「なあ白石ー。いつになったらコシマエと試合できるん?」
「あんなぁ金ちゃん。越前くんかて暇やないんやで?そもそも青学があるんは東京や。」
「せやったらワイが東京行ったらええやんか!東京行きたいぃぃー!!」
駄々をこねる遠山に、そろそろ毒手を使わんとあかんなぁと思っている白石。
その二人の元に財前とツインテールの小さな女の子がやってきた。
「クラくん、どないしたん?」
「ゴンタグレ纏わり付いてますよ。」
財前は視線を白石から遠山に移す。
白石の周りをひたすらグルグル回ってる四天宝寺ルーキー。
「金ちゃんが我が儘言ってきかんのや。」
「あー、またコシマエすか。」
「え!越前くんが来るん?!」
目を輝かせる少女、基きみかに心を痛めながらも「ちゃうで。」と誤解を解く白石。
(目キラキラさせんのはあかん!)
事情を理解したきみかは遠山の元へ向かった。
「金ちゃん…そないに越前くんと試合したいん?」
「おん!きみかは会いたないん?」
「っ!そんなわけないよ!……。クラくん、うちも東京行きたい!」
何を勘違い、思いついたのか、きみかも我が儘を言いはじめた。
どうしたものかと、相談の意を込めてその場に居た財前に白石が視線を送るも顔で俺に振るなと返されてしまった。
「二人とも、それ以上我が儘言うんやったら「おーい!白石ー!!」
包帯に手をかけ二人に近づいたとこでコートに顧問である渡邊がやってきた。
その手には何枚かの紙を持っている。
「ほんま急で悪いんやけど…」
「「?」」
「今週の三連休、青学さんと練習試合で東京行くって話しすんの忘れとったわ!」
「…は?」
「三連休て、今日火曜じゃないすか」
「俺らが、行くんか?」
「せやで。三日間のどっかは観光しよーっちゅう話や。」
「きみか…今の聞いた?」
「うん。聞こえてもうた。」
「「東京やー!!」」
両手を広げてコートを駆けてくチビ二人。
その周りはお花が飛び散っている。
「まあ一件落着でええんじゃないすか?」
「久々にきみかまで我が儘言うから疲れたわ…。さあ、練習再開すんで!!」
青春全力疾走中
(謙也くん、東京や東京!)
(…何が東京なん?)
2011 1228
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