Amour | ナノ


そうして、

「ずいぶんと機嫌がいいな、今日の幸村は。」
「忘れたのか?今日は高屋が部活を引退する日だ。」
「今日まで付き合ったのに遊んでなかったらしーもんな」
「せっかく付き合ったってのに、部活終わるまでは今まで通りとか、高屋らしいっちゃらしいけど。よく我慢できたよなー幸村君。」


俺の目の前で俺の話をする皆。そういう話は本人の居ないとこでやってくれない?と言いたいところだけど、今日の俺は機嫌がいいからね。黙って聞いてる。

今日はウィンターカップの女子の決勝の日。この試合が終われば、高屋はバスケ部を引退する。観に行こうかと思ったけど、これが最後じゃないし明日男子の方を観に行くことになったので行かなかった。因みに、男子の試合を観に行くことになったのは黄瀬君に誘われたからだ。


「それより幸村、おまんあのきせりょと友達とはほんとか?」
「ああ。黄瀬君結構面白いんだ。紗由と二人で彼をいじめるのが楽しくて。なんか赤也みたいなんだ。」
「有名モデルと我々の後輩が似てるとは、なんだか可笑しなお話ですね。」
「高屋の試合結果はいつ分かるのだ?」
「あと5分くらいで終わるよ。でもまあ、結果なんて分かりきってるけどね。」


自慢げに言えばまあそうだなって感じにブン太辺りが頷いてた。
紗由は勝ちに行った。勝つために海常に行ったのだから、勝たなくちゃ意味がないと。だけど勝つことだけを考えてたらダメだってことは彼女もよく知ってるから、楽しんでくるとも言っていた。紗由は、笑ってトロフィーを掲げるだろう。

俺は予定通り、立海の英文科に進む。ここで海外の画も勉強できるし、なんてったってまたテニスができる。そして立海大には青学の不二も来るらしい。それから、紗由も立海に戻ってくることになった。


「長い片想いじゃったのー。」
「そうだね。自分でもびっくりだよ」
「ほんとはちょっかい出そうと思ってたんじゃけどなー、あんまりにも嬉しそうだからいじれん。」
「そんなに?結構俺普通のつもりだけど?」
「…その顔が普通なら普段の幸村はなんなんじゃ!」


突然仁王がキレだしたその時、俺のスマホが鳴って。みんな急に真剣な顔持ちになった。差出人はもちろん、


「勝った!優勝したよ精市!!」


長い長い片想いが終わったとき、俺はやっと幸せになれた気がした。インハイ三連覇と同じくらい、今はとてもとても幸せだ。




そうして二人にやって来るのが同じ朝でありますように


20130316

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