平凡 | ナノ

夏休み中の登校日




「椎名おめでと!」

「テニス部すげぇなー」

「立海倒して優勝だろ?まぢ尊敬するわ!」

「ゆきちゃんもお疲れさま!」



久しぶりの学校はお祝いムード一色であらゆる人から祝福の言葉をもらった。
今日は登校日だけど、テニス部レギュラー陣は今まで通り各々で練習をしている。
皆が何をしてるのか知らないけど、越前は会場の下見に行くって言ってたな。
そんでもって大石は全国大会の抽選会で神奈川へ。
緊張しすぎてお腹痛くなってないといいんだけど…。
なんて思いながら教室から離れた場所にある生徒会室の扉を開けた。



「久しぶりー!」

「ゆき!お前生きてたんだなー!」

「関東大会優勝おめでとうございます。」

「アンタら炎天下の中よくやるわー。」



役職ごとに決められた席に座って今日までの話をたくさんした。
海斗は一週間前に、女帝は三日前に引退を迎えた。
野球部は意外にも関東3回戦に勝ち進んだらしく、テニス部同様二日後が試合。
まあ対戦相手がかなりの強豪らしいけどね。
琉の退院は明後日だったなー。



「華道部の引退はいつ?」

「一応夏いっぱいです。私は家でお茶と一緒に稽古をつけてもらうので続けますよ。」

「ひめって茶道もやってんのかー」

「大変じゃないの?外部受験すんのに。」

「え!ひめ外部なの?!」



そういえばゆきさんには言ってませんでしたね、とひめは苦笑いを浮かべて話し始めた。



「将来のことも考えて、マリウス女学校に進もうと思ってるんです。」

「マリウスって…え、御三家の女版?!」

「女版ってアンタ…まあ合ってるっちゃあ合ってるけど!」

「ひめ居なくなっちゃうの淋しいけど、進路だから仕方ねぇよな」

「私も皆さんと離れ離れは淋しいです。でも、行かないと後悔する気がして。」



ひめの目指すマリウス女子高等学校もといマリ女は都内でも有名な女子校。
キリスト系の女子校が多い都内で数少ない仏教学校。
スカートは長いし髪はみんな真っ黒だし、何より礼儀正しい人しか居ない。
余談だが、おっちーが一度行ってみたい学校だったりする。



「話変わっけど、今日手塚帰ってくんだって?」

「うん。でもね、飛行機の時間とか何も教えてくんなくてさー迎え行けないんだよ」

「あいつのことだから学校あるしとか思ってんじゃない?肝心なレギュラーさんは休みですけど。」

「手塚君はいつも周りの人を優先しますからね。きっと気を遣ってるんですよ」

「そういうことなのかねー」



三人の言うことに納得してたらケータイが鳴った。
ディスプレイには大石の文字。
あと二日で、全国大会が始まる。










今すぐ行くから待っていろ
「手塚が立海に来っええ?!」
「うっさい!ケータイ飛ばすなアホ!」


2012 03/21