「やったで財前!勝ったで!」
「抱き着かんといてください。」
「やって嬉しいやんかぁ。」
「それでなんで抱き着くんスか。」
「ええやん、っちゅーか財前嬉しくないん?」
「嬉しいに決まっとるでしょ。」
「なんやねん、あいつら!」
「かわええやないの、ロックオン!」
「小春ぅうう!浮気か!」
「うるさいねん一氏ぃい!」
「小春ぅううぅう!!」
ある日の大阪四天宝寺中のテニス部。ダブルスの二人、忍足謙也と財前光がコートで仲間の一氏ユウジと金色小春のダブルスコンビに勝ち、その勝利を喜んでいた。
そしてその二人を微笑ましく、というか明らか変なことを考えているようなニヤニヤとした顔で見ている奴が二人いた。
「謙也の笑顔かわええなぁ。」
「光むぞらしか〜。」
白石蔵ノ介と千歳千里だ。
謙也と光の彼氏だという。
発言からしておかしいが、もうこれは日常茶飯事なので皆慣れてしまい、誰も突っ込まない。
ただ呆れ返るだけだった。
しかしそれほど二人は謙也と光にべた惚れしているのだ。…迷惑なほど。
「謙也の足綺麗やんなぁ。」
「光の腰たいぎゃきれいか。」
もうここまでくると、手におえない。二人の発言が止まるのを待つしかないのだ。すぐに終わるわけではないが。二人が変態な発言をしながら、ニヤニヤしてコートにいる愛しい恋人を見ていると、謙也と光が休憩をしにベンチへと歩いてきた。
「やっぱり謙也はかわええっ!」
「光たいぎゃまぶしかね〜」
…まだ言うのか。
これはテニス部全員が思ったことだろう。
「白石!試合見とった?」
「おん、めっちゃかわえかったで!」
「なっ、か、かわええとか俺ちゃうし!っちゅーか試合でかわええってなんやねん!」
「笑顔とかほんまにエクスタシーやったで!今考えただけで勃」
「それ以上言うたら殴るで。」
「謙也さんも部長もアホっすか。」
「光、むぞらしかったばい。」
「…千歳先輩もアホなんすか。」
「そうかもしれんね。ばってん、それは光にだけたい。」
「…しゃーないっすね。」
「照れとる光もむぞらしか。」
…確認するが、ここはコートである。恋人たちがイチャイチャとする場所ではないはず。
しかもまだ練習している最中だ。
みんな疲れていてまわりに疲労のオーラを醸しだしているのに対し、あそこだけ、ピンクで花が舞っている。
「謙也。」
「光。」
「「愛しとる。」」
「「…そんなん」」
「当たり前やっちゅー話や!」
「当たり前ッスわ。」
もうどうにでもなれ。
そう思ったユウジだった。
隣の星から愛を叫ぶ
end.
2011.01.30
ああぁあ、スランプ…(´Д`)
title:Aコース