「唇カサカサ…そろそろ新しいリップクリーム買わなきゃだね」
時は過ぎて12月、2回のテストと文化祭を終えて先週から”追い込み練”が始まった。
「10分16ー17ー18ー、林せんぱーい!タイム落ちてますよー!!」
3年生が居なくなった今、海堂先輩が部長として新体制となり、メニューは部長と副部長の桃ちゃん先輩で考えるようになった。
だけど二人の仲は相変わらずで、急遽その中にあたしも加わることになったのだ。
そこであたしが提案したのがこの”追い込み練”である。
「何だそれは」
「今って所謂シーズンオフじゃないですか。そういう時期って自分を追い込むのにピッタリらしいんです。」
「具体的に何すんだ?」
「簡単に言えば体力作りです。毎日30分間走をメニューに入れて、金曜に1.5kmのタイム測定をしようかと。」
「そういうことか。…他にはあんのか?」
「それ以外は先輩たちにお願いします。持久力に関しては、二人のほうが秀でてますからね。」
それからは最初に30分間走ってそのあと二人が考えたメニューを曜日ごとに行っている。
「1分前ー!ラストファイトー!」
「「オー!!」」
青学の良いところは、こうやって練習中も声が出ることだよなあなんて思いながら、もうすぐ走りが終わるのでドリンクとタオルを並べる。
「5秒前ー3ー2ー1ー終了ー!!」
「名取、冬休みの合宿の話だけどよぉ」
「3年生主催のやつですっけ?」
「26日から4泊5日。場所は静岡だ。忘れんじゃねーぞ!」
「はい!」
校門の方へ歩いていく海堂先輩を見送って新鍵当番さんの元へ向かう。
「桃ちゃん先輩!帰りましょー!」
リョーマが居なくなってから、先輩の自転車の後ろはあたしの定位置となった。
女の子らしく横乗りなんてしません。
「久々だなー先輩たちに会えんの!」
「そうですね〜でも、大石先輩とか平気なんですかね、外部受験なのに」
「杏奈は分かってねーな、分かってねーよ!」
「え?」
「先輩は頭いいし、きっと合宿先でも勉強してんぜ?恐らく手塚部長もな!」
「そっか。そうですよね!!」
桃ちゃん先輩も楽しみになってきたのか、自転車を漕ぐスピードがほんのちょっとだけ早くなった気がした。
背中合わせ
(早く3年生に見せたいですね)
(ん?)
(先輩たちの、青学テニス部!)
20111020
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