一年二年、あと何年?
急に気温が下がりセーターが手放せなくなった10月のとある日。
最近は日が暮れるのも早くてまだ5時なのに外は真っ暗だ。


「あとどんくらいで終わりそう?」
「んあー、あと三問」


目の前のプリントをじっと見つめる大我。
WCとやらがあと一ヶ月に迫ってるのに彼は定期テストで見事に赤点を取った。
この人一応誠凛のエースなのに。

3年の10月で赤点とか大学行く気あるの?って聞いたら、は?って顔をされた。
多分この人勉強で大学行く気ないんだな。

今朝、あたしのとこに黒子君がやって来て「火神君をお願いします。」と言われた時、とうとうやってしまったか…と思った。
去年までは優秀な先輩方が勉強を教えてくれてたからなんとかなってて、今年も前期の試験はあたしが見たりして赤点はなんとか逃れてたんだけど、今回はテストとあたしの推薦入試が被っててほとんど見れなかったんだよね。
そしたらこの結果。困ったなー。


「ねえ大我、あたしたち今日で一年なんだよ」
「もうそんなんだっけか。」
「早いよねー。あっという間に卒業だ」


赤髪で目つきの悪いバスケ部レギュラー。
それが大我の第一印象。
2年で同じクラスになって、多分惹かれ始めたのは5月頃に席が隣りになってからだと思う。


「俺さ、バスケしか脳ねーしこの先のこととか何も考えてねーけど」
「うん?」
「その…お前とはずっと、一緒に居てぇって、思ってる…。」


大我が不意打ちの達人なんてこと付き合う前から知ってるけど、慣れるなんてない。
耳まで見事に真っ赤。


「これからも、よろしく頼むわ。」
「…うん!」


右手を大我の左手に絡めて、夜道をゆっくりと歩き出した。






仕掛けのない愛情表現
(ここから進む道が違くても)
(辿り着く先は同じだといいな)


by休憩 20121026


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