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「明日どうするの?」
「竜のボーイズ見に行くつもり。それとも桃の方行ったほうがいい?」
「来なくていい。試合前だもん。」
智也はあたしの部屋で寝ることになって、今は布団の上でストレッチしながら会話中。
昔から変わらない行動に1番動揺していたのは隼人で、「男女が同じ部屋で寝るとか…俺は許さないからな!!」なんて叫んでた。
まあ二人でなんとか隼人を部屋から追い出したんだけど。
「高校、どう?」
「…楽しい、かな」
「なんだよその間!」
学校は楽しい。
千代ちゃんのおかげでクラスの女子何人かとは話できるようになったし、同じクラスには野球部が三人居るから話す相手も居る。
「桃んとこの野球部、人数少ねぇな」
「一年だけで10人だから、ギリギリ。」
「へぇー、それで初戦が前回の優勝校かあ。ぶっちゃけ、どうなの?」
「…勝つもん、みんなは。」
随分と信頼してんだな!
彼はあたしの頭を撫でながらそう言った。
智也はよく、あたしの頭を撫でる。
試合前は”行くぞ”って、試合中は”大丈夫”って、試合後は”お疲れ”って。
この手からたくさんの勇気をもらって来たんだ。
「明日も早いんだし、寝るか。」
「うん。…おやすみ。」
「なーなー桃ー」
「?」
「昨日のってさ、ウィングスのキャッチャーだろ?」
「!!!…よくわかったね」
「桃との2ショットで思い出した!アイツまた背伸びたなぁ」
小学校の頃はさほど変わらなかったあたしと智也の身長。
むしろあたしの方が大きかったのに、中2の夏からの彼の成長っぷりには誰もが驚いた。
どんどん高くなる背、低くなる声に、広くなる肩幅。
気づけばあたしはチーム内で1番小さかった。
「どんな奴なの?」
「…普段はすごく優しいんだけどね、」
「けど?」
「野球になるとかなり底意地悪くて、あまり敵に回したくない、かな…」
わざとデッドボールギリギリを投げろって言われたときはもう…身震いしたよ。
よほど怖い顔をしてたのか、栄口くんが心配してくれた。
「学校どこなの?」
「神奈川の、西海高校…去年、ベスト8だよ。」
「西海って三年前甲子園優勝してんじゃん!」
「神奈川って学校多いから県大で疲れて甲子園じゃ力出せねーって言うけど、西海はそれを覆したよな。」
「川上ってレギュラー?」
「うん!三回戦から捕手、6番って。」
智也はこの甲子園までの過程で、西海のキャッチャーを自分のものにするって言ってた。
西海は強いし、甲子園の常連校。
だけど、夏はそんなの関係ない。
春は県大で決勝すら残れなかった学校なんだから。
「あたしたちも、…勝ちたい!」
―勝利に思いを馳せること―
(ちげぇーよ桃)
(?)
(俺たちは、勝つんだ!!)
201110/09 by魔女
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