「神崎さん!」
城山の野太い声。ヨーグルッチの自販機が売り切れだから、近くの店まで行ってくる、ということだった。神崎は「おう」と気なしの返事を返しただけ。心ここにあらず。ぼんやりした時間。
思い出してみればよくよく恥ずかしいことをしていたものだ。しかもクラス中に見られて。学園祭の見世物ならまだしも、さっきのあれはなんだ、と心の中でツッコんだ。
「……フフ、真っ赤」
隣でからかう夏目が腹立たしい。しかも明らかに大爆笑を堪えている様子バレバレ。隠す気もないのだろうが、それが余計に頭にくる。お前の話がどう考えてもおかしいんだろうが、と怒鳴ってやりたい。だが口でコイツに勝てる気が全くしない。そして今、まともに頭も働かない。
確かに顔が火照ってるのは認めよう。顔が熱くて仕方ない。何とか覚まそうと空を見上げた。ベンチが軋む音を立てるだけの静かな午後。そよ風がこの火照った頭を冷ましてくれることを願う。
「ねぇ、神崎くん」
「あん?」
「ホレちゃった?」
「ん、ん、んなワケねーだろ違ぇよバーカ」
「だって顔、赤いんだもん」
「そりゃ夏目、テメーのせいで、ああいう、」
城山が戻ってきてヨーグルッチを食べ終わるまで、神崎の顔は赤かった。
間違っても恋だけはせぬように
110618
神崎と寧々シリーズ3
song of CUM WITH ME(シャムだよん
夏目はこういうツッコミ役ですごい使いやすいですな、ウハ!
城山ってばただのパシリ扱いだけど、神崎が一番に信頼してる舎弟なんだと信じてる。
そのうち城山と神崎の話も書きたいなぁ(一応キレたエピソードのヤツは書いたけど)
夏目はバトルマンガで描きたい。文ではこういう役回りで。
とりあえず夏目は可愛くない(笑)寧々と神崎と城山はかわいいっす。
こう書いてるとやっぱり寧々←神崎 で 由加→神崎 な構図は最初の構想と変わらないなぁ。
そして古市は無関係なのだった。アランドロンとよろしくやってくれ(ヒドイ
つーかこの話で城山はどう見てるんだろう?
まぁ一部始終を見てるんだから、分かってるかな。でも城山は疎いから普通にビックリするのかもしれない。
まだ続きます…
タイトル:joy
2011/06/20 20:30:49