青すぎる空

※名前変換がありません。












夏が、終わった。



「三連覇、おめでとう。」
「ありがとうございます。」



そう言い優勝カップを受け取る。
後ろを振り返れば、優勝旗を手にした真田が珍しく笑ってた。
真田が笑うなんてレアだななんて思ったけど、そりゃ頬も緩むよな。
中学ではできなかったことが、やっと成し遂げられたんだ。



「いくらなんでも泣くのが早すぎだろう赤也」
「真田が優勝旗もらうときから泣いてたよな!」
「だって!俺もう嬉しくて…!」
「まあ私たちも嬉しいのに変わりないですけどね。」
「どっちかっつーと、やっとか!って感じだよなー」
「赤也は勝っても負けても泣くけぇのー。忙しい奴じゃ」



俺はこうしてまた中学の時と同じメンバーで、テニスできることがすごい嬉しかった。
レギュラーだけじゃなく、俺を部長に選んでくれた準レギュラーや部員にも感謝してる。

インハイが始まる直前に「俺たち幸村が居たから部活続けてこれたんだぜ」だなんて言われた時には、不覚にも泣きそうになったよ。
試合はこれからだっていうのにね。



「終わったんだな」
「だね。あっという間だったなー」



高等部に進学して、迷わずテニス部に入部届を出して、毎日毎日練習して。
ここまでの道のりは一瞬と言っても過言ではない速さで過ぎて行った。

体育祭も文化祭も修学旅行も十分楽しんだ。
クラスメイトとも中学以上に仲良くなって、充実した高校生活を送ってきた。

そして今日、



「ありがとう真田。俺一人じゃここまで来れなかったよ」



インハイが終わって、テニス部を引退する。
別にテニスをやめるわけではないけど、もう誰かと一丸になってするテニスはやらない。

テニスは、個人競技だ。



「まだやるんだろう?」
「うん。」
「なら、今にもやめるみたいな言い方をするな。」



行くぞ、とみんなの輪に入ってく真田。
高校は中学の倍のスピードで時が流れるだなんて先輩たちが口にしていたけど、本当にその通りだ。
ずっとこのままで居たいと願うのに、必ず朝はやってくる。



「幸村ぶちょー!写真撮りましょー!!」
「うん、今行くよ!」



けれどその時の流れの速さを怖いとは思わなかった。
テニスって繋がりが無くても、みんなに会える気がしたから、かな。




ありがとうございました!
(負けが人を強くする)
(この言葉は俺の高校でのテニスに)
(ぴったりの言葉だ。)


20120815


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