やっぱり東京はあったかい。


「お帰り佳純ちゃん!」
「ただいまです!これお土産なんですけど…ここに置いといていいですか?」
「うん!一応佳純ちゃんの名前書いといてね〜」


三日ぶりのシフト。元々学校があったときは次のシフトまで一週間空いたりするのが普通だったけど、卒業してからは二日に一度がバイトだった。暇なんじゃないよ、楽しいからやってるの。


「よぉ新田。」
「!黒尾くん!」


元気に休憩室に入ってきた黒尾くん。久しぶりに見たなあ。と視線が上を向いて、パッと止まった。そうだそうだ、聞きたいことがあったんだった。


「黒尾くんさ、バレー部だったよね?」
「おう。」
「昨日まで実家に帰ってたんだけどね、仙台の烏野高校に行ってきて、えっと澤村君と菅君と、アサヒくん?って知ってる?」
「…知ってるもなにも、俺の出身高校の因縁のライバル校だけど…なにお前烏野だったの?」
「んーん、高校から東京居るよ!ただ、幼馴染みが青葉城西高校のバレー部で烏野でなんか練習試合しててさ、遊びに行ってきたんだ!」
「もしかしてお前、及川の幼馴染み…」
「!そうだよ!よくわかったね!」


頭の回転早いねぇー。靴をはきかえながらシフトに入る準備をしていたら、苦笑い気味の黒尾くんがマジかよ、なんて呟いた。徹って黒尾くんと知り合いなの?


「ってことは岩泉とも幼馴染みか。」
「二人と知り合い?」
「一応。大学見にきたりしてたし、結構会ってるかも。」


なんて世間は狭いんだ。なんて思った。すごいね、仙台と東京そこそこ離れてるのにバレー部ってだけで繋がれるなんて。


「そいやさ、来週の日曜暇?」
「…黒尾くん、それって嫌味?今のところバイトしか予定ないけど!」
「俺もバイトとバレーしかねぇけど?せっかくだから一緒に勉強しよーぜって思っただけなのによー」
「え、勉強一緒にって…ほんと!?」


彼が言ってる勉強の内容はきっと店のこと。黒尾くん上達早いし珈琲についての知識もあるみたいだから是非ともご一緒させてほしい。


「なになに、今年のニューフェイスはもうくっついたかー?」
「何言ってんすか、先輩が二人で勉強した方が身につくって進めてきたのに。」


また少し、バイトが好きになりました。




(北極星に寄り添って)


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