平凡 | ナノ

謎の危険三角地帯




これは一体、誰の策略なのでしょうか?



「おはよゆき!4日振りだにゃ!」

「おはよ英二。で、この三角地帯は?」

「僕ら席まで近いみたいだね。」



黒板に書かれた座席表を見て、唖然とした。
あたしの名前は窓際の前から4列目にあって右に不二、前に英二だった。
昨日は普通に名前順だったのに、1日で席替えとか何事だ。



「またあのあっつい視線を浴びて過ごすんですか…」

「大丈夫だよ。動物園のパンダに比べたらこんなものどうってことないさ。」

「…あたし、パンダと同等?」

「えー!ゆきはパンダってキャラじゃないでしょ〜?」



あーだこーだ英二と言い合ってるうちに担任のおっちーが教室に来てHRが始まりました。
今日は1時間目から国語で、やった寝れるじゃん!と思い挨拶と共に机にこんにちはした。

…はずなんだけど、



「…なんで起こすの」

「授業中寝てる人を起こすのは当たり前だろう?」

「だからって耳に息を吹きかける必要ないじゃん!」


「どーしたよ副会長?今日は落ち着きがないなあ。何があった?」

「…何もありません。」



もう少しで眠りにつくってとこで不二が右耳に息を吹きかけてきた。
もちろん、驚きで変な奇声をあげたあたしは、先生にもクラスメイトにも笑われましたよ。
バッチリ英二にも見られちゃって、今日の部活できっとネタにされるんだろうな。



「これからは僕が手塚の役目をするからね。」

「え?」

「寝てたら起こす。サボりと遅刻は厳禁。手塚から受け継いだゆきマニュアルね、これ」



そして私の睡眠学習の時間がグッと減ったようです。








*









「どうしてこんなにも女子運が無いんでしょう私。」

「みんなからしたら羨ましすぎるポジションだけどねー」

「2組とか遠い!!」

「まああたしは2組になれて幸せだからさ。」



数少ない友人と屋上で昼食。
玲奈は2組でクラスが離れた。
しかし、それを悲しんでるのはあたしだけ。



「大石くん、委員会どうするのかな?」

「あー、確か保健委員とか言ってた気がする。」

「保健委員かあ…。ゆき担当?」

「あたしは図書と部活動委員。保健はひめじゃないかな」

「あ、ひめちゃんも同じクラスだよ。やっちゃおっかなー」



彼女は大石に片思い中で、あたしより大石のが大事らしい。
所詮友人なんてそんなもんだよね、うん。



「そういえば手塚は何組なったの?」

「1組。女帝が盛大に嫌がってた。」

「あはは…なんか想像できちゃうよ」



春休み前に発表されたクラス分け。
手塚の大分あとに載っていた自分の名前に絶望していたうららの姿は記憶に新しい。



「琉は桃と同じなんだよねー。少しは桃の素直さを見習えないかな!」

「黒川くん意外と素直だよ?」

「んーとね、素直っていうか、…もう少し敬って欲しいかな。」



野球部なのに坊主にしない2年副会長の顔を思い浮かべた。
そしたら何故か、昨日の白い帽子くんも登場。
……そういやあの子、タメ口だったわ…。








着苦しくてした制服
琉が二人とか、耐えられるかな…


2011 11/30