今朝は散々だった。
朝練のあと、赤也と二人で仁王を待ってたのに知らないうちに奴は教室に行っていて、俺たちがそれに気づいたのはHRが始まる2分前。
懸命に走ったが昇降口に入ったと同時にチャイムが鳴り、遅刻が確定した。
そのあとは真田の説教を受け幸村君から罰として放課後の部活の片づけをさせられて今に至る。
イライラが収まんねぇからガムを噛もうとしたけど、箱の中身は空っぽ。ツイてねぇ。
「丸井せんぱーい!」
「んだよ赤也」
「柳先輩が外で呼んでるんスけど」
「柳?別に部室くればいいじゃねぇかよぃ」
「いや、それが女子と一緒に居るんで…誰なんスか?あの人」
そこまで聞いて俺は部室を飛び出した。
柳が一緒に居る女子なんてアイツしかいねぇ。
アイツならきっと、俺のイライラだって癒してくれる。
「きみかっ!」
「うわぁ!ちょっとブンちゃん!どうしたの?」
「…疲れたんだよぃ、」
抱きついた俺をあやすように背中を撫でるきみか。
きみかの横は落ち着く。
「今日の丸井は疲労困憊だからな」
「そういや遅刻してたねブンちゃん」
「ん…なあ?なんか甘い匂いすんだけど」
「あ、これじゃない?」
きみかは俺をはがして柳が持ってるタッパーを指した。
柳はかなり美味いぞと言いながら蓋を開けてくれた。
「うめぇ!!」
「よかったよかった。今日は人参入りの蒸しパンだよ。部活終わりはお腹空くし丁度いいかなって」
「もう一個食ってもいい?」
「これは全部丸井の分らしいぞ。」
「家持って帰って弟君たちにも分けてあげて?」
「いいや!俺が全部食う!!」
だと思ったなんて言いながら二人が笑った。
去年は三人で同じクラスだったのに、今年は俺だけが仲間外れで。
なんだか一人にされたようで寂しかったけど、
「一緒に帰ろう?」
「そろそろきみかの家の人が心配するからな。荷物を取って来い、ここで待ってる」
「おう!柳それ食べんなよー!!」
二人は変わらず、俺も輪の中に入れてくれるようだ。
嬉しくてジャッカルの背中を叩いてから二人の元へ向かった。
キャンディーボックス
(ぶちょー、あの人誰なんスか?)
(柳と同じクラスの白川さん。跡部みたいにお金持ちだよ。)
(え、跡部さんレベルっ…?!)
By69
20120129
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