ガラガラとキャリーバックを引きながら学校へと一人寂しく向かう。
リョーマが居たらなあなんて思ったけど、考えるだけ無駄だよね。うん。
てことでやめた。
(マネバ重いよー)
「あ!杏奈ちゃん到着だにゃ!」
「えーじ先輩!てか、先輩たち早すぎじゃないですか?」
「今回は僕等が主催だからね。お迎えは当たり前のことだよ。」
ほら、貸して?と素敵笑顔で不二先輩に言われたのでマネバを渡し、キャリーバックはその横に居た河村先輩が持ってくれた。
「早くバスに乗れ。もう桃城も海堂も乗っている。」
「えっ?!二人ともはやっ!!!」
遠足が楽しみすぎて眠れなかった小学生みたいだ…なんて思いながら、目の前にある豪華なバスに乗り込んだ。
「なんでマムシが俺の横なんだよ?!」
「てめぇが座って来たんだろうが!」
「まあまあ、二人とも落ち着いてよ」
「二人の仲は相変わらず、か。四天宝寺との試合で少しは良くなったと思ったんだが…」
「大石ぃー、跡部の別荘って広いのかにゃー?」
「学校を乗っ取る跡部のことだもんなあ。きっとすごいと思うよ。」
息がピッタリの喧嘩を始めた二年二人、それをとめる河村先輩とその横でデータを取ってる乾先輩。黄金ペアも半年前と何ら変わらない仲の良さ。
なんか、温かいなあ。
「なんか嬉しそうだね。」
「不二先輩!…ちょっと、懐かしいなって」
「ふふっ。最近の部活はどう?」
「一年がすごく成長してます。サーブのコントロールができるようになった子とか。みんな体力もついてきて、試合も様になってます。」
「そう。楽しみだね、来年も。」
さっきとは真逆の優しい笑みにはい。と頷く。
「杏奈ちゃんは?」
「へ?」
「最近、どう?」
「いや…特に何も。って感じです。」
言ってから、やっぱり何も変わってないよね、うを。と自問自答を繰り返す。
だって不二先輩の顔が納得いかないって言ってるんだもん。
「あ!夏休み前に比べて英語の成績というか、テストの点が下がりました…」
「英語?」
「はい。今までリョーマに教わってなんとか上位に居たんですけどね」
「ふふっ。杏奈ちゃんの中で越前の存在は大きいんだね。」
「そうみたいなんです!最初は居ないのに慣れなくて、一人で探したりとかしててかなり恥ずかしかったんですよ…」
「それを聞いたら、越前はきっと喜ぶだろうね…あんまりイジメちゃダメだよ?」
「え?!私、リョーマのことイジメてるように見えますか?!」
「んー、ちょっと意味が違うかなあ。ま、時期にわかるよ。」
彼も素直じゃないから、ね。
自動販売機でよく買うジュース
(二日前のクリスマスイブ。)
(夢にリョーマが出てきた理由を)
(不二先輩ならわかるのかな)
20111025
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