04
「最近の白石は随分と機嫌がいいね。」
「それ俺も思ったっス!なんか顔つきが優しいってゆーか!」
「まるで俺がいつも怖いみたいな言い方やなー」
「でもそれに関しては僕も同じ意見だよ。何かいいことでもあったの?」


いつものように朝、従兄弟のさくらと家を出て、一限からの授業を受けてた。途中で切原クンからlineでお昼を誘われたので、三限の合間に食堂へやってきた。
切原クンは俺と同じスポーツ科学科で、不二が教育学部で幸村は文学部の比較文化科。ここには居ないけど、学園内にはあと3人ほど中学からの知り合いがおる。みんなテニス部なんやけど、結構ゆるいんよな。


「今な、二人暮らしやねん。」
「あれ、白石彼女と同棲始めたの?」
「ちゃうで。従兄弟がうちに来てん。」
「ああそれで。君は昔から世話好きだったもんね。」
「いいっすねー二人って!俺もゲームの相手してくれるやつと住みてぇー!!」
「ん?ゲームはせえへんで?従兄弟は女子高生やからな。ゲームなんて興味あらへんって感じや。」


毎日必死にサッカー見てんでー。今日はカツカレーを選んだからカツにカレーをつけて口に入れたら、物凄い視線が刺さっていることに気が付いた。いやなんなん不二クンの目がむっちゃ見開いとる…!


「女子高生と同棲ってアリなんすか…?」
「従兄弟だって実際結婚はできるからね、そこんとこ大丈夫?」
「彼女が居るのに…よく彼女さんも了承してくれたね。」
「別になんもあらへんで?!部屋も別個にあるし、なんちゅーか妹みたいな感じやしそもそも由香里と同い年やし!妹と同年代の子襲ったりせぇーへんわ!!」
「世の中分からないじゃないか。あの海堂が年下と付き合ったりするんだから。もしかしたら手塚だって!教育実習生と生徒の恋なんてことになり兼ねないじゃないか!」
「ちょっと不二落ち着いて。手塚に限ってそれはないよ。そもそも女子高生が相手にしないでしょ?」
「それって悪口やん。ちゅーか、会ってみたらなんとなく分かるで?母性本能くすぐられるっちゅーか、若いなあって思うから。」


ふにゃりと笑った顔を思い出して、思わず顔が綻ぶ。彼女はいつも学校から帰宅してすぐに机に向かう。受験生だし勉強でもしてるんやろーなーて思っとったが、ある日リビングで何かを必死に書いている姿を見て違うと分かった。サッカー部のマネージャーとして、日々部員の成長ノートなるものを書いているのだ。


「まるであの夏に戻ったみたいや。」



青く遠いまなざし

20131206 by休憩

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