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「ここから学校てそこそこ遠いやろ?」
「うん。今まで徒歩通学だったから、初の電車通学。」
「ほんなら満員電車とか、危ないなー。大丈夫なん?」
「下り電車だからまだマシじゃないかな。多分だけど。」


蔵くんのとこに来てから二日。今日は朝からこれからのことをいろいろと決めた。学校へ行く時間。蔵くんと決めた家事当番。そんで今は近所を散歩中。蔵くん家にはパピヨンのジャムが居るからその子のお散歩も兼ねて。

最初は三つ歳が離れてるわけだから敬語を使ってたんだけど、一緒に暮らしてくのに敬語はなんだか疲れるからタメにした。蔵くんもそっちの方がいいって言ってくれたし。


「さくらはサッカー部のマネやったなあ」
「うん。蔵くんはテニス部だったんだよね?」
「せやで。マネ大変やない?」
「正直、きついって思うことよくあるけど一人でやってる訳じゃないし、みんなが勝つと嬉しいし、やりがいがあって楽しいよ」


笑ってそう返したら蔵くんは同じように笑いながら頭を撫でてくれた。二日一緒に居て思ったのは、蔵くんはよくあたしの頭を撫でる。宥めるように、慰めるように、褒めるように。長女であるから、なんだかくすぐったい。


「なにかあったら言うんやで。今は俺がさくらの保護者代わりなんやからな!」
「なんかあったら、ね。特に何もないと思うよ?普通に毎日楽しいし。」
「それが続けばええけどなー」


また明日から、学校へ行って勉強して部活出て帰って寝てを繰り返す。帰る場所が変わるけど、それ以外は特に変わらない。高校生活最後の一年を、どこまで充実させることが出来るだろう。


「楽しみで仕方ないんだ、学校。」


僕らは透明な雲のようだ

20130318 by魔女

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