「ん〜…分からへん。」
「ここはこうやるんやで。」
空が綺麗なオレンジに色づく放課後。俺は白石と一緒に自分達の教室で勉強をしていた。白石の綺麗な髪が夕焼けでキラキラと輝いている。思わず見とれてしまう。
あかん…、ドキドキしてきた。
赤くなった顔を必死で隠す。
「…になるんや。って聞いとる?」
「うぇっ!?き、聞い、とったよ…?」
嘘、聞いていなかった。
それもそのはず、目の前の相手に見とれていたのだから。
急に掛けられた声にびっくりし、とっさに出た言葉はしどろもどろで。
「ふーん。」
そう言った白石だが、顔がにやけているあたり、きっと俺が白石に見惚れていたことはばれている。
恥ずかしくて顔がさらに赤くなるが、それさえも嬉しそうに微笑んで見る白石に、何故か不覚にもときめいた。
なんでかっこええねん。神様不公平やろ。なんて心の中で呟いてみる。
…なんか悔しい。
「…蔵ノ介。」
「…っ!」
普段恥ずかしくて呼ぶことのできない名前で呼ぶ。びっくりしているようで、白石は目を見開く。それを見た俺は少し得意げに笑う。そして滅多にない俺からのキスで、もっと間抜けな顔に変えてやった。