平凡 | ナノ
夏休みは何処へ
「前髪をこうしてメガネをかければ完成じゃない?」
「うしっ。英二先輩〜不二先輩!ちょっと見ててくださいよ!!」
関東大会初戦の相手が氷帝学園に決まり練習はより一層厳しいものとなった。 竜崎先生が言ってたけど、氷帝学園は実力主義で負けたら即メンバーチェンジ、部員は200人も居て都大会までは正レギュラーが三人しか出なかったらしい。 そもそもレギュラーに正がついたことにも疑問なんだけど。 だけど青学のテニスコートは緊張のきの字も見えないほど和んでいました。
「データを入れてくださいガガガ…」
「ふふっはははは!」
「ははっははっに、似てる!!」
「あひゃひゃっ!桃サイコー!!」
桃の紙をちょっとイジって逆光メガネをかけて謎のノートを手に持てばあら不思議! ニセモノ乾ロボの完成です。
「なかなかクオリティーが高いね桃っ。」
「マジっスか!なんか賢くなった気分になれるっスよ!」
「俺にもメガネ貸して〜!!」
「そのくらいにしとけよ!乾の奴あそこから動けてないんだぞ?」
あそこと大石が指したのはフェンスの向こう。 唖然とした表情の乾が居ました。
*
「あれっ、不二はー?」
「手塚に英語の辞書借りに行ったよん!」
私立中学だからなのか知らないけど、7月中旬になっても夏休みが始まりません。 もうすぐ関東大会が始まるっていうのに。 自分の席に座り、昨日部活帰りに買ったクッキーを開けた。
「英二、テニス部でジャージの裾がスティールブルーの学校ってどこ?」
「ん?スティールブルーって何色だにゃ?」
「あー…、水色みたいな色!」
「水色ー?あ、多分それ氷帝じゃにゃい?でもなんでー?」
「…こないだ見かけたんだ。まさか次の試合で戦う相手だったとは、ね」
越前の態度のデカさに頭を下げることでいっぱいいっぱいだったからあまり顔とか覚えてないけど、あの眼力が強い人は多少会話みたいなのしたし、あの赤髪の男の子は身軽さに驚いたから覚えてる。 てか赤髪って…よくよく考えたら奇抜すぎだろおい。
「俺あそこキライ」
「?なんで?」
「とにかく応援がすんごいの!部員がばぁーっとコート囲んで氷帝コールすんだ。勝つのは氷帝!負けるの青学!って」
身振り手振りで説明する英二。 ちょっとそれはオーバーすぎないか? てか負けるの青学って…ストレートだなぁおい。(…デジャヴュ?)
「あの中に一人で居たら俺倒れちゃうよん!?」
「ま、英二は大石とD2だから大丈夫でしょ?そういやオーダーまだ言われてないね」
「言われるのは当日だよー!でもいつもは何となく雰囲気でわかるにゃ」
竜崎先生も悩んでるんだろうなってことでこの話はおしまい。 不二が戻ってきたのと同じくらいに英語の先生が来て授業がスタートした。
机の上に広げたお菓子 「菊丸ーお菓子仕舞わないて没収だぞー」 「に゛ゃっ?!これゆきのじゃん!!」 「ってうわぁ!中身出ちゃうよ!!」
2012 01/12
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