実に三年ぶりの再会だ。


「久しぶりだね飛雄ちゃん!」
「…なんで新田さんがここに居るんですか?」
「今しか帰って来れないからさ!相変わらず大きな目だね〜!!」


三月の初め、お正月以外では三年ぶりに仙台に帰ってきた。高校時代は部活が忙しくて全く来れなかったから、いつも以上にテンションが高い。


「だからってなんで烏野に…」
「徹に連絡入れたらここで試合してるって言うから来てみたの。飛雄ちゃんのバレーしてるとこ見るの楽しみに、ん?」


飛雄ちゃんに絡んでいたら少し離れたところから視線を感じた。オレンジ髪のぴょんぴょん跳ねてる子と、坊主の子と、身長があたしと同じくらいの髪型がペンギンみたいな子。黒のジャージだから飛雄ちゃんのチームメイト?


「飛雄ちゃんのチームメイト?」
「あ、はい。先輩二人と馬鹿な一年です。」
「おい影山!馬鹿って言うなよ!!」
「そして影山、この可愛らしい女性は誰だ。」
「大王様といい影山といい…なんでお前らばっかり…」
「…中学の先輩で、及川さんと岩泉さんの幼馴染みの新田さんです。」


大王様の幼馴染み…?!と言って三人は固まってしまった。大王様ってもしかして徹のことかな。うん、ピッタリすぎて笑えてくる。今度言ってやろ。


「え!東京に住んでるんですか?!」
「うん。人が多すぎてちょっと息苦しいよ。」
「シティーボーイ…いや、シティーガールですね!」
「…ん?」


一年生である日向くんはなかなか面白い発言を繰り返してくる。ほんと名前が体を現わしてるね。そして彼は友達が東京に居るらしい。


「研磨って言って、猫みたいな目で姿勢も猫背だし学校も音駒だしもうほんとに猫なんですよ!」
「あははっ。猫っぽいからその学校なのかもね」
「確かにそうかもしれない…音駒の奴らってみんな猫っぽい…でも犬岡は犬…」


考え込み始めてしまった日向くんは先輩に呼ばれてコートに戻っていった。そろそろ試合が始まるのかなーなんて思って端っこに逃げる。てか、あれ、音駒ってなんか聞いたことある学校…サッカー強かったっけ?


「ねぇ岩ちゃん」
「ん?そろそろ始めっからそこの椅子にでも座ってろよ。」
「ありがとう。あのさ、音駒って知ってる?」
「あー、確か、烏野の因縁のライバル校だよ。東京じゃ強豪校じゃねーの?」
「じゃあなんで聞いたことあるんだろ」
「友達が音駒だったりする?」


岩ちゃんの隣に並んで口を挟んできたのは烏野の三年セッター、菅くんだった。


「近くに居ない?バレー部って人。」
「サッカー部ならたくさん居るけど…あ。」


ふと思い出す鶏冠。あれは寝癖だと知ったときすごく驚いたことを同時に思い出す。そうだ、自己紹介の時に彼の出身校を聞いたんだ。


「黒尾くんだ!音駒で、バレー部で、バレーの推薦で大学行くって言ってた…」
「え、まさかの黒尾!?…なんか新田さんのイメージからして黒尾と仲いい姿が浮かばない…」
「バイト先がね、一緒なんだ。すごい要領よくて、進みも早いし、同期でライバルなの。」





(火星の明日を憂うより)

20131110 by休憩


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