「謙也、俺のがええよな?」

「謙也さん、俺ですよね?」

「お、俺は…」


右には白石、左には財前。
その間でオロオロと焦る俺。
何故こうなった…



事の始まりは部活の後だった。
いつものように着替えた俺は少し休憩と部室の椅子へ座っていた。そこでボーッとしているとドアが開き白石と財前が入ってきた。おーおーイケメン二人が入ってきたか。疲れててもイケメンてなんやねん。くっそ、なんであいつらばっかモテんねや!俺やって頑張ってんのに!心の中で悪態をつきながらもお疲れ、と声をかける。


「さすが浪速のスピードスター、早いやん。」

「あったりまえや、すべてにおいて早くないとあかんねんで。」

「その力あるんなら、頭のほうにまわせませんか?あ、無理やからそんな頭になったんすね。」

「う、うっさいわボケェ!!」


まったくスピードスターナメたらあかんで!!
馬鹿にした財前をしばらく構っているといつのまにか白石が後ろにいた。うぉっ、びっくりするやん!


「なんや、急に後ろに立つからびっくりしたわ。どうしたん?」

「謙也…」


俺の名前を呼んだ後ぎゅっと抱きしめてきた。そして顔が近づいてくる。うわー近くでみたらさらにイケメンやん、腹立つわー!…ん?近づく…?


「ちょ、な、何しようとしてんねん!?」

「何って…キス?」


引き離そうとするが力が強くて離せない。力強っ!


「離 れ ろ や !」

「無理やっ!」

「無理ちゃうねん、離れろー!」

「俺と謙也は運命共同t…ごふぅ!」


急に白石が変な声を出しながら倒れた。前を見ると財前が立っていた。


「ちっ、まったく油断も隙もないんやから…」

「財前ありがとうな!」

「いえ別に。…謙也さんもう少し危機感持ってください。」

「やって、しょーがないやん。でも心配してくれたんやな!」

「なっ!ち、違っ…」


照れてる財前がかわいくて頭をなでる。素直になればかわええのにな〜。ふと財前の顔を見ると気持ち良さそうな顔をしていた。ね、猫みたいや…。


「(ドキッ)」


…………。
…ドキッてなんやねん!ととときめいたんか!?相手は財前やで!?いつもツンツンしとる財前がこんな優しい顔しとるとか…。あれか、ツンデレか!あたふたしていると復活したらしい白石がまた引っ付いてきた。


「謙也目ぇ覚ませ!」「な、なんや!」

「そいつは天使の皮を被った悪魔なんやで!」

「は?悪…」

「ちっ、また邪魔しおって…」

「ぎゃー!悪魔ああああ!」


そして冒頭に至る。
…二人のどちらかを選べとかできるわけないやろ…。


「え、選べへん。」

「…選べへんとか」

「やなくて」

「「選べ。」」

「……(汗)」


相変わらずの自己中心的な言動に口をひくつかせる。
どうすればええんや…。誰か来てくれ!
そんな願いが届いたのかユウジが部室に入ってきた。


「何してん?」

「KYやなあ、空気読めや。」

「そうっすよ、やから小春先輩に振られるんや。」

「大きなお世話や!」

「今お取り込み中やねん。」

「早う出てくれませんか。」

「ここはみんなの部室やっちゅーねん!」

「…………、」

「…白石、財前、決まったで。」

「まじか!」

「で、どっちっすか?」


キラキラとした目で見てくる二人。


「俺は……ユウジを選ぶ!」


「は?」

「え、」

「お、俺…?」

「やからすまんな二人とも!ユウジいくでっ!」

「はあ?なんや、てか俺着替えてへんし!」


あの場所から抜け出せ、るんるんと歩いて行く。残った二人は口を大きく開け、ただ呆然と立っていた。



(ユウジ…覚えとれよ…)
(ユウジ先輩許さへん…)
(ビクッ)
(どうしたんユウジ?)
(さ、寒気が…)


end
ユウナさん
お誕生日おめでとうございます!
祝うのも2回目になりますね!今回は蔵→謙←光で、ユウナさんが謙光が好きということで受け風味な光を書きましたが初めて書いたのでまだまだですね…。難しいっ!そして何故かユウジ落ち?ということに(笑)きもちはたくさん込めましたああああ!こんなんでよければ貰ってください(^ω^)
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