栗最中がナンバーワン
ハルちゃんの学校に突撃してから一週間が経ちました。外はだいぶ暖かく、最近は近所のおばちゃんが毎日小さいアイスバーをくれます。これがとっても美味しいんですよ。


「お前…ハルんとこの、」
「ぴぃ?(えー?)」


ベンチに座ってる私の前に立った背の高いお兄さん。見上げるとワインレッド色の髪に八重歯が特徴的な人だった。…誰だ。


「ぴーかぴー(あなただーれー?)」
「真っ黄色だなほんとに…うさぎじゃねぇのか?」
「ちゅーう!(ネズミだよ!失礼だな!)」
「おっ、言葉は通じんのか。」


ちょっとだけ嬉しそうな顔をして、お兄さんは横に座った。この髪の色どっかで見たことあるなーすっごく綺麗な色!


「ぴっかちゅー(きれーだねー)」
「んなひっぱんなよ!髪は食いもんじゃねーぞー!」


お兄さんの肩に乗っかって髪をくるくるしたり引っ張ったりしてみた。んん、これはハルちゃんと同じ匂いがするぞ?肩幅も、マコちゃんと同じぐらい。


「ぴっぴか、ぴかちゅ?(お兄さん、水泳部?)」
「んー?え、お前泳げんのか?」


ハルちゃんがいつも言ってる「フリー」の真似をしながら尋ねたら反応が結構良かった。おお、これは仲良くなれるきっかけを掴んだか?とりあえず、泳げないってことを示さないとね。胸の前でばってん作らないと。


「こんなとこでなにしてんだよ」
「ちゅっーちゅー(おっさんぽー!)」
「あらあら、今日はいつもと違うお兄さんがお迎えなの?」


向かい側のお家に住んでるおばあちゃんがお兄さんに話しかけた。この人はね、ときどき私に和菓子をくれる。栗最中万歳!


「俺はたまたま通りかかっただけなんで…」
「そうだったの。この子可愛いでしょー?七瀬くん家に住んでてね、毎日こうやってお散歩してるんですって。」


まるでわが子を自慢するようにおばあちゃんはつらつらと話し出す。あ、いまお兄さんちょっとめんどくさいって顔した。


「はい、今日はこれにしてみたのよ。」
「ぴっぴぴぴ!?(く、栗最中!?)」
「これが一番好きみたいだからねぇ。」


とりあえずお兄さんに見せびらかしといた。自分で言うのもあれだけど、私この辺じゃアイドルなんで。




ショートケーキの苺みたいに
「…凛?」
「…おいハル、こいつの躾けちゃんとしとけよ!」
「いつの間にこんな仲良くなったんだ。」

遙の目の前には凛の頭の上で気持ちよさそうに寝てるきいろが居ました。

20140126


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