お年頃







「あ゙ーーーーー!クソ!」


今日は、やけにサイファーの機嫌が悪い。


「今朝からずっとそればかりだな。」


違う、そうじゃない…!
どうしたんだ、と聞きたかっただけなのに。どうしてこうも、普通に『心配している』と伝えられないんだ。


「煩いってか?悪かったな。」


ケッ、とでも付けたそうな口ぶりだ。
それもこれも、売り言葉に買い言葉なんだろう。…俺たちっていつもこうだな。


「別に、そんなこと言ってないだろ。」
「あ?じゃあ何だよ?」
「明日は休みだ。………それなのに、どうしたのか、と…思って。」


言いきった…!
流石に今のは、ちゃんと心配してるって伝わったろ?


「…お前………!」
「なんだよ。」


その反応は。
そんなにこっちを見つめてくるな。何かおかしなこと言ったんじゃないかって、落ち着かなくなる。


「もしかして心配してんのか?オレのこと。」


聞くなよ。そんなこと分かりきってる。一々確認する必要なんか、どこにも無いのに。

…そんなに分かりづらいのか、俺は…?

でも、あんたは。

あんたなら、分かるだろ。


「それならオレの悩み、解決してくれよ。」
「悩んでたのか…!?」
「そーだよ。しかも、お前にしか解決出来ねぇことでな。」


あの様子で悩んでいるようには到底見えなかった。何かイラつくことがあって、その鬱憤を晴らしたいだけなんだと思っていた。

サイファーには分かるだろ、って態度をしておいて。俺はサイファーのこと、何一つ分かってないのかもしれない。


「…何をしたらいい?」






俺に出来ることなら。

俺じゃなきゃいけないのなら。






「オレとシようぜ?」






何でもしよ─────


「………は?何を?」
「ナニを。」


前言撤回。
人をからかうのもいい加減にしろ。


「おい、待て!何無言で部屋戻ろうとしてんだよ!オレの悩み解決はどうするつもりだ!?」
「何が悩みだ、憂さ晴らしにからかいたいだけじゃないか!真剣に向き合おうと思うだけ時間の無駄だった。もう寝る。」
「オレがいつからかったって?」


そんなの決まってる。


「男同士でそんな行為が出来るはず無いだろ。」


当然、生理的にそういう欲が出てくるだろうことは分かってたんだ。俺だって少なからず、そういうことはある。
だからこそ、そんなところも含めて覚悟を決めて、付き合い始めたっていうのに。
からかうにしても、わざわざ覚悟を決めたところをつつかなくたっていいだろ!








「………なぁ、スコール。お前、そういう知識どこまで持ってる?」


大きく深呼吸の後、重々しく口を開けばそんな一言。
どこまでって…そんなことに浅くも深くもあるものか…?


「一通り。」
「男同士のは?」
「そもそも男同士でするには、そんな器官が備わってないじゃないか。」
「…おま、…お前って………。」
「さっきから、何なんだよ。」


どうしてサイファーに溜息をつかれなきゃいけない。


「お前がそこまでピュアだとは知らなかった…、いや、ピュアだろうことは薄々分かっちゃいたが、ここまでだとは思ってなかった。」


…さっきから何言ってるんだ…。


「あのな、スコール。男同士でもヤろうと思えば…後ろを使えば出来るんだよ。男役と女役に分かれて。」


後ろ…?








…後ろって…一つしか、ない…。








有り得ない!ガセじゃないのか。」
「そりゃ、すぐには無理らしい。が、徐々に慣らしていけばいけるんだと。」


信じられない…。そんなことしたって痛いだけだろうに。
そこまでするものなのか、男同士って。


「それで、だ。わざわざお前に話した理由くらいは分かるよな?」


その続きに言わんとすることが容易に想像出来てしまって。思わず、喉がなる。
何を緊張してるんだ…!いや、これは…本能が危険だと訴えかけてきているような気がする。


「一人寂しく処理しても、はたまた任務でがむしゃらに発散しようとしても、結局スッキリしきれねぇし…。」


あのサイファーが、女役をするなんてことは多分ない。というより絶対にないだろう。
ともすれば、女役は俺に回ってくる。






…狙われてるのか、俺が。






「正直に言う。溜まってんだよ。」


そこは正直、言って欲しくなかった…!


