最近のハルちゃんはどこか浮かれている。
「どっちの水着がいい」
「ちゅう…ぴかっ!(どう違うのかわかんないけど…こっち!)」
「だよな、俺もそう思ってた。」
毎日毎日幸せそうに水着を選んでいる。最初は好きな子でもできたかなーなんてお花畑なことを考えていていたけど、この人に限ってそれはないし、そもそも好きな子のために水着選ぶってどーゆうことだよ!とその考えは消えた。
「行ってくる」
「ぴっちゅー(いってらっしゃーい)」
前に比べて帰りは遅くなったし、朝風呂に入る時間も短くなったし、何よりハルちゃんが自ら学校に向かっている!原因をこの目で突き止めなくては!
「ぴっぴかぴー!(しゅっぱーつっ!)」
颯爽と家を飛び出してわたしは町の中に消えた。
*
「…(疲れて声も出ないわ…)」
家を飛び出して何時間経ったんだろう。電気ネズミになってからというもの、時計を見なくなったせいで時間の感覚が狂うようになった。町の様子からして昼ごろだろうか。
岩鳶高校へ向かおうとぐるぐる走り回っていたのだが、どうも見つからない。いつものようにおばあちゃんやおじいちゃんがお菓子を持ち寄って来てくれるが道を尋ねることはできなくて時間だけが過ぎている。もうお昼なのかなぁ…白いご飯が食べたいなぁ…ん?
「ぴかぴかぁ…?(なんか聞こえた?)」
少し遠くから、私も少し前まで聞きなれていたあの音が聞こえた。多分人間だったら聞こえてないんだろうけど、何分今の私は嗅覚も聴覚も人と比べ物にならないほどいいのだ。
「ちゅう!(行こう!)」
微かに聞こえたチャイムの音を頼りに走り出した。ハルちゃん、お弁当少し分けてください!!
どこへゆくかは猫にきいて
20131006 by休憩