人の力でどうも出来ない事をしてしまった後悔について





 愕然とする。
『究極召喚』の意味。祈り子と召喚士の関係。思わず洩れる本音。
「……ナギ、節…っ、…」
 永遠のナギ節を信じ、逝った「伝説のガード・召喚士」達。
 思念という形でエボン=ドームには全ての痕跡が痛々しくも、華々しくも、全てを遺したまま。
 しかし、少年たちは立ち止まらない。ただ、ひたすたらに前に進んだ。

「夢」 だけを胸に。
 否、夢を視て。現実に視て。



「まぁ〜た、泣いてやがんのか。…すぐ泣くねぇ」
 懐かしい声に、涙を拭って目を開く。すぐそこにジェクトの姿があった。
「……オヤジ。オレの物語、…終わったんじゃ、なかったのか?」
「さぁな。アーロンの野郎もいねえ。オレはさっぱり分からねえよ」
 諦めたような口調で、それでも諦めていない男というのがジェクトだということを、ティーダはよく知っている。
 ジェクトという男の事を、もっと分かりたい。初めて思った。父の事を知りたい。彼がどう生きて、死んだのかを。
 ティーダの思いは言葉にはならない。ただ、一つの行動となってジェクトの腕を取った。掴まれた瞬間、ジェクトは驚いた顔をしていた。息子に、今までまったく懐かなかった息子が、そんな行動をする等と思わなかった。
 腕を取る。それは、まるで「行くな」と呼ばれているようだったから。そして、
「っ…!?」
 ジェクトが言葉を失ったのは、ティーダの思念のようなものが、彼の中に流れ込んできたから。
 急に訪れた、自分も歩んだスピラでの旅路のような道程。それが一瞬の内に一連の記憶の津波のようにして、ジェクトの内へと流れ込む。激しい喜怒哀楽。旅の不安。旅の途中で見せられる父親(ジェクト自身)の姿への葛藤。そして、祈り子。
 息子の言いたい事は全て伝わってきた。ジェクトは知らない内に涙を抑える事が出来なかった。そして頷いた。
「わァーッたよ! 俺が見てきたモン、全部、おめえに話してやる。」
 父としてではなく、一人のガードとして。



 スピラの掟にうるさかったのは、アーロンの野郎だ。おめえの旅で言うワッカつうヤツだわな。
 でも、寺院に裏切られてるって分かってから、アイツは変わった。
 機械を使った人間の罪を被る事で、未来の人間を救う事になる。そう信じていたが、それは嘘っぱちだった。ただの体のいい言い訳ってやつだった。モチのロン、オレサマは分かってたぜ? ンなバカくせえ事があるわけねえって事ぐらい。でも、それはスピラの人間にとっては、『当たり前』の事だったんだ。オレらがブリッツで熱狂するのと同じぐれえ。
 アーロン、あいつにとっちゃァ天変地異ってヤツだったに違いねえ。クソが付くほど真面目な野郎だからな。

 究極召喚が『シン』を生むって事だって、オレは、ンや、アーロンだって分からなかった。だからオレは祈り子になるだなんてタンカ切ったんだ。
 だが、アーロンは“真実”を知っちまった。オレが『シン』になった事で、結局は召喚士が『シン』を生んでるんだ、って事を。
 アイツは死んでソレを知った。オレは『シン』になって、…知った。
 オレは、思う。ユウナレスカ…
 アイツを恨むべきじゃねえって(もちろんおめえにも、分かるよな?)。
 けど、アイツのやってる事は間違ってる。
 そして、……オレも間違っちまった…
 オレはあの時、聞かなかった。本当の答えを。それをユウナレスカが持ってるって事、思いもしなかったから。

 希望=慰め

 聞いてたらきっと、ブラスカをブン殴ってでもアーロンと一緒に止めた…かもしんねえ。ただ、それがどうだってんだ。今更どうのこうのやいのやいの言うつもりもねえ。過ぎた事は過ぎた事なんだよ!


 そして、おめえに教わった。
 ったく…マジに知りたくねえよな? お互いによ。
 『夢』って、何だよ?! 結局オレたちの意識ってモンもここにある。それも夢? 意味、わかんねえ。
 今の意識っつうモンは、何なのかねえ? 祈り子は夢を見るのをやめたんじゃなかったんですかねえ?
 その証拠に『シン』はいねえわけだろ。だって、オレサマがここにこうやって正気でいるって事は、『シン』はいねえってワケだな! スピラは今は無事だって事だ。なんてったってオレは『シン』だった男だからな!



13.05.06
書きかけだったんですが、上げときます。目立たないとこにw

語り始めたらジェクトは止まらなさそうだし、思い出したくないこともいっぱいありそうなので。
ちょうど2年ほど前に書いてたんですねぇ………こうやって停滞してる文章いっぱいあるんよ。…なんだかなぁ。


VITAとPS3早くでないかなぁ・・・

2011/04/29 00:16:34