「お前も気にしてくれてたみてぇだし、その解決策に─────」
「すまない、サイファー。俺は力になれそうもない。」


そんな覚悟はしていない。
出来ることなら、今後したくもない。
力にはなってやりたいが、俺だって男なんだ。
頼む、察してくれ。


「待った!何もそれがシたいなんて言ってねぇだろ。最後まで聞け!」
「なら、何をしろっていうんだ。」
「手ぇ貸せ。」


手だけでいいのか?
『それ』じゃないって聞いただけで、内心ではかなり安堵出来ているが。本当にそれだけで済むものなのか…?
それに、そんなに簡単なら、そもそも悩んでないような気がするんだが。


「自分でヌくのと、恋人がヌいてくれるのとじゃ、全然違ぇだろ?これならお前にも負担掛けねぇし。」


意外と。
サイファーにしては、意外とあっさりしていて驚いた。
俺と付き合う前までは、女をとっかえひっかえしてたのに。そんな人物の言葉とは、到底思えなかった。

それに。

俺の心配をしてくれていた。

そこまで。
自分が苦しいのを我慢してまで、俺に黙ってなくたっていいのに。何を遠慮してるんだよ。


「…それくらいなら、構わない。」


何気に、こういうことは初めてだ。
こうもガッツリ、こんな話をすることすら初めてなんだから、当たり前か。


「サンキュ。これで少しは楽になっかなぁ…。」
「こういうことは、もっと早く言ってくれ。あんたがどん詰まりする前に。猶予が無いと、対応しきれないこともある。」
「それは悪かったって!………お前にこういう話題は振っちゃいけねぇような気がして、どうにも…。」


今日はやけに俺の顔を見てくるよな。何なんだ…。


「俺だって男だ。身体の作りはあんたと変わらない。」
「そうだったな…あからさまに淡白そうなお前見てると別の人種に見えてくるんだよ。」
「淡白に見えるのか?」


少なくともあんたよりは淡白だろうけどな。


「そりゃそうだろ。お前が武器や戦闘以外で浮ついてんの見たことねぇしよ。もっと欲、見せてみろよ。」


欲、なんて言われても。
俺は、普通の生活の中にサイファーが居てくれたらそれで十分だ。これ以上の欲なんて、見当もつかない。


「…分からないな。」
「それならオレが教えてやる。今から、じっくりな。」











【後書き】

終わり!!!←
これから、おせっせはしないけどイチャイチャくらいはするんでしょう。たぶん。

これも依存症の2人ですね、きっと。基本馬鹿で単純でお互いがお互いのことを好きで仕方ない2人です(笑)
…平和そうだなぁ(小並感)
そろそろこの依存症の二人をうちのサイスコとしてフォルダーに纏めた方がいいのかしら、とか考えたりして…でも、どれも単体で書いてるから殆ど関連無いし、しかも数も少ないしなぁ…って思ってます_( _´ω`)_

今回はなんとなくハジメテの前のことを書きたくなっただけです。うふふ└(:3」┌)┘
珍しく完全スコールさん視点で進めてみました。この方が書きやすい反面、やりづらくもあるなぁ…どれも上手くならないわけだ(´・ω・`)



あ、余談ですが。
本当はお前じゃなきゃ発言の後にもう少しじゃれ合わせるつもりだったんですが、下手すぎて入れられませんでした。

スコ「何だか、意外だな。」
サイ「はぁ?オレがどっかの女とヤってきてるとでも思ってんのか、お前?」
スコ「してるのか?」
サイ「いや、してねぇよ!?お前が居るのに、んなことするわけねぇだろうが!」
スコ「そうか…。(キュン」
サイ「んだよ、だったらお望み通りそういうことしてきてやろうか?」
スコ「そうか…。(戦闘用意」


みたいなね。したかったんですけどね!
無理でしたね!!!()



この通り、私の中でサイファーさんは割と遊んでるイメージです。
後は、派手好きで、ちょっと意地悪なお兄ちゃん系。絶対面倒見良いだろお前…って思う(風神雷神見てると特に)。
頼られるの好きだけど…だからこそかな?自分が一番でなきゃ嫌で、陰で凄く努力してるタイプ(?)とか、そんな感じのイメージが強いですな( ˇωˇ )

サイファーさん自身が人の好き嫌いハッキリしてそうな人なので、きっと他人からも好き嫌いが分かれるんじゃないかな、とか考えたり。
だから、波長の合う特定の女の子とはある程度仲良しで、そういうことから女の子とっかえひっかえしてるってイメージ付いちゃった、とか。
確かに女の子ともそういう意味で遊んでるけど、とっかえひっかえは絶対しなさそう。自称だけどロマンティストだからなぁ…。
でもでも、あんまりのめり込めないと、リノアちゃんみたいに付き合ってるのか付き合ってないのかよく分からない状況になってたり?


というか何を熱弁してんだ私!?( 'ω')ファッ!?
人を選びそうな話をつい、してしまった…。

2016.07.30






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