平凡 | ナノ

最大の敵は数学







「ふーじぃー」

「質問以外は受け付けないよ?」



ニコニコ笑ってる不二を見て思わず黙ってしまった。
その顔にさっさと勉強しろよって書かれていたからです。



「おーいしーもう飽きたー!」

「何言ってんだ英二。まだ勉強会始めて30分も経ってないぞ?」

「相変わらず菊丸と椎名は集中力が続かないな。」

「数学だったら俺が教えるよ不二」

「そう?迷惑かけるね、うちのゆきが。」

「タカさんが教えてくれるなら頑張る!てか不二の子になった記憶無いんだけど!」

「静かにしろ椎名。ここは図書室だ。」



三週間後には都大会が迫っている今、青学はテスト期間真っ最中。
公立と私立の授業ペースは全然違くて、未だに数学と英語においては付いていけてない。
去年は先生たちも多めにみてくれてたんだけど、受験を控えた3年についてはそうもいかない様子。
そこであたしの成績を心配したみんなが勉強会を開いてくれることになった。



「あーあー。桃や海堂、おチビは今頃楽しくテニスやってんだろーなぁー!!」

「仕方ないだろう?俺達は受験生なんだから」

「テニス部に居ると受験とか忘れそうだよね」

「3年という自覚はあるんだけどな。」

「まあ今はテニスに集中しろってことじゃない?っというわで勉強会は「やめないよ?だって明日はゆきの大の苦手な数学がテストの日だもの。」



不二に口で勝つことはできないので(時々おあいこ)手塚に視線を送るとさっさとやれ。と言われてしまった。
全く、みんなそこそこ頭良いからって図に乗るなよー!!









*








「もう数学なんて不二と一緒に消えちゃえばいいのに」

「そんなこと言うのはこの口かな?」



先程返された数学の答案用紙を机に置いて不二はあたしの頬をぐにぐにと引っ張る。
英二はそれを見てゆきのほっぺ伸びすぎ〜!って笑ってる。



「いひゃいかりゃひゃなして!」

「仕方ないなあ。で?何点だったの?」

「…45点」

「おぉー赤点は回避だにゃ〜」

「前回よりはマシだね。」

「あんだけやってこれじゃ高校行ってからが恐ろしいや。」



あたしがため息をつくのと同時に授業終了のチャイムが鳴る。
テストが終わってあとは夏休みを待つだけとなった学校はなんだか賑やか。
そこでふと大事なことを思い出す。



「都大会前はランキング戦やんないの?」

「都大会前はやらないね。地区と同じメンバーだよ」

「次は関東の前だね!」



乾とレギュラージャージを着れる日はまだあと少し先のようです。



「とりあえず赤点無くてよかった…!」








答え合わせ10分後
「やっと部活だあ!」
「ちょっと英二!腕引っ張るなバカ!!」


2011 12/20