鳥の囀りが聞こえ、けだるさが残る中目を開ける。
そこには満面の笑みを浮かべた、奴、白石がいた。
「謙也おはようさん、寝顔かわいかったで。」
「…な、いつか、らおお起きて、」
「いつからやろ、5時30分ごろ?」
早過ぎるやろ…。
俺いつも寝とるで、そんな時間。
「謙也、」
「…なん?」
「おめでとう。」
急に真剣な顔になったと思ったら、出てきた言葉に笑った。
「…なんで笑うんや。」
「やって、夜からずっと言うてるし、そりゃ嬉しいで。でも何回目やねん。」
そう、俺の家に泊まった白石は、17日になる12時ちょうどにおめでとう、と言い、事あるごとにおめでとうと言っていた。
「ええやん、祝いたいんやから。」
「…そやな、俺も嫌ちゃうし。むしろ、嬉しい…。」
最後は恥ずかしくて小さくなってしまったが、本心である。
「謙也むっちゃかわええ。」
「!?離せや、あほ!」
デレデレとした顔をしながら抱き着いてくる白石。
無理やり剥がそうとするが、力が強く離せない。
「離せや、暑い!」
「…謙也。」
「っ!」
急に耳元でしゃべる白石。
俺はくすぐったさに反応してしまう。反応した俺を見て満足そうにくすっと笑う。
「…好きやで。」
そう静かに呟く。
たった一言。
その一言で心がこんなにも暖かくなる。そして自然と顔が笑顔になる。
「白石…、ありがとう。」
「俺からも…生まれてきてくれてありがとう。」
感謝することばっかやな、と二人で笑う。
こんな穏やかで優しい時を過ごせて、幸せや。
自然に近づく二人の顔。
キスをする直前ふと目に入る目覚まし時計。その針が指している時間はというと…
7時45分。
ドン、と押される白石。
「痛っ!」
「っもうこんな時間やんか!なんで言わへんねん白石!」
「えぇ〜、やって謙也ともう少しいたいんやもん。」
「やもん、ちゃうわ!しかもちゃっかり自分は制服やし!なんで気づかへんねん、俺!」
「それよりちゅーしようや〜。」
「あほ!学校遅れるっちゅーねん!」
白石にそういうと拗ねて口を突き出している。不覚にもかわええとか思ってしまった。
「謙也〜。」
「そんなに言うと1ヶ月間ちゅー禁止にすんで。」
「よし、学校行こうか、謙也!」
まったく…。
とか言いつつももう少し二人でいたかったと思っている俺がいる。
当たり前か、俺白石にベタ惚れやし。
玄関に行き靴を履き外に出る。すると先に出ていた白石が手を差し出して、立っていた。
「行ってきまーす!」
そう言い白石の手をぎゅっと握った。
俺の世界に白石がいること。
それが俺にとっての
幸せという名の最高のプレゼント。
end.
謙也ハッピーバースデー!
2011.03.20