依存症
「やめろ、サイファー!連れていくな!」
余りにも悲痛な声音。
普段は事件でも起こらない限り変わりもしないその表情は、声音と同じく悲痛なものになっていることだろう。
見ずとも分かる。
つい最近まで互いに忘れていたとは言え、彼は自分の幼馴染みなのだから。
さらには、彼と自分は両片想いからやっと両想いになったのだ…。今は、恋人同士と言った方がしっくりくるかもしれない。
恋人のこんな声、こんな表情は…聞きたくもなければ見たくもない。
けれど。そんな声を出させ、そんな表情をさせているのは…紛れもない自分。
「………。」
悲痛な叫びを聞いて尚、無視して歩を進める。
「頼む、待ってくれ!俺はそいつがいなきゃ生きていけないんだっ!」
悲痛な叫びと共に、後ろから抱きついて───引き留めてくる。
普段の彼ならそんな大胆なことはして来ない。
自室で自分以外の目が無い時でさえも、身体が密着しようものなら彼は真っ先に恥ずかしいと宣う。
自分から彼にすることはあれど、彼から自分に…など、極度の恥ずかしがり屋の彼には出来る筈もないのだ、本来ならば。
「…………。」
恋人に抱きつかれて嬉しくない筈がない。
それが例え愛情表現のそれでなくとも、普段の彼を思えば十分。
だが、此処で退くわけにもいかないのだ。
複雑な心境で、尚も無視して歩を進め続ける。
「そいつだけなんだ、俺を包み込んで安心させてくれるのは!」
ずるずると引き摺られながら、自分以外のものに対して愛を紡ぐ彼。
彼の行動は、決して自分への好意からのものでは無い。それは分かっていたことだ。
それでも。
こうも繰り返されると、恋人としては面白くない。
先程までの浮ついていた気持ちは冷めていく一方で。
とうとう、浮ついたそれから現実に戻った気がした。
そうだ、自分は彼を引き剥がしてでもこの任務を遂行せねばならない。今一度確認する。
「……………。」
今度こそ、彼を引き剥がそう。
そう思って首だけ回して、自分の背後から抱きついたままの彼を見やる。
「だから、そいつを連れていかないでくれ…。」
バッチリ目が合った。
はっきり言って反則だ、これは。
切なげな声音は震え、不安げに揺れる瞳は心無しか潤んでいるように見える。そして、縋るように自分の身体に回された腕。
恋人の情事を思わせるそれに、危うく自分の息子が元気になりかける。
…今ここで襲ってやろうかコノヤロウ。
と、思考が危ない方向へ飛び掛けるのをどうにかこうにか理性で繋ぎ止める。
ただでさえ目に毒だというのに、これ以上は…危険だ。主に息子が。
とにもかくにも引き剥がすことが先決。
適当に言いくるめられるだろうか。
「洗うだけじゃねぇかよ…。」
自分の手の内にある白いそれを見れば、思わずため息混じりにもなるというもの。
「嫌だ、返せ!俺の布団っ!」
たかが布団。
されど布団。
彼───スコール・レオンハートは、布団依存症である。
要、矯正か…。
【後書き】
こういうお布団大好きスコールさんとか…どうですか!?←
よく不貞寝するし、お布団好きだろスコールさん(迫真)
サイファーさんはサイファーさんでフィルター掛かってるので、只でさえスコールさん可愛い病なのにもっと可愛く見えてるんですね(確信)
矯正させたいなら、ゴロゴロする度に襲っちゃえばいいんじゃないかn(((黙
オフトゥン中毒者ですな( ˇωˇ )あ、私やん
初っ端からこんなアホ丸出しな感じですけど…所詮ここのポンコツ管理人は精々頑張ってもこんなもんなので。
特段素敵なお話は書けそうにもありませんが、管理人なりに楽しく書いております←
これからも付き合ってやんよ、という勇者様はどうぞまったりお付き合い下さいませm(_ _)m
2015.04.17
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