平凡 | ナノ
今日も今日とて生きてます。
「あれ、手塚何してんの?」
「会計の資料の最終確認だ。椎名は何を?」
「委員会の報告書提出してきた。担当の先生の話が長くてさ〜やんなっちゃうよ。」
時は過ぎて12月中旬。 まんまと担任のおっちーこと落合先生に言いくるめられて生徒会副会長に立候補したあたしはまんまと当選し(というか信任投票)何となくで生徒会の任務をこなしてきた。 仕事の出来具合を見たおっちーは「俺の目に狂いはなかった!」なんてほざいてましたよ。
「椎名はまだクラスに馴染めないのか、」
「…そう見える?」
「いつも自分の席に座っているしな。他の女子のように集まって話したりしていないだろう。」
転校生初日、笑顔に+αで関わるな!って気持ちを添えた結果、女の子に話しかけられることはあまりなかった。 まあ、実は原因がそれではなく、手塚と仲良くしてるからだってことだと知ったのはつい最近。
「めんどくさいじゃんグループとか。色々大変なんだよ、女子って」
「俺にはよくわからない。」
「うん。きっと手塚には一生わからないことだと思うよ。」
そう言ったらムスッというかちょっとばかり眉間にシワを寄せた手塚。 事実だから仕方ないでしょ。(むしろ理解された方が怖い)
「いつ誰にどこで裏切られるか、わかんないし。」
「何故そう思う?」
「実体験、ってやつ?」
突然髪を金色に染めた友人。ひたすらトイレでタバコを吸ってるお友達。先生に気に入られた副会長。生徒と関係を持った数学教師。学校へ来なくなったクラスメイト。成績の為だけに学校へ来てた奴や、授業中にゲームを楽しんでた奴。 皆に裏切られた気持ちになったのは、あの中であたしだけだったのだろうか?
「じゃあ俺はどうなんだ?」
「んー?手塚はお父さんっぽかったから。」
「…グランド、走るか?」
「うっうそ!違うよほんとは!!親しみやすかったんだって!」
いつも、あたしの周りは自分を頼りにしてくる人ばっかりだった。 けどあの日、手塚はあたしを゙気にかけでくれた。 なんだか、その優しさに、甘えたくなったんだよ。
「今のあたしには生徒会のメンバーだけで十分です。」
頬杖つきながら手塚に微笑んだ。 可愛い後輩に優しい書記と、お馬鹿な会計に口の悪い会計監査。 この人たちが居れば、今のあたしはなんとかやっていける。
「そろそろ部活行ったら?大石くん?が大変じゃない。」
「しかし、まだこの資料が「いーよ。あたしやっとくから!」…いいのか?」
「うん!まあ感謝のお礼ってことで!人の好意は素直に受け取るもんだよ、手塚?」
それに手塚が居れば、大丈夫。 男女の友情は、そんな安っぽいもんじゃないさ。
「…終わったら、落合先生に提出を頼む。」
「はいはーい!」
掴めなかったのは、本気の自分 「あれ、椎名パシリ?」 「いーえ!感謝の気持ちを行動で示そうキャンペーンです!!」
2011 11/7
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