「名取、お前に男子テニス部のマネージャーを頼みたい。」



屋上にて、あのお堅い無表情な手塚先輩にこんなことを言われたのは5月下旬。

小さい頃からスポーツを観るのが好きで、プロ野球とかJリーグとかのTV中継を見てきたけど、姉たちがテニス部のマネージャーになってからはテニスに心を奪われ、青学に入ってから毎日のようにテニスコートへ通っていた。

クラスメイトのリョーマとはテニス好きってことで意気投合し、試合の度に彼はあたしを誘ってくれた。
手塚先輩とは委員会の用事で何度か生徒会室へも訪問してるから知り合いで、



「あたし、マネージャーとか無理ですよ!」

「名取の姉はテニス部のマネージャーと聞いているが?」

「姉は全くの他人です!」

「ダメかなあ杏奈ちゃん。そろそろ一年生にも練習させてあげたくてマネージャーを探していたんだけど…」

「おっ大石先輩!そんなっ俯かないで!!!…ああっもう!やります!やりますから顔を上げてええ!」

「ほっ、本当かい?!」

「…あ、」



入学式の日、迷子になってたあたしを助けてくれたスーパーウルトラ級に優しい大石先輩はその日からあたしの中の神推しメンとなっていたのだ。
(大石先輩を使いやがったな!テニス部め!!)

こうしてテニス部の策略にまんまと嵌まり、マネージャーとなりました。











「マネージャー、ドリンクくれー!」

「はい、ただいまーー!」



走ってCコートに居る先輩の元へドリンクを持って行けば、「サンキューな」と言って頭を撫でてくれた。
お礼を言われるのが、こんなにも嬉しいことなんて、知らなかったなあ。



「名取、明日から都大会が始まるからな、スコア等のチェックを頼む。」

「了解ですっ!」



かなり強引な形でマネになったものの、テニスを間近で毎日観れる生活が、あたしには幸せすぎることだった。






走ってって走ってジャンプ
(杏奈危にゃい!!)
(ふえ?…べたっ)
(…まだまだだね。)

コートを見ながら歩くマネは
よく転んでる場面を目撃されます。

20111015

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