「けーんや!今日は何の日?」

「は…?」


いつも通り朝練をしに部室に入ると、先に部室に来ていた、少し…いやかなりウキウキしている機嫌の良い白石に質問された。俺は意味が分からないのと、白石がおかしいことで固まっていた。


「謙也?わからへんの?しゃーないなぁ、俺が教えてあ・げ・る!」


と、語尾にハートがつくような感じで言われ、鳥肌が立った。
いや、なんかもう悪い予感しかしませんけど!?


「今日はな、良い夫婦の日、俺らの日、なんやで?」

「………。」

「ああ、ごめん!やから俺を踏み付けんといて!やけど謙也の足が…あかん、エクスタシーや!ハァハァ」

「やめい!スリスリすな!」

「おはようございま…、何やっとるんスか変態絶頂部長、謙也さんから早う離れろ!」

「いややー!今日俺と謙也は良い夫婦なんや!」


まだ言っとるんかそれえぇええぇ!!
っちゅーかいつまでスリスリしてんねん!!


「良い夫婦て、何ぬかしとんスか。謙也さん困っとるし。」

「財前…!」


やっぱり普段は毒舌やけどいい奴や!
後で白玉善哉やろか!


「謙也さんと良い夫婦なんは俺や!」

「財前んんんんん!?お前もやったんかああぁぁあぁあ!!」

「何!?このポジションは譲らへんで!俺のもんや!」

「はっ、俺のです。部長ばっか抱き着いとるんは癪に障るんで俺もいいっスよね。」


そう言って抱き着いてきた財前。びっくりしていると白石が俺と同じ目線まで立ち、鼻と鼻がくっつくところまで顔を近づけてきた。


「謙也…今日は二人きりでいっぱい…愛し合おうな。」


いつもなら振り払う事ができるのに、真剣な眼差しと甘く優しい声色に、恥ずかしくなり赤面してしまう。俯いていると今度は財前が下から顔を覗き込み頬を両手で包み込まれる。


「俺と一緒に愛し合って、愛を深めましょうね、謙也さん…。」


財前も女子にもてるのがわかる。クサイ台詞でも財前が言うと様になってしまう。さらに赤面して、あたふたしていると、二人はクスッと笑い口を俺の耳元に寄せた。


「「愛しとる」」

「…っ」


胸がキュンと鳴った。
…あぁ、こんなの惚れるにきまってる

けど…


「俺の尻を揉むなあぁぁあぁあ!!」

「やって気持ちええんやもん!」

「それには同意ッスわ。」


何を言っても聞かない二人。
はぁ…、さっきのは何やったんや…。

結局これは、他の部員が来るまで続いた。


end
2010.11.22


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