「初詣、か…」
氷帝幼なじみ'sにのせられて流れで高田を初詣に誘った。 喋ってるときなんか頭が真っ白で、自分がどんなふうに高田を誘ったのか覚えていない。 勢いって怖ぇーとつくづく思った。
高田は寺で年越しをしたいようで待ち合わせは23時となった。 向日の言う通りである。
「…何で仁王がここに居んだよぃ。ジャッカルは?」
「みんな赤也んとこでゲームしちょる。じゃから待っといてあげたんに、ブンちゃんは酷いのぅ」
まーくん泣いちゃう!とか言ってる仁王を全面スルーして自分のベッドに飛び込んだ。 自分の部屋に戻ったら仁王が扉の向こうに立ってたとか軽くホラーだろぃ。 シカトしたにも関わらず仁王はベッドの近くにあるイスに座った。
「のぅブンちゃん。」
「…何だよぃ?」
「いつ高田に告白するんじゃ。」
「いつって…そんなの言われてもよ、簡単に言えねぇ」
俯せだった体を起こしベッドに座る。 高田との仲は、俺的にそこそこ良い方だと思う。 だけどそれは俺の見解であって高田からしたらそうでもないかもしれない。 高田は野球部のマネージャーである故に男子と話す機会が他の女子より圧倒的に多い。 だから周りよりたくさん話す仲の男子なんかたくさん居るんだ。
「恋愛はタイミングが全て。」
「…は?」
「肝心な時に、ここだって時に、肝心なこと伝えなければ、どんなに素敵な恋も無かったことになる。恋愛にもう一度なんて保証はない。…ってやーぎゅの読んどる本に書いてあった」
「何が言いてぇんだ?」
「俺はそのタイミング、逃しとぅないと思ったんじゃ。ブンちゃんはもうすぐ来るんじゃなか?」
ま、どうするかは自分で決めんしゃい。
赤也の部屋に向かった仁王の背に、今日はもう寝ることを告げ布団に入った。 仁王の言ってたように、俺だってそんな大事なタイミング、逃したくない。 恋愛にもう一度が無いなら、今度の初詣は絶好のチャンスなんではないだろうか。 …けど、フラれたときが怖い。
「ブン太ぁ?」
「…ジャッカル?」
「お前大丈夫か?まだ21時過ぎだぜ?」
「ゲームって気分じゃねぇんだよぃ」
部屋に戻って来たジャッカルを適当にあしらいつつ壁側を向いて目をつむった。 …告白するのに、あと一歩が足りない。
「ジャッカル!」
「んあ?」
「俺がフラれたら、慰めてくれよぃ!」
「なんでフラれる前提?!…まあ菓子くらいなら買ってやるよ。」
ポジティブじゃねぇとブン太らしくないぜ。
やっぱ最後に寄り掛かれる場所は、悔しいけれど相方らしい。 思い切って言ってこいという言葉を胸に眠りについた。 次高田に会ったら、自分の気持ちを伝えようと決心して。
宇宙は大きいけど、僕らは出会えた
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