とある日曜日
とある日、目が醒めなかった。


起きようと思うのに目が開かなくて、金縛りにあったように身体が動かなくて。どうにかしようと思った矢先、真っ白な世界が目の前に広がった。


「ここは…どこ?」


真っ白な世界に飛び込んだあたしは先ほどとは違って、自由の身だった。パジャマじゃなくて立海の制服を着ていて、座り込んでいる。周りを見渡しても一面真っ白で、この白はどこまで続くのか、歩き回ってみたけれど行き止まりはない。


「君はいつまでそこに居るつもりなんだい?」
「え?」


突然上から声が降ってきた。この表現は何か可笑しい気もするけど、本当のことだ。周りに人は居ない。


「…幸村君?」
「もうすぐインターハイなんだぞ。君が、今度こそは三連覇が見たいって言ったんじゃないか!なのにっ、どうしてっ…!!」


あたしの声はどうやら彼に届いていないようだ。それに、この声のする彼はあたしの知っている幸村君じゃない。だけど、ここまで必死になっている彼を、懐かしくも感じる。


なんだか苦しくなってきて、ここから救ってほしくて、声のする頭上に手を伸ばした。そしたらいきなり目の前が光って、眩しくて前が見えなくて。誰かがあたしの手を握ってくれた。
まるで水の流れに逆らうように、引っ張り上げられるように。段々と意識が覚醒していく。


「香奈!!」


生まれてからずっと隣で聞いてきた声が、あたしの名前を呼んだ。




塗りつぶされたキャンパス

20130506


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