「何でこうなるかなあ…」



今日は各校で練習なのに私が今いるコートは立海が居るコート。
なかなか中へ入ることが出来ず戸惑っている。

…事の始まりは数分前、美亜ちゃんの一言が原因だ。



「あんた、幸村に謝った?」

「!い、一応謝罪とお礼はした、けど…」

「アイツ、根に持つタイプだからちゃんと謝っといた方がいいよ…逝きたくないなら。」

「ええ?!なんでそ「逝きたいの?」いっ行ってきます!!」



美亜ちゃんが言うには幸村さんは相当怖いらしい。
(真田さんのが怖かったんだけどなあ…)



「あ!青学のマネージャー!」

「へっ?」

「おー美亜の妹か。お前さっき大丈夫だっか?」

「あ、はい!大丈夫です!!」

「それより、なんでここに居るんだよぃ?」

「実はかくかくしかじかで…」



話し掛けてくれたのは3年のジャッカル先輩、丸井先輩、2年の切原先輩だった。
事情を話せば、「ああ可哀相に…」みたいな目をされたけど、三人はコートの中へあたしを連れていってくれた。



「赤也が先輩って呼ばれんの、なんかウケんな」

「なーに言ってんスか!俺だって2年っスよ!」

「まあまあ。てかそれ重くねーの?」



美亜ちゃんが言ってた通りジャッカル先輩はとても優しい人であたしが押してる台車を代わりに押してくれようとしたけど、全力で断りました。



「そんな必死に断る必要ねぇだろぃ」

「手塚部長…いや、不二先輩に怒られてしまうので…」

「そんなんでかよ?」

「あたし、テニスコートでよくコケるんですよ。よそ見してて。だから台車押してれば転ぶことも減るんじゃないかって、不二先輩が。」

「っお前、普段からコケてんの?!」

「いやー、どうしてもみんながテニスしてるとこ見ると目の前の意識飛んじゃうんですよねー、テニス面白くて!」

「立海のテニスも面白いよ?」

「そうですか!じゃあ今日は一層気をつけないと……ってええ?!」



普通に三人と会話してるつもりで居たらいつの間にか満面の笑みの幸村さん登場。
(あっ、あれは、不二先輩と同じ素敵笑顔…??)



「三人とも、俺とラリーすんのと外周、どっちがいい?」

「「がっ外周行ってきます!!」」


「うおっ!早いな…」



幸村さんの素敵笑顔が効いたのか、三人は猛ダッシュで外周しに行きましたとさ。
めでたしめでたし。
…じゃなくて!



「あの、」

「ん?」

「さっきはすみませんでした!しっかり謝罪できてなかったので…」

「それなら気にすることはないよ。あれは俺が勝手にやったことだし。」

「………やっぱり幸村さんは優しい方ですよね!」



気にすることはないよって言った時の幸村さんの笑みはとても優しくて、さっきの素敵笑顔も美亜ちゃんが言ってたことも嘘だと思った。



「美亜が何か言ってたかい?」

「はい。でもそれは嘘だとわかりました!」

「ふふっ。そう…そのドリンクは俺たちのでいいのかな?」

「ここにあるのは立海の分です。今日は私が立海のマネージャーをやります!」



そう言ったら変わらずの笑顔で幸村さんはよろしくねって言ってくれた。











実は陰で魔王と囁かれる存在
(…どうした精市)
(いやあ、今日は美亜にお仕置きしないとなあって)
((美亜/美亜先輩 ご愁傷様…))
(皆さんドリンクでーす!…あれ?)


20111030

   
      bkm