平凡 | ナノ
彼のmistake
「越前?どこ行くの?」
「ストテニ。先輩行ったことないでしょ」
「あー初めてかも。てか部活抜け出してまで行かなきゃならないとこ?」
「…さあ?」
ちょっと付き合ってと言ってあたしを呼んだ越前に着いてくと普通に学校を出てくもんだから驚いた。 マネの仕事全部終わらせといてよかったよ。 …って問題はそこじゃなくて部に戻ってからだよね。 あたしは部誌の記入とか備品チェックでしばらくコートから居なくなることは少なくないけど、越前は部員でかつレギュラーなんだから、バレたら大変なことになっちゃうよ。 (手塚が怖いな) ボケーッと越前についてくと、コートだと思われる方から人の声が聞こえた。
「ねぇ、サボりっスか桃先輩?」
「越前!!」
「こら越前!先輩を置いてズカズカと…っ桃?!」
「え、ゆき先輩?!」
越前の後を追って階段を登ると、ラケットを持った桃とセーラー服の女の子と袖がスティールブルーのユニホームを着てる人が何人か居た。
*
桃が居ることに驚いたあたしは入り口付近から動けずにいた。 1番に込み上げてきたのは、彼がテニスを嫌いになってなくてよかったという安堵感。 その間にもコートの向こうでは他校の人たちと越前は何かを言い合ってる。 (あ、赤髪の人飛んだ…)
「そこのサル山の大将、試合やろーよ」
「あせるなよ!」
「逃げるの?…いだっ!」
「向上心があるのはいいことだけど目上の人はもう少し敬いなさい!…ごめんなさい。うちの一年が迷惑かけました。」
「今に始まったことじゃねぇだろ。それより、お前誰だ?」
「青学三年、椎名ゆき。男子テニス部のマネジャーしてます。」
「ほぉ、青学はマネジャーおったんか。」
「入部して半年程度ですけどね…。で越前?用が済んだなら帰るよ!」
「ウィーっス」
「桃も彼女と遊んでる暇あったら部活に来なさいねー!」
「だぁあゆき先輩?!橘妹はそんなんじゃ!」
「言い訳はあとでー。手塚が眉間にシワ寄せて待ってるよー!!」
「!!すぐ行きます!」
結局あの場に居たのが誰なのか分からないままストテニをあとにした。 まあなんだかんだで越前も桃を心配していたことを知れたので良しとしよう。
「何周走らされるかね」
「さあ?ま、そう簡単には許してもらえないっしょ」
*
「随分と元気な子がマネジャーなんだねー跡部?」
「ハッ。マネジャーが入ろうとテニス部の強さは変わらねぇぜ」
「それよりも俺はあの手塚が女子を入れたことに驚きやわ。」
「跡部にあんなふうに話す女子初めて見たぜ!」
三人が居なくなったあとのストテニはゆきの話題で持ち切りでした。
*
「グランド100周だ…行ってこい!」
「はい!」
こっそり戻ってきたあたしは空になりかけのタンクの入れ替えの為にコートに入った。 そんな時に聞こえたのが先程の会話。 これ、部内最高記録じゃないの?
「100周って部活の間に終わんのかな」
ふと竜崎先生の言葉を思い出した。 《桃城はやられた倍の力をつけてくる男だ。》 彼ならきっと、はい上がってくるよね。
「よし。みんなードリンク入れ替えたから無くなった人はボトルここに置いてってー!!」
「「はいっ!!」」
丸めた紙とほうきで野球 「越前はどこだ?」 「あー…、トイレじゃない?」
2012 01/11
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