「外かなり寒そうよ?」

「いーの。んじゃ行ってきます!!」



いつか着れたらいいなと思っていた花柄のスカートで家を出発。
野球部のマネージャーだから普段化粧なんかしないし、正直それは大学入ってからでいいやと思ってるからせめて洋服だけでも可愛くとこれを選んだ。
寒さを忘れるくらい緊張していますはい。

告白って一体どうしたらいいんだろう。
タイミングは?顔を見ながら?それとも歩きながらかな。
まともに好きになった初めての相手が丸井だから、こんな経験も初なんだよね。
ドキドキうるさい胸を抑えながら電信柱の近くに立ってる丸井の元へと走った。








*









「高田はなんてお願いしたんだ?」

「言ったら意味ないじゃん!黙秘しまーす」

「ツレねぇなあ。あ、おみくじ引こうぜ!」



参列中に年を越し、そこから15分程度で参拝を終えた。
あたしの願い事は二つ。
甲子園出場と、今日の告白の成功。
丸井はきっと、インハイ優勝とかだろうな。
あれこれ考えながらおみくじを引く。
うわ、小吉とか微妙。



「小吉とかビミョーだな」

「!!そういう丸井は?」

「俺は大吉だぜぃ!」



してやったりなんて笑顔と共に大吉の二文字をこちらに見せてくる。
新年早々ツイてないなー。



「まあよ、」

「ん?」

「俺と一緒に居れば吉ぐらいの運になんじゃね?」

「それじゃ丸井も吉だよ」

「別にいいぜ。」



あたしより数歩先を歩いて立ち止まった丸井はこちらを振り返る。
真っ直ぐな瞳から逸らすことはできなかった。
これって、もしかして、かな。



「俺の大吉やるから付き合ってくれよぃ」

「…。このシチュエーションで、その台詞ですか。」



これが丸井なのか?!
なんてちょっとした反抗の意を込めて丸井に飛びついた。



「うぉっ高田?!」

「好きだよ、丸井。大吉なんか要らないからさ、」



付き合ってください。

時が止まったかのように周りの物音が何一つ聞こえない。
まるで二人だけ違う世界として切り取られたみたいだ。
気づけば自分の背中に彼の腕が回っていて、ぎゅうっと抱きしめられる。



「もう大吉の運使い果たした気がする」

「…この期に及んでまだ大吉引きずる?」

「いーじゃねぇか。お前も俺と居れば大吉なんだしよ!」



甘酒もらいに行くぞ!
そう言って丸井はあたしの手をとって歩きだした。








(高田!来年もまた来ようぜぃ!!)
(うん!って丸井!もう甘酒要らないー!!)

馬鹿みたいに好きになりたい


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