放課後、日の差し込む教室で白石と俺で話をしていた。


「白石、何個もらったん?」

「んー、20個は越えとるで。」


そういって苦笑いをする白石。
両手にはたくさんのチョコを抱えて。


「さすがイケメンやな。」

「そういう謙也こそ貰ったんちゃう?」


ニヤリと笑みを浮かべて聞いてくる。確かに貰ったがほとんどが義理だろう。たとえ貰っても気持ちには答えられない。

目の前にいる男が好きなんだから。




「はぁ…。」


ため息がひとつ。
その手の中にはチョコレート。

誰かに貰ったわけではない。謙也が白石へと作ったのだ。

あれから少し話をして白石は用事がある、と帰っていった。
教室にいるのは俺一人。
のびる影が何故か寂しく思えた。

ぼーっと手の中にあるチョコレートを見つめる。

こんなにも胸が苦しい。

こんなに苦しいならこの気持ちに気付かなければよかった。
そうすれば辛くなかった。
楽しく笑いあえた。


けれど頭に浮かぶのは白石の笑顔。


あぁ、やっぱり好きなんだ。



叶わぬ願いと思いを込めながらそっとチョコを白石の机の中に入れた。



end
一日遅れてしまった…
しかもハッピーになってない…っ!

title:Aコース

2011.02.15


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