「きみかさん、今日のお帰りはどのくらいでしょうか?」
「んー今日は学校でお菓子作る予定だから7時ぐらいかなー。あ、帰りはブンちゃんか蓮二に送ってもらうからことねさんは家に居てね!」
「畏まりました。では、いってらっしゃい。」
「「いってらっしゃいませ。」」


たくさんのメイドさんに見送られながら家を出る。
もう5年もこの生活をすれば意外と恥ずかしいと思わなくて、慣れって恐ろしいと思った。
元々私の両親は私に一般庶民の感覚を身につけさせようと中学までは普通の家庭で育っていたのだ。
(時々高級レストランに連れていかれたりしたけど)
ところが中学進学のとき、白川家の娘としてそれなりの作法は知っておいた方がいいという周りの意見でこの生活がスタートした。
因みに私の家は某有名洋菓子店のトップを務めてます。

中学の3年間、高1の夏まではお金持ち学校の桜蘭って学校に通っていたのですが、いろいろあって今は神奈川の立海大付属高校に通ってます。


「おはようきみか」
「おはよう蓮二。朝練お疲れ様!」


まだ人が少ない教室で窓際の自分の席から校庭を眺めていると、隣の席であり仲のいい柳蓮二が教室へやってきた。


「蓮二って着替えるの早くない?まだグランド歩いてる子居るよ」
「この時間は人が少ないから本が読みやすい。だからさっさと着替えて部室を出るんだ。」


喋りながら本を取り出した彼はしおりを取ってそれを読み始めた。
邪魔しないようにもう一度外に視線を移すと、テニスコート付近でガヤガヤ騒いでるブンちゃんを発見。
ほんと、朝から元気だなブンちゃん。
あのまま遅刻しないといいけど。


「そうだ。今日家庭科室借りるんだけど、一緒に帰れる?」
「ああ。少し待たせるかもしれないが、いいか?」
「うん。テニスコートの脇で待ってるよ」
「今日も楽しみにしてるぞ。」


蓮二は二回ほど私の頭を撫でて本に戻った。
遠くで女の子の悲鳴が聞こえたのでふと時計を見ればHR2分前。
ブンちゃんは教室につけただろうか?

のんきに机の中を整理してたら昨日ブンちゃんがくれた変な絵が出てきた。
いつもと変わらない月曜日。
今日は二年生になって2週間と3日経った日です。






青春ターミナル
(今からC組に行ってくる)
(なんで?)
(弦一郎と丸井の説教だ。)
(…やっぱ間に合わなかったのね…)

by69
20120128



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