どうしたって許せないことがある。顔は般若のように歪んで、目の前のコイツを殺す、殺してやるって笑みが浮かんでるのは分かってる。ブサイクとか美形とかそんなことはどうでもいい。ただ、目の前のコイツを血祭りに上げてやりたい。そう思った。
神崎が見下ろすその男の姿はひどくブサイクで情けなくて、弱っちぃものだった。
ピッ、ピッ、とドラマの中の病院みたいに心電図の計器というアレが鳴っている。それは生命の危機を表しているものではないということが頭の悪い神崎にも分かる。だって、その音はドラマの中の死に際のように不規則な音を立てているわけではなかったから。ただ、規則的に電子音を刻んでいて、ひどく耳障りな音には違いなかったけど、それでも規則性を持っていることで危なくないと分かったから、強引に入り込んだ病室の中で盛大な溜息を吐いた。それぐらいで済んだ。
「城山」
一度、病室だと思って声をかけた。しかし、意識のないヤツからは答えが聞こえない。
気に食わない。
いつもは二つに結ばれているはずの三つ編みのおさげ髪が、下ろされて寝転がるのには邪魔じゃないようになっている。相変わらずブサイクでムサイ顔をしているが、この男がどのくらい神崎に向けて忠誠を誓っているのか。それは、神崎自身がよく分かっている。
男鹿が急に来たあの時、ここから飛び降りろ、と言った時のこと。この男ならきっとやっただろう。そう思っていた。分かっていた。それでも今でなきゃ確かめる術はないと思って、むしろ、分かっているのに身の回りのヤツらを深く信じることができなくて、神崎はここから飛び降りろと命じた。自分よりも強いであろう、夏目のことはさておいて。あの男は神崎に着いてきてはいるものの、それは城山のそれとは違った思いだということも分かっているから。
これほどまでに神崎を信じて、命すら投げ出そうとしてくれた男はきっと過去にも、そして未来にも現れないであろう。
だからこそ、こいつを完膚なまでにやっつけた男を許しはしない。聖石矢魔のクソムシを許しはしない。自分以外にこの男を心底どうこうできるヤツなどいるはずがないのだ。城山を生かすも殺すも、それは神崎の手にかかっていなくてはいけなくて、それ以外の誰もが城山の生死を好きにすることは許されないのだ。
それらは城山と神崎との間で言葉にせずとも培われた事実に他ならない。
「城山ァアアアァーーーーーッッ!!!」
それでも、城山は病院のベッドからピクリとも動くことはなかった。
だから、決めた。
聖石矢魔のクソを、殺シマス。
お世話サマ。
誰よりもどんな時よりも、記憶という記憶が、すべて燃えて焼けただれていくような、荒んだ思いばかりが神崎を支配した。
見下ろした城山は目を開ける素振りもなくて、それでも「死ぬわけではない」と医者が言った。医者がどう言っても、どんなことを言っても城山はやっぱり弱っている。今までどんな状況であっても神崎の呼び声に答えないことはなかった城山が、今こうして答えることもない。
変わらず電子音を鳴らしてる計器がうざったくて、神崎は要らない計器だと思ったものを引っこ抜いて、病院を後にした。
退学、なんて関係ない。
城山をあんな目に遭わせたヤツを、許しはしない。あの城山は自分以外の誰にも、どうこうすることはできっこないのだと証明してやらなければならない。神崎の支配下には城山がある。言い換えれば、神崎以外に城山は支配できない。それを知らしめてやる必要がある。坊っちゃんどもに城山は何ともならないのだ、と。
遥か後方でどうこう騒ぐ声が聞こえたけれど、神崎にそれはどうでもよかった。
城山が死にゆくわけではないのだから。
彼が僕らの秩序です
guilty
11.06.17
昨日小説モドキを書いた中で大人買いしてえ!と言ってたその次の日に、マジ大人買いしてました!!
もうアッシの手の中にはべるぜバブ1〜11巻がありまっす!!!
(※ツタヤでポイント2倍に惹かれ、買った次第でございます)
さっきサラサラ〜と読んでから書いた話うんこです。
そんぐおぶ ミスチルの「しるし」だっちゅーーの!
神崎と東条ってかなりイイキャラだよね。ついでに葵も。
東邦神姫ってかなりイイキャラ揃いなんだが、姫川だけはイマイチどうも惹かれません。
これからイイトコが出てくるんじゃないか、って期待してますけどね!(笑)
あうー、ちなみにコレは分かると思うけど、聖石矢魔編入後、普通の生徒にボコされて入院した城山のエピソードで、キレた神崎の思いを言葉にできればいいなぁ、と思った次第(つうか、そんな同人屋いるのかよ)。
あの時の神崎ってばありえないほどにオトコマエ。って思いがあったので。
あとは三木を助けた男鹿のエピソードも男として最高でしたけど。それも近々文章にできればなぁ、と思う限り。
あとテーマが「しるし」ってのには、深い意味はなくて浮かんだ時に聞いてた曲ってレベルだからフォモと違うよって話(笑)
2011/06/20 20:24:44