平凡 | ナノ

職権乱用中







「こういうとき、生徒会って便利だよねー」



ぼやきながら近くにあったソファーに座ってお弁当をテーブルに置く。
冬休みは夏休みと比べると極端に短い。
あんなにダラダラ過ごした冬休みは初めてな気がする。

今日はクラスで唯一(浅い関係の人ならたくさん居るよ)あたしと仲良くしてくれてる玲奈がグラ整のせいで居ない。
(彼女は野球部マネさん)
手塚もミーティングで居なくて一人になったあたしは教室を出て生徒会室へと逃げてきた。
クラスのみんなが机を移動させてワイワイ食べてる中、一人で黙々と食べるなんてこと、あたしには出来ない。
(チキンだなあ。)



「それよりさっさとごは「あっれー?生徒会室電気つけっ放しだよん!」…は?」



たくさんの足音に特徴のある話し方。
お弁当を開けようとした手を止めてドアの方を見た。



「どうやら先客が居たみたいだね」

「椎名さん!何故ここに?」

「ちょ、ちょっと用事で…今日ミーティングじゃなかったの?」

「場所が無くて手塚を頼りにここに来たってところだ。」

「フシュー。」

「…そう。んじゃあたし行くね?」

「俺達はこちらを使う。だからお前はそこに居ればいい。」

「でも、邪魔じゃない?」

「お前は居ても居なくても変わらない。」

「……可愛いげないな!」



ここへズカズカと入って来たのはテニス部ご一行(レギュラーのみ)。
乾くんの言う通り、手塚が会長ってことで生徒会室に来たらしい。
ひとつ言って起きたいんだけど、あたし一応、大石くん以外初対面だからね?
(大石くんは手塚を呼びにここに来るから知ってるんです。)








*







「じゃあ本題に入ろうか。」



今日のミーティングはマネージャーについてだった。
自分たちが主軸となった今、これまで見えなかった部分に気づいたのである。



「募集をかける訳にはいかないっスよね」

「それだと多分、一週間で全員手塚に辞めさせられちゃうよ」

「はい!推薦とかはー?」

「推薦か…ふむ、いい案だと思うぞ。」

「僕たちが選ぶんだね。…どう?手塚が推薦したい人、いる?」



不二に問われ、少し考える。
推薦するからには自分にも責任を負う義務があるだろう。
それを自分が背負っても大丈夫な人物。
しっかり仕事をこなし、部員に認められるような人物で皆の心の拠り所となるような人物がいいだろう。
そのとき、何かが閃いた。



「……椎名!」

「ふぇぃ?!」

「テニス部のマネージャー、やってみないか?」



俺は椎名の親友。
彼女が部活にトラウマのようなものを持っているのなら、俺がそれを取っ払ってやろう。
ここは青春学園である。








厳しいけれど実は心配性
「Yesかハイね、椎名さん」
「え?!ちょっ手塚!!」
「ポーカーで負けた罰がまだだったな」
「…ここで言う?!」




2011 11/